【レビュー】アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団
▼神の域を超えた▼
- アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団
- グラフィックと満足度は11点をつけたい程に。
- PS3で2007年12月6日に発売された「アンチャーテッド エルドラドの秘宝」の続編にあたる2009年10月15日に発売の「アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団」。
- 米デベロッパーのノーティードッグが開発を行い、国内ではSCEJがパブリッシャーを務める。
- このゲームは、冒険家の主人公が財宝を探すというアクションゲームで、映画のインディージョーンズに通じるものがある。
- 基本的に、道なき道を己の握力のみでロッククライミングをしながら進んでいくアドベンチャー的なゲーム性と、敵とのシューティングを楽しむTPS的なゲーム性が混ざっている。
前作が王道一本道だったストーリーだったのに対し、今作は前作よりもヒネリの利いたストーリーになっている。
ゲーム序盤は主人公の回想によって時間軸が行ききし、主人公が現在危機的状況に置かれている理由の説明と同時に、チュートリアルも行い仕組みになっていて親切。
テンポの良いシナリオで常にハラハラした状態になり、ついつい魅了されてしまう。だが、前作でも評判がよかった王道のストーリーは守られている。
キャラ同士のセリフや、主人公たちが道端でボヤく会話はコミカルで面白く、殺伐とした戦闘シーンやハラハラするロッククライミングが続くゲーム本編と、絶妙に中和してゲームを重くなりすぎないようにしている。
登場キャラクターは前作よりも多めで、前作のパートナー達は全員出演。
キャラクターが個性的かつ魅力的で、キャラクターのリアルなフェイスアニメーションとの相乗効果で、人間臭さが出てキャラクターそれぞれのキャラが立っている。
グラフィックは脅威的。
革新的なほど美しいグラフィックは、まるで映画の中に入り込んでいるような感覚。
特に目を見張るのは雪の表現で、膝上ほどにもなる新雪の中をカキ分けて進んでいく様子が、ポリゴンで描かれている。そのリアルさは未知なる体験で、最新の技術デモを見ているかのような驚きがある。
また、前作で驚いた水の表現も、今作では更に磨きをかけており、出来た波紋から光の反射。風景の映り込みまで、驚くほどに再現されている。
素晴らしいのは風景だけではなく、どんな小さなオブジェでもしっかり描きこまれており、アップにも耐えられるクオリティに仕上がっている。
グラフィックに関しては、ひとつの到達点を見たのかも知れないと思うほどの完成度で、普通のゲームのプリレンダリングのムービーよりも、アンチャーテッドのリアルタイムモデリングの映像の方がずっと美しいと思えるほどの完成度だ。
ただ唯一の難点を挙げるならば、グラフィックが細かく書き込まれすぎており、画面全体に散らばる無数のオブジェから、どれがぶら下がれるオブジェで、どれがたんなる飾りなのかが判断しにくいこと。
それを推理や判断をして、ロッククライミングをしていくことがこのゲームの面白いところではあるが、今作は描きこまれすぎていて判断が難しい。それでも、迷った時はヒントが必ず出るので、難易度自体は上がっていない。
音楽の完成度もハリウッド級。というよりも、ハリウッドそのもの。
テーマソングのメロディーは、前作と同じもの。和太鼓などを使い挑戦的なものにしつつも、ハリウッド映画のような躍動感のある音楽で、耳に残り、心に響く。
戦闘音楽も、環境音楽も、耳ではなく心に響く音楽でゲームとの調和は見事なもの。
なによりも凄いのは、声優。
まさに大作ハリウッド映画の吹き替え版を見ているような感覚で、名演技。道の途中で主人公がパートナーと世間話を始めたり、主人公の握っている手が滑ってしまってヒヤッとした時に出るわずかな悲鳴まで、全てが名演技で素晴らしいの一言。
操作性は極めて良い。
ただアナログスティックで方向を決めてジャンプするだけで楽しく、操作系全般のテンポの良い操作はユーザーにストレスを与えず、ゲーム全体のテンポの良さの源になっている。
洋ゲーにありがちな、サバサバしすぎた動きではなく、すこし重みがある動きであるのは日本人向け。
前作よりも、モーションや主人公が行えるアクションが大幅に増えており、ぶら下がり状態からの銃撃や、ぶら下がり状態で敵を引きずりこむアクション。ウンテイや仲間同士の助け合いアクションなど、様々な要素や動きが用意されている。
ちなみに、あまり前作で評判が良くなかったSIXAXISのモーションセンサーによるプレイは選択できるようになっている。
自由度は高くはないが、もっている武器や、どのような戦闘方法をとるかによって難易度やゲーム性が大きく変わり、ユーザーの選択肢が増す。
ロード時間は数秒待つものがゲームスタート時に1度あるが、その他は皆無。マップロードもなければゲームオーバーでチェックポイントからの再会の時もロードがない。
チェックポイントはたくさん設けられており、同じ作業の繰り返しによるウンザリ感は少なくなっている。
数年前に確立したアクションではあるため、オリジナリティは高くないが、数百年前からある将棋や囲碁のように、古典的なゲームでもゲーム自体の完成度が高ければ面白くなる。そんなゲームの典型。
前作は、カバーアクションが基本スタイルのゲームになっていたが、今作ではステルスアクションの要素も追加された。ゲーム序盤の段階でステルスでのプレイの仕方はみっちりと教え込まれるため、ゲーム全体を通して、カバーアクションによる打ち合いを選ぶか、ステルスアクションによる隠密を好むかが選択できる。
また、前作にはなかった麻酔銃なども追加されていて、ゲームの幅が広がっている。
満足度は、これ以上なく高い。間違いなく今年発売されたゲームの中では1番面白い作品であった。
やり込み要素は尋常ではないほど高く、敷居は低いもののかなりの数用意されているトロフィー機能。トロフィー獲得により手に入れるお金の概念。お金によってしか買えない武器や、衣装。メイキング映像や、特殊な設定の数々が用意されている。
特にこのゲームのやり込み要素を高くしているのがお金の概念。
お金で買える”衣装”には、敵のキャラクターになりきる衣裳が入っていたり、骸骨になったり、また物凄いメタボな体つきになったりと、おふざけ要素が満載。
”特殊機能”の設定では、ゲーム全体を2倍速で楽しめる”早送り機能”や、スローで楽しめる”スロー機能”。弾を無限にする機能や、ゲーム中全てのオブジェクトの物理の法則を無視するという、ゲーマー心をくすぐる神的な機能も付いている。
これらの機能や要素を手に入れるために、何が何でもやり込みたくなる仕組み。
難易度は、練習・初心者・初級・中級・上級・プロの6種類から選べるようになっており、どんな人でも対応できるようになっている。
ローカライズは完璧で、「国産のゲームだ」と言っても騙せるほどの仕上がりである。
オンラインとの協力プレイ。対戦プレイも用意されており、シングルモードとは違ったストーリを楽しみことができる。
とにかく素晴らしいの一言。
非の打ちどころがなく、歴史に残るゲームであることは間違いない作品。
グラフィックは多少硬派な印象を受ける者の、中身は老若男女全ての人が楽しめる作りになっていて、干渉しているだけもハラハラして結構面白い。
5980円という市場を完全に無視した低価格というのも親切で、PS3を持ってる人は絶対にプレイた方がいいと心から言える神作。
このゲームのためにPS3を購入するのも、いいとおもう。10点満点には収まりきれない作品。
評価 .
ストーリー:≪10≫
グラフィック:≪10≫
音楽:≪10≫
操作性:≪10≫
オリジナリティ:≪9≫
満足度:≪10≫
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
総合:≪10≫