みなさんこんばんは。
みずほ中央法律事務所の三平です。
節電で電車が暖房していません。気温が上がってまったく苦ではなくなっています。
引き続き震災時の雇用関係の話しです。
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ニューズfrom共同通信
東日本大地震で事業所や作業場が倒壊、焼失したり、大津波で流失したりして勤務中に被害に遭った人について、厚生労働省が労災認定する方針を決めたことが31日、分かった。阪神大震災の時も同様の措置を取った。
三陸地方は明治三陸地震(1896年)など、何度も津波被害を受けているため、津波による被害を「危険な環境下で仕事をしていた結果」として、災害と業務の因果関係を認めた。
***引用終わり***
救済措置を発動するのは良いことだと思います。まさにこのような大惨事では救済措置をフル活用(発動)すべきです。
さらにその先が非常に気になります。
クイズ形式で進めます。
クイズ
労災認定→「危険な環境下での仕事」→事業主は避けるべきだった→事業主の責任
となる Yes/No
答え No ただし,事業主の責任が認められることが一般的には多い
労災認定は労働基準監督署の判断で,事業主の賠償責任は(最終的には)裁判所の判断です。
別でもおかしくないのですが,同じになる傾向があります。
で,事業主の責任ありとなった場合はどうなるでしょう。
クイズ
労災で保険が支給されるので問題なし Yes/No
答えはNoです。
実際の「損害」全体に対して支給される労災保険の額は一部に過ぎないのです。
残額は事業主が自己負担です。
例えば,死亡事故や後遺障害等級1級という重いケースの場合,この「差額」(事業主負担)が9000万円を超えることがあります。
今回の震災では,政策的配慮もあって,労災として広く認定していると思います。
これを前提に,従前の法的処理どおりに考えて,事業主に損害賠償請求をする,というケースが出てくるかもしれません。
逆に事業主は,労働基準監督署の判断と裁判所の判断は違う!と主張したり,または,大本の労災認定をターゲットにして「行政処分取消訴訟」を提起することが考えられます。
いずれにしても,政策的な労災認定の余波が事業主への請求,という形で生じると不合理だな,と思います。
ニューズでは,広い労災認定ウェルカム!というニュアンスでしたが,その先を心配してしまう私でした。
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