厚生年金と共済年金の間にあった制度間格差と、先月最も読まれた記事。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは。
年金アドバイザーのhirokiです。


いやー、昨晩メルマガにこれ書いてないと誤解されちゃう!みたいな事を発行20分前に気付いてしまって、書き直すか、とりあえず補足的にこの事例にしてますって事にしようか決断迫られて焦りました(^^;;


予約投稿してて楽に構えてたのにー!

まあブログも前もって書いて、後日投稿するような感じなんですけどね。
ブログは予約投稿ではないけど。




一瞬、時間を過ぎてもメルマガ書き直そうか迷ったんですが、何事もそうなんですが完璧に仕上げて期限に間に合わないよりは、個人的にはデキがイマイチでも期限を守る事が100倍大事だと思ってるので期限をなんとしても死守するために後者を選びました。


発行2分前に書き直し終了(笑)



間違ってるというか、書いとけばより良かったような事だったんですが、やっぱり手抜きみたいなのは個人的に嫌だったけど期限を優先させました。



前置きが長くなりました…




さて、先月一番読まれたブログ記事はこちらでした。
※528ヶ月以上の期間がある人は年金額が倍くらいになる(参考記事)


該当する人って必ずしも多くはないんですが、やはり年金額が大幅アップするから関心が高いんだなと思いました。





一体なぜ増えるのか。
それは厚生年金の、ある部分がオマケで付くから。

というわけで、その部分の話を交えながら見ていきたいと思います。



まず、サラリーマンの厚生年金や、公務員の共済年金(今は厚生年金で統一してますが)というのは、どういう内訳になっているかというと、よく二階建てで例えます。





一階部分が定額部分という、みんな共通の年金として年数に比例する年金(収入が高くても低くても、みんな平等の年金額)
定額部分は昭和29年に初めて導入された。




そして、二階部分に今までの報酬に比例する年金(収入高い人ほど年金が増える報酬比例部分)という内訳になって、厚生年金や共済年金を支給して来ました。




これらの年金は60歳支給だった。




しかし、昭和60年改正で厚生年金も共済年金も国民年金(基礎年金)と同じく65歳支給にするって決めた。
この改正の時に初めて基礎年金が出来た。


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その時、定額部分は昭和60年改正で廃止されて、その人の生年月日により定額部分を段階的に廃止していき、今は65歳までは報酬比例部分の厚生年金だけもらってるっていう人も多くなったけど、この528ヶ月を満たして退職すると定額部分が報酬比例部分にオマケで付いてくる。





共済年金はもともと定額部分なんていうのは無くて報酬比例一本(実際は諸手当を除く基本給である俸給)だったけど、昭和48年に定額部分を導入した。
丁度、厚生年金の給付水準がグングン上がって来たから共済も厚生年金制度に合わせてきた。





共済年金と厚生年金ってとっても給付水準が違ってて、共済年金のほうがめっちゃ高かったんですよ。
制度間格差がとてもあった。
厚生年金は新卒から引退までの全ての報酬を合わせて平均して支給するから、給与が低い時の分まで含めるから年金が低くなる。




一方、共済年金は給与が低い頃から合わせて全体を平均して年金を支給するのではなく、定年で引退するような時の凄く高くなってる俸給(諸手当を引いた基本給)で年金額を計算してたからそりゃ年金額はグンと高めになりますよね。




ちなみに、共済組合の中でも明治40年に出来た非常に古い歴史がある国鉄共済組合(今のJR)は、退職時の俸給を更に特別昇給させたもので年金額を計算して支給させてたから凄く高い年金になっていた。
待遇がとても良かった。


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でも国鉄は共済の中でも、一番財政危機に陥って、事実上年金が破綻したのは国鉄共済組合なんです。
JRって昔、年金制度が事実上破綻してたんですよ。
もう自力で年金支払いムリぽな状態(笑)







昭和30年頃までは電車をどんどん作るため国鉄職員を大量採用して職員は50万人ほどでしたが、それから車とかいろいろ交通手段も充実してきたんで昭和50年くらいには職員50万人ほどだったのが30万人くらいになっちゃった。





で、大量採用した時の職員が引退していく頃に、時代の変化で急激に減った現役職員で年金受給者支えようってんだから分母と分子が崩れて破綻の危機に陥ったんです。
それにどこの年金制度よりも優遇した年金を支給してたからますます国鉄の財政が火の車になっていった。

現役国鉄職員の共済掛金を引き上げて、更に国鉄共済自身の積立金を取り崩してもこのままでは昭和60年過ぎ辺りで年金終了。





だから、国鉄を救済するために、昭和59年4月に国家公務員共済組合連合会に国鉄と、電電共済(今のNTT)、たばこ産業共済組合(JT)を統合して、国家公務員共済組合連合会だけでなく電電共済や日本たばこ産業共済組合とともに国鉄に昭和64年まで総額2,300億円くらいの財政支援をしていき、その後国鉄も民営化したから平成9年4月にNTTとJTと一緒に厚生年金に統合しました。
国鉄、NTT、JTを年金の世界ではよく三共済(公共企業体共済組合)と呼んでます。


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また、もう一つの格差として厚生年金は60歳支給だったけど、実際は共済年金は55歳支給だった。



こういう不公平を改善するために昭和60年改正の時にこのような格差を取っ払った。



そして、平成27年10月の一元化で共済年金は厚生年金の制度に統一させた。

本当は共済年金の厚生年金への一元化は平成7年を目標とされてきたんですが、まあ共済年金を55歳支給から60歳に引き上げれたくらいでしたね。




ちょっと話を戻しますが、昭和60年改正で国民年金を国民全員の年金(基礎年金)として適用させ、当時、国民年金の給付水準と厚生年金の一階部分の定額部分の給付水準がほぼ同じくらいであったから、定額部分は廃止して、今後は定額部分を国民年金(基礎年金)にすり替えてその基礎年金の上に厚生年金(報酬比例部分)を支給するという形になったんです。




定額部分を国民年金にすり替えたから、サラリーマンや公務員は厚生年金だけでなく国民年金にも加入している状態だけど、二重に保険料を支払ってるわけではない。
厚生年金に加入している人は厚生年金保険料だけ支払ってる。






しかし、いきなり定額部分を廃止~!っていうのは出来ないから、男は平成13年から平成25年にかけて、女は平成18年から平成30年にかけて廃止する事にしたんです。




報酬比例部分は男は平成25年から平成37年(2025年)にかけて、女は平成30年(2018年)から平成42年(2030年)にかけて65歳に引き上げる。



昭和60年改正で厚生年金も共済年金も60歳支給ではなく、65歳支給にする!って決めてもいきなりそんな事したら生活設計狂っちゃうから、徐々に65歳引き上げに持っていく経過措置というのをやるから年金は複雑になっちゃってるんですね~(^^;;



65歳から厚生年金支給するってきめたけど、65歳までに経過的に厚生年金を支給するから、特別に支給する厚生年金や共済年金として、特別支給の老齢厚生年金というふうに呼んでるんです。



で、そんな定額部分が無くなっちゃった今も、厚生年金期間や共済組合期間単独で528ヶ月以上を満たして退職すると定額部分が付いて、年金額が大幅アップするんですね~。

528ヶ月を満たしても厚生年金加入中とかだと定額部分は付かない。


※追記
厚生年金期間と共済組合期間合わせて528ヶ月満たしても適用外。



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