遺留分算定基礎財産に含まれる生前贈与の範囲~遺留分対策(遺留分キャンセラー)~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 生前贈与のうち,遺留分算定の対象となるのはどの範囲ですか。

誤解ありがち度 4(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

ランキングはこうなってます
このブログが1位かも!?
ブログランキング・にほんブログ村へ

↑↑↑クリックをお願いします!↑↑↑

A 相続開始前1年内は全部,それより古いものは「遺留分侵害を知っていた」または「婚姻や生計の資本という目的」に該当する場合に算定対象に含まれます。

【遺留分算定基礎財産に含まれる生前贈与の範囲】
生前贈与のうち,遺留分算定の対象となるのはどの範囲ですか。

→相続開始前1年内は全部,それより古いものは「遺留分侵害を知っていた」または「婚姻や生計の資本という目的」に該当する場合に算定対象に含まれます。

生前贈与が遺留分算定基礎財産に含まれるか否かは,その贈与の時期と,遺留分侵害の認識の有無で決まります(民法1030条)。
生前贈与の時期が相続開始よりも1年以上前,かつ,遺留分侵害の認識がない,という場合は,民法1030条に含まれません。
そうすると,遺留分算定基礎財産には含まれない,となりそうです。
この点,民法1044条によって,903条が準用されているので,「特別受益」に該当する場合も,遺留分算定基礎財産に含むべきであるという見解があります。そして,判例上,この見解が採用されています(後掲)。
ですから,実務上,特別受益に該当する場合も,遺留分算定基礎財産に含まれるという見解が採られています。
まとめると次のようになります。

<遺留分算定基礎財産に含まれる生前贈与>
・相続開始前1年内の贈与(民法1030条)
・相続開始よりも1年以上前の贈与のうち↓のもの
 ・遺留分侵害の認識があった(民法1030条)
 ・特別受益に該当する(内容は↓)(後掲判例;民法1044条,903条)
  ・受贈者が相続人
   ・婚姻,養子縁組が目的
   ・生計の資本として

[民法]
(特別受益者の相続分)
第九百三条  共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
2  遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
3  被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。

第千三十条  贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。

(代襲相続及び相続分の規定の準用)
第千四十四条  第八百八十七条第二項及び第三項、第九百条、第九百一条、第九百三条並びに第九百四条の規定は、遺留分について準用する。

[最高裁判所第1小法廷昭和49年(オ)第1134号遺留分減殺請求事件昭和51年3月18日]
被相続人が相続人に対しその生計の資本として贈与した財産の価額をいわゆる特別受益として遺留分算定の基礎となる財産に加える場合に、右贈与財産が金銭であるときは、その贈与の時の金額を相続開始の時の貨幣価値に換算した価額をもつて評価すべきものと解するのが、相当である。けだし、このように解しなければ、遺留分の算定にあたり、相続分の前渡としての意義を有する特別受益の価額を相続財産の価額に加算することにより、共同相続人相互の衡平を維持することを目的とする特別受益持戻の制度の趣旨を没却することとなるばかりでなく、かつ、右のように解しても、取引における一般的な支払手段としての金銭の性質、機能を損う結果をもたらすものではないからである。

[最高裁判所第3小法廷平成9年(オ)第2117号遺留分減殺請求本訴、損害賠償請求反訴事件平成10年3月24日]
民法九〇三条一項の定める相続人に対する贈与は、右贈与が相続開始よりも相当以前にされたものであって、その後の時の経過に伴う社会経済事情や相続人など関係人の個人的事情の変化をも考慮するとき、減殺請求を認めることが右相続人に酷であるなどの特段の事情のない限り、民法一〇三〇条の定める要件を満たさないものであっても、遺留分減殺の対象となるものと解するのが相当である。

<<告知>>
みずほ中央リーガルサポート会員募集中
法律に関する相談(質問)を受け付けます。
1週間で1問まで。
メルマガ(まぐまぐ)システムを利用しています。
詳しくは→こちら
無料お試し版は→こちら

<みずほ中央法律事務所HPリンク>
PCのホームページ
モバイルのホームページ

ランキングはこうなってます
このブログが1位かも!?
ブログランキング・にほんブログ村へ

↑↑↑クリックをお願いします!↑↑↑

相続・遺言に関するすべてのQ&Aはこちら
弁護士による相続・遺言の無料法律相談
個別的ご相談等のお問い合わせは当事務所にご連絡下さい。
お問い合わせ・予約はこちら
↓お問い合わせ電話番号(土日含めて朝9時~夜10時受付)
0120-96-1040
03-5368-6030