Q 取引先が破産した場合,未回収金は欠損処理できるのでしょうか。
落とし穴もあります。後から税務署にやいのやいの言われないようにしましょう。
誤解ありがち度 4(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る
↓ランキングはこうなってます↓
↓ このブログが1位かも!? ↓
↑↑↑クリックをお願いします!↑↑↑
A 破産されたら基本的に欠損処理が可能です。
ただし,保証人,消滅時効に注意あれ。
【破産と欠損処理】
取引先が代金未払いのまま破産しました。これで欠損処理できるのでしょうか。
→原則的に,債務者に破産手続きを取られたら,税務上欠損処理することに問題はありません。ただし,保証人に注意が必要です。
法人が破産すると,法人格が消滅します。
破産手続中で配当が受けられる場合と受けられない場合がありますが,いずれにしても,破産手続終了時点で「これ以上は回収不可能」という状態になります。
税務上,欠損処理できます。
個人が破産した場合は,当然,個人(権利主体)自体は消滅しません。
ただし,破産手続とセットで「免責決定」がなされます。
特に悪質な詐欺的行為がある場合は免責不許可となることもありますが,ほぼ全件で免責許可決定がなされているのが実情です。
そして,「免責決定」が確定すれば,「回収不可能」となりますので,税務上の欠損処理ができます。
【破産と保証人】
取引先が代金未払いのまま破産しました。連帯保証人への請求もできなくなるのでしょうか。
→保証人への請求は可能です。主債務者の破産・免責は影響を及ぼしません。
まさに,主債務者に事故(支払不能)があった時のための「保険」「スペア」が保証人というシステムの趣旨です。
このように「請求の可否」については,主債務者の破産・免責は保証人に影響を及ぼしません。
【破産と消滅時効(債権管理)】
取引先が破産しました。連帯保証人への請求で注意点はありますか。
→主債務者の破産が保証債務の「消滅時効」に影響を及ぼします。債権管理上明確にしておく必要がありましょう。
破産手続は,「配当事案」「廃止事案」があります。
この区分けによって保証債務への影響も変わってきます。
<1 配当事案>
破産者に,配当できるだけの財産が残っていたケースです。
この場合,配当の前提として,破産管財人が「破産債権者表」を作成します。
当然,一定の調査をして,裏付けの確認等をしつつ破産債権者表を作成します。
そして,破産債権者表が作成され,確定した場合,その内容は「確定判決と同一の効力」を持ちます(破産法124条3項)。
「確定判決と同一」なので,消滅時効の期間は「10年間」となります(民法174条の2第1項)。
通常,企業間の取引での消滅時効は1~5年(短期消滅時効や商事時効)です。
「延長」されたことになります。
また,消滅時効のカウントがリスタートするのは,破産手続終結決定から,となります。
【破産法】
(異議等のない破産債権の確定)
第百二十四条 第百十七条第一項各号(第四号を除く。)に掲げる事項は、破産債権の調査において、破産管財人が認め、かつ、届出をした破産債権者が一般調査期間内若しくは特別調査期間内又は一般調査期日若しくは特別調査期日において異議を述べなかったときは、確定する。
2 裁判所書記官は、破産債権の調査の結果を破産債権者表に記載しなければならない。
3 第一項の規定により確定した事項についての破産債権者表の記載は、破産債権者の全員に対して確定判決と同一の効力を有する。
【民法(抜粋)】
(判決で確定した権利の消滅時効)
第百七十四条の二 確定判決によって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。裁判上の和解、調停その他確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利についても、同様とする。
<廃止事案>
細かく分けると,「異時廃止」「同時廃止」があります。
いずれも,「配当するだけの財産が残っていない」場合に取られる手続きです。
破産者の債権債務の清算が終了する前に破産手続きを終了する,という意味です。
この場合は,通常,破産管財人による債権の調査,というのは行われません。
結局,「確定判決と同一の効力」というものも生じません。
結論として,従前の時効期間(主に1~5年)は変わらないままです。
ただし,債権者として破産手続上「債権届出」をした場合は,次のような解釈により,消滅時効が中断します。
「債権届出」は「破産手続参加」と扱われます(民法152条,破産法111条)。
(なお,他の手続きでも同様の規定があります(民事再生法94条,会社更生法135条))
そして,破産手続参加は民法147条の「請求」として扱われるので,これによって中断の効力が認められるのです(最高裁昭和47年3月21日,民法152条参照)。
そして,消滅時効期間がリスタートするのは,「廃止決定確定時」と考えられています。
【民法(抜粋)】
(時効の中断事由)
第百四十七条 時効は、次に掲げる事由によって中断する。
一 請求
(破産手続参加等)
第百五十二条 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加は、債権者がその届出を取り下げ、又はその届出が却下されたときは、時効の中断の効力を生じない。
【破産法(抜粋)】
(破産債権の届出)
第百十一条 破産手続に参加しようとする破産債権者は、第三十一条第一項第一号又は第三項の規定により定められた破産債権の届出をすべき期間(以下「債権届出期間」という。)内に、次に掲げる事項を裁判所に届け出なければならない。
一 各破産債権の額及び原因
<<告知>>
みずほ中央リーガルサポート会員募集中
法律に関する相談(質問)を受け付けます。
1週間で1問まで。
メルマガ(まぐまぐ)システムを利用しています。
詳しくは→こちら
無料お試し版は→こちら
<みずほ中央法律事務所HPリンク>
PCのホームページ
モバイルのホームページ
特集;高次脳機能障害
↓ランキングはこうなってます↓
↓ このブログが1位かも!? ↓
↑↑↑クリックをお願いします!↑↑↑
労働・企業法務に関するすべてのQ&Aはこちら
震災特例法に基づく被災者(会社)の負担軽減策。税金の還付請求など。by国税庁
個別的ご相談,助成金申請に関するお問い合わせは当事務所にご連絡下さい。
お問い合わせ・予約はこちら
↓お問い合わせ電話番号(土日含めて朝9時~夜10時受付)
0120-96-1040
03-5368-6030