

2つの物体が両者の共通重心の周りをそれぞれ円軌道を描いて回っている時に、この2体に比べて質量が無視できるほど小さな第三の物体をある速度を与えてこの軌道面内に置くと、最初の2体との相対位置を変えずに回り続けられるような位置が5つ存在する。2体の共通重心を中心としてこれらと同じ周期で回転する座標系から見ると、ラグランジュ点では2体が作る重力場が遠心力と釣り合っている。このために第3の物体は2体に対して不動のままでいることができる。各点はL1~L5と呼ばれる。

最初の3つのラグランジュ点は2体を結ぶ直線に垂直な平面内でのみ安定である。これはL1での場合を考えると分かりやすい。L1に置いたテスト粒子を中央の直線に垂直な方向にずらすと、元の平衡点に戻ろうとする方向に力を受ける。これは2体の重力の横方向の成分が足し合わさって引き戻す力を生むためである。一方、軸に平行な成分は互いに釣り合って打ち消し合う。
L1に置いた物体を2体のどちらかに近づくようにずらすと、近づいた方の物体から受ける重力は強まり、より近くへと引っ張られる。これは潮汐力の場合と非常に似ている。