【解説】「日本テレネット」の伝説 | 旧・鋼鉄親子でゲーム漬け!

【解説】「日本テレネット」の伝説

▼日本テレネットの裏歴史▼



今日は私のコーナーとさせていただきます。

主人公は、もちろん私。

なんだかんだ言って、このコーナー続いてるわね・・・

すぐに潰れると思ってたのに・・・

このコーナーだけは、私が守り抜きます!

そして、私の存在感をアップするのです!

・・・と、いうわけで今回のゲーム無駄知識は「日本テレネット」についてです。
親父のネタによく使われる会社だよね・・・
知らないわ・・・そんなゲーム会社・・・

それはそのはずです。

なんたって2007年に倒産していますからね。

1983年の創立し2007年10月25日に倒産するまで、波乱万丈の運命たどった会社の「日本テレネット」の歴史を少しだけお教えします。

・・・なんか、カッコいい導入から始まってるけど、ようするに倒産したんでしょ?

クソゲーばっかり出していたとか?

いえいえ。少なくとも最半期は他を圧倒する技術力を持った会社でした。

初期はPC-98MSXPC-88X68000など、PCゲームを主力に開発している会社でしたが、最繁期にはメガドライブPCエンジンなどのコンシューマー期に進出して、こちらのほうが有名になりました。

そんな凄い技術力を持ったメーカーがどうして倒産に追い込まれたの?
・・・いろいろ要素はありますが、やはり社長が一番の問題だったと思いますね。

製作スタッフに、文句ばっかり言いつける無能な社長・・・とか?

いえいえ。逆です。

製作スタッフには、技術的な口を全く出さなかったのです。

良い社長じゃない。

やっぱり、経営と現場は出来る限り独立させるべきよね。

いえ。当たり前なんです。・・・だって、社長はゲームのド素人なのですから。

・・・え?

ゲームの会社の社長なのに、ド素人なの?

はい。

社名の「日本テレネット」からも分かるように、元々は通信関係の業務を中心に展開するはずだったらしいのですが、なにが原因かPCゲーム開発にシフトして、8bit時代に大手メーカーとして君臨したんです。

なので、もともと通信関係の社長が、ゲームについて口出しできるわけもなく、チェック体制は皆無。

それが原因で、”独創性の塊”のようなゲームが販売されることになります。

・・・すごい会社だね・・・

いわゆる「セガゲー」や「デコゲー」のハシリだったんだね。

そんな、ド素人な社長ですが、製作期間には口出しをしていたようです。

・・・ここで問題です。

ゲームのド素人の社長が、製作時間を決める権限を持ったとき、どうなるでしょうか?

・・・ま・・・まさか・・・

ゲームがド素人な社長です。

製作時間の”相場”なんて、知るわけもなく「ゲームを一ヶ月で作りなさい。」と、通常ではありえない製作時間を定めていたそうです。

い・・・1ヶ月!?

   ・

   ・

   ・

社長から、今、「企画も含め、製作時間1ヶ月で製品を出せ」って、命令が来たぞ!

・・・またか・・・

ROMの焼いたり、出荷準備のことを考えると、実質2週間で作らないといけないな・・・

じゃあ、今日中に企画を考えて、同時進行で作っていかなくてはいけませんね。
やっぱり、製作時間が短いくて済むのはシューティングだろ。
・・・でも、個性を出さなくちゃな・・・

じゃあ、下スクロールのシューティングでどうだ!

誰も、手をつけてないジャンルだぞ!!

   ・

   ・

   ・

・・・と、まあ。こんなやり取りが実際に行われていたらしく、出来たゲームが「反生命戦機 アンドロギュヌス」というゲームです。

ジャンルは、まさかの「下スクロール シューティング」。

・・・信じられないわ・・・

・・・で?そのゲームは、面白いの?

実質2週間で仕上げたゲームが面白いわけもなく・・・動きもガタガタでロクに遊べない上に、ストーリーも無理やり。

アンドロギュヌス=両性・・・と、タイトルにあるとおり、途中で男の主人公が女になります。

す・・・すごいね・・・

今ではありえない、ソフトだね・・・

このようなやり取りが、日常的に行われていたらしく、開発期間は4ヶ月未満

たとえ、RPGでさえも・・・です。

・・・こんな、会社がこの世に存在していいのか・・・って話だよね。

でも考え方を変えると、凄いと思いませんか?

たった2週間で、ゲームとして”形”にはなっているんです。

確かに、技術力は凄いわね。

はい。プログラマーも、グラフィッカーも、サウンドクリエイターも、超一流でした。

社長さえ違えば、こんなことにはならなかったのかもしれないね。

・・・はい。

この過酷過ぎる労働環境に耐え切れず、もの凄い数のスタッフが相次いで独立

それが直接的な原因で会社は衰退していき、倒産したわけです。

・・・少し、もったいない気もするね・・・そんな凄腕のスタッフが集まってたのに・・・
実は、その遺伝子は今でも残っています

・・・え!?

そうなの?

相次いだ独立の中で、一番大きかったのがウルフチーム」の独立でした。

なんたって、開発チームが丸々一個そのまんま独立してしまったんです。

それも、脱税など色々と問題のある独立だったのですが、またそれは今度・・・

そのウルフチーム。開発チーム名が、そのまんま社名になって独立し、テイルズシリーズなど、名作にも携わっているのですが、ナムコと大喧嘩

あきらかにナムコが悪いので、スタッフはウルフチームから再度独立

残ったメンバーはナムコが吸収し、ウルフチームから独立したメンバーは「トライエース」という会社で、今でもがんばってます。

・・・「トライエース」って、なんか聞いたことあるわ・・・

ほら!

スターオーシャン」とか「ヴァルキリープロファイル」とか「インフィニット アンディスカバリー」なんかを開発した会社だよ!

ああ!あの会社!?

無茶苦茶有名・・・というか、今でも元気いっぱいの会社じゃない。

はい。

ということで、日本テレネットの遺伝子は、今でもしっかり繋がっているんです。

・・・すごいわね・・・ゲーム業界って奥深いわ・・・

日本テレネットからは、数々の独立した会社があるので、それぞれを展開していくと、ものすごい人生が見えてきて、語りきれません。

それは、また今度にしましょう。

・・・あ!!!

まさか、親父が「トライエース」や「ナムコ」が嫌いなわけって・・・

はい。

こういった、一連のゴタゴタが関係していると思います。

お父さんは、ああ見えて感情的ですからね・・・。人を”資源”として見ているこの日本テレネットの裏歴史が嫌いなのかもしれません。

でも、日本テレネットって会社の歴史は、聞いてて面白いわ!

そうですか?

では、また機会があったら・・・今度は「ウルフチーム」や、同じく日本テレネットから独立した「Jフォース」などのお話をしましょうか。