一昨日(18日)の朝、いつもの卸売市場へもやしを納めに行った時です。


 卸売人が並べたもやしの袋に油性ペンで番号をつけていきます。番号のついた帽子をかぶった八百屋さんが、自分の番号が書かれたもやしを受け取るのですが・・・


「飯塚さん、悪いんね~。こんなちっとの数でー」


八百屋さんが、もやしの袋を受け取ってそう話しかけてきます。その袋には


「0.7kg」


と書いてあります。


「まったくだよ。こんな細けぇ注文して。もやし屋さんだって大変だろうに」


と卸売担当の方が気遣っていってくれます。私は、


「いえいえ。いいんですよ。」


と話します。実際、そこに並べられているもやしは、


1kgが二つ、2.4kg、6.7kg、9.8kg・・・・と微妙に細かい量目のもやしばかりです。


「まったくさぁ。俺も悪いと思うんだけどさぁ・・」


八百屋さんが続けます。


「最初は0.69kgて注文だったんだぜ。それじゃ悪いよっていって0.7になったんさ」


私は笑いながら


「栄養士さんですね?」


と聞くと、


「そうなんだよ。もう細かくてさ(笑)」


と笑いました。


 かつては給食(学校・病院など)や食堂、弁当屋さんといった業務用に納めるもやしはすべて3kgの量で統一されていました。そして15年くらい前からでしょうか、そういった施設の献立に栄養士さんが関わるようになり、カロリー計算に基づいて注文しますので、納品量がとても細かくなりました。今は大雑把な時代ではなくなったのですね。


 私どももやし屋にとっても、2kg、3kg、4kgならば計量機械を使って一人で作れますが、2kg未満になりますと二人の作業員で手作業になってしまいます。1人が袋を持ち、もう1人がもやしを入れて量りに載せて、微調整をして袋の口を縛るのです。計量機械を使うよりも手間がかかります。


 でも、地元密着型の私どものような小さなもやし屋は、


「効率が悪いからできない」


「規格外の注文は受けられない」


とはおいそれといえません。毎日大量には無理ですが、極力使う人のニーズに合わせた対応を心がけます。もやしの量り売りのようなものです。


・・・・・・・・・・・・・・


「この0.7kgはどちらで使うのですか?」


私は八百屋さんに聞きました。


「近所の小さな保育園なんだよ」


・・・その先の顔が見えた以上、いよいよ簡単には断れなくなりました(笑)。


「ホンとに悪いねぇ・・・」


と何度も八百屋さんが恐縮しますが、私は


「いえいえ。いいんですよ。急じゃ難しいですけど前もって分かっていれば対応しますよ」


と、地元に根を張り、地元に食べてもらっているもやし屋としての誇りを持って応えました。

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