栃木県足利市で1990年、4歳の女児が殺害された足利事件で、

殺人罪などで無期懲役が確定、

昨年6月に釈放された菅家利和さん(63)の再審判決公判が26日、宇都宮地裁で開かれ、

佐藤正信裁判長は無罪を言い渡した。
逮捕から18年3カ月余を経て名誉回復が実現した。

検察側は判決後に上訴権の放棄を申し立て、無罪が確定する。
判決公判では、冤罪(えんざい)を生んだ司法の責任や

誤った有罪判決を出した原因にどう言及するか、謝罪の言葉があるかが注目された。
再審公判は昨年10月から6回の審理を重ねた。

佐藤裁判長は有罪判決の誤りを検討する証拠調べはできるとの方針を示し、

菅家さんが「自白」する取り調べの録音テープの再生や

事情聴取を担当した元検察官らの証人尋問を実施。

検察側が有罪を立証せず無罪を求めた再審では、異例の展開となった。
また、裁判長は菅家さんへの謝罪について、初公判で「判決の際に考えを示す」と述べていた。
無期懲役判決の柱の一つとなった捜査段階での警察庁科学警察研究所のDNA型鑑定について、

再鑑定をした弁護側鑑定人は「失敗」と証言。

検察側鑑定人も「はっきり分からず判定しにくい」と述べた。
うその自白の経緯を調べるため、元検察官も出廷したが、

菅家さんが取り調べや公判で繰り返した否認を「虚偽と思った」と証言。

謝罪の求めには「厳粛に受け止めている」とだけ語った。
検察側は無罪を求めた論告で「長期間服役させ申し訳なく思う」と謝罪していた。(時事通信)