メールの盗み見と証拠能力~違法収集証拠と証拠能力;メールの盗み見など~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 同居している夫(妻)の動きがあやしいのです。
  夫がいない時に夫の携帯電話(スマホ)を見たら,不倫相手とのメールが発覚しました。
  これを撮影しておけば証拠として使えますか。


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A 証拠能力は「あり」と思われます。

【メールの盗み見と証拠能力】
同居している夫(妻)の動きがあやしいのです。
夫がいない時に夫の携帯電話(スマホ)を見たら,不倫相手とのメールが発覚しました。
これを撮影しておけば証拠として使えますか。

→証拠能力は「あり」と思われます。

確かに,携帯電話は夫婦共通,ということはなく,夫個人のもの,と言えます。
そうすると夫の携帯電話を妻が無断で見ることは問題があります。
夫の個人の領域への侵入です。法的には「プライバシー権」や「人格権」の侵害,ということになります。
では,不正・違法な証拠入手方法だから,証拠能力が否定されるか,と言うと,そう単純ではありません。
民事訴訟の場合,「証拠能力」についての規定がありません。
原則としては「証拠能力あり(なし,とは言えない)」ということになります。
その上で,極端な不正・違法があった場合に限って「証拠能力なし」となるのです。
裁判例の蓄積から考えると,次のような事情においては,極端な不正・違法ということには当たらない→証拠能力あり,という判断になる傾向があります(裁判例後掲)。

<「不正な証拠収集」でも証拠能力が肯定される要素>
・同居している親族間
 「侵入」に当たらないか当たるとしても軽微
・暴力を用いていない
 比較的平穏な態様
 ※証拠上,「暴力」が認められない,ということも含む(後掲裁判例)
・相手方が行方不明などのため,無断での情報取得の必要性が高い

[東京地方裁判所平成16年(ワ)第5066号違約金等請求事件平成18年6月30日]
 そして,使用者の同意なくして携帯電話からメールを収集する行為は,通常,使用者の人格権の侵害となり得ることは明らかであるから,その証拠能力の適否の判定に当たっては,その手段方法や態様等が著しく反社会的と認められるか否かを基準として,考察するのが相当である。
 これを本件についてみるに,原告は,Aの鞄や衣装ケースから携帯電話を抜き出したり(原告本人),洗顔中,着用しているジーンズの後ろポケットから携帯電話を背後から抜き取り(原告本人,証人A),これを奪い返そうとしたAともみ合いになり,その際,原告は,Aの顔面や脚部を数回,殴打するなどの暴行を加えた(証人A)というのであるが,その暴行の程度を証明する診断書や写真等の客観的な証拠は提出されておらず,Aの証言を除いて,これを認めるに足りる証拠はない。
 そうすると,原告が,Aの意に反して,本件法廷に提出された証拠(甲6,7,9,ないし12(枝番を含む。))を収集したことは認められるとしても,このことをもって,Aの人格権を著しく害する反社会的な手段方法や態様において,これを収集したものとまでいうことは困難であるから,前記各証拠が証拠能力を有しないものとすることは相当ではない。

[東京地方裁判所平成16年(ワ)第3939号損害賠償請求事件平成17年5月30日]
(5)なお,被告Aは,原告から提出された被告Aのメール(甲1,以下「本件メール」という。)について,原告が被告Aの承諾もなく,勝手に認証を行い,閲覧,コピーしたものであって,違法収集証拠であるとして,証拠の排除を求めている。そこで付言するに,証拠によれば,本件メールは,原告と被告Aが共同で使用するパソコンの中に保存されていたものであること,原告は,被告Aが,平成13年7月8日,行き先も告げずにマンションを出て行ってしまったため,共通のパソコンを開いて,メールを閲覧,謄写したことが認められる(甲7,なお,原告が,認証を勝手に行ったと認めるに足りる証拠はない。)。以上認定の事実に照らせば,原告が,被告Aの家出後,被告Aの所在や事情を確認する必要から,共通のパソコンを開いて本件メールを閲覧したとしても,その取得方法が,民事訴訟における証拠能力を排除しなければならないほど,著しく反社会的方法によって取得されたものとは認められず,原告の主張は採用できない。

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