大阪松竹座 新築開場十周年記念
壽 初春大歌舞伎
2007年1月2日(木) ~ 26日(金)
■ 昼の部(午前11時開演) ■
『 彦山権現誓助剣 毛谷村』
娘お園がなんと言ってもカワユイんですよね。
好きな男の前では純な娘に戻る、みたいな。しかも一途。
実際のところ、現代でこうだとほぼ9割方引かれると思うけれども(泣)。
扇雀さんのお園が腕っ節強そうで(笑)でもカワユクて素敵。
『 勧進帳』
えー…
松羽目物は好きです。身が引き締まる思いがして。
それに今、團十郎さんが勧進帳をやり通すのは挑戦だと思うので、その意志の塊をとても観たいと思いました。
昼の部だけはその為に事前にチケットを取ったようなものです。
勧進帳の曲も大好き。
三世杵屋五三郎さんのCDをしょっちゅうi POD nanoで聴いていますし、いつか三味線弾いてみたい!とか無謀にも思っているし、出囃子見ていると幸せなのですが、
…意識が途中で無い…
どこで一番ないのかよく分かっています。
富樫と弁慶の問答のとこ。
海老蔵さんが何を言っているのかが分からず、ほにゃほにゃと夢の世界へ…
その後、打ち据える辺りで起きましたが。
大事なところで分からないとキツイ~
って単純に眠かったのもありますが。(自分のせいじゃん)
『 恋飛脚大和往来 封印切』
これを観る前に、前日文楽で『冥途の飛脚』を1回、事前にDVD(文楽)で…2,3回くらい?観てからいざ。
『恋飛脚~』は忠兵衛を際立たせる・美味しいとこ取りの「みどり上演」の為の改作なのか、まず八右衛門の性根が恐ろしく嫌らしい。そのいやらしさが分かり易い。
憎みきれない(我當さんの八右衛門はとっても良かったですよ!)んだけど、十人中八,九人、嫌いじゃ、と言いそうな男になってる。
何で忠兵衛が八右衛門を「友達」だって言うのかも謎なくらい。
忠兵衛もはっきりしない女々しい男で、梅川とじゃらついているとどこやらおままごとみたい。
「じゃらつく」って上方歌舞伎でよく言うけれど、文楽ではあまり聞かない気がする。
歌舞伎ならではに、観客がより喜ぶ演出を取り入れて改作していった結果、演出として「じゃらじゃらする」が生まれたのかな、と変なところで膝を打ちました。
で、本題。
何やら訳わからん(聞き取れない)ことをぐしゃぐしゃ言って自分が興奮してブチっと切れる。
って演じるのが藤十郎さんらしさで、それが好きな人もいらっしゃいますけど、私は苦手でした。
幼稚に思えて。
裏口から入って闇の中での梅川との逢瀬も、おままごとみたい。
そう思ってしまったが最後、
おままごとに命を賭けちゃうの?
とか
梅川って本当におバカ?
とか頭の中が疑問と否定の嵐になってしまった。
そんな中で、やっぱり上で書いたけれど、我當さんの八右衛門がとても良かったです。
性格ムチャクチャ悪い上に天狗になっててひがみ根性まであるけど、基本ぼんぼんで世間知らずな部分があってガキ大将の部分があって憎たらしいけど憎みきれない、不器用でちょっと可愛げのある八右衛門だったのが見ていて楽しかったです。
そんな部分がなくちゃ忠兵衛も「友達」とは言わないんじゃないかな。
我當さんは苦手な時もあるしとっても良い時もあるし、不思議。
大体不器用な庶民の役を良いと思います。
竹三郎さんの治右衛門が凛々しかったです。
また上村吉弥さんのおえんが人情味溢れていて素敵でした。
夜の部は幕見完売していて一つも見られなかったのですが…
■ 夜の部(午後4時半開演) ■
『毛抜 』
『仮名手本忠臣蔵 山科閑居』
『上、藤娘/下、供奴』