肉食系って…。 | メモらんだむ

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肉食系というものは何なんだ?草食系っていうとおとなしい印象だが、肉食系って言うと勇ましい積極性を想像するのだが…。

恐竜で肉食系の象徴的存在なのが、T・レックスだ。
ナショナルジオグラフィックの記事でそのT・レックスは子供の恐竜を襲って、丸呑みしていたのではないかとの説がかなり説得力を帯びて僕の心を捉えた。
確かにヘビやトカゲなどの爬虫類が肉を食いちぎっているイメージより、小動物を丸呑みしているイメージのほうがぴったり来る。T・レックスの巨大な顎はかなり大きな恐竜の子供まで丸呑みできたに違いない。

確かに、顎間接の伸縮する大きな顎、退化しそうなまでに縮小した小さな手からはすばやく動いていって、ガブリと噛み付き、動きを止め、丸呑みするヘビのような捕食形態が想像しやすい。

そういえば、ライオンや虎などの肉食動物も自分より体積の大きい相手はめったに狙わない。
結果、肉食動物に襲われないように、草食動物は巨大化を選択することで自分の身を守ることができるようになる。メガファウナ(巨大生物)は草食系が多い。肉食系はある一定の大きさで餌になる生物の量が足りなくなるはずで、現在では1トンを超えるようなものは存在しない、せいぜい500㎏程度になる。

余談だが、海洋では餌が動物性プランクトンなど豊富なため、ほぼプランクトンの連鎖以上は肉食系だけで構成される。シロナガスクジラも動物性プランクトン(オキアミなど)を捕食するので、決して草食系ではないし、魚類最大のジンベイザメも草食系のような顔をしながら、当然、動物性プランクトンも食べる。
シロナガスクジラの捕食する餌の量は1口で1トン近くにも達し、一日5トン近くまで、食べるものもあるようだ。

…ということは、肉食系とはそもそも、自分より小さい弱いものと明らかに判るものしか相手にできないという習性をもつということ。積極性とは無縁で、むしろ弱いものいじめ系ということだ(笑)。

ということで、自分より強い相手に立ち向かうのはむしろ草食系が防衛的に行うだけだ。

そもそも、捕食者が小さいものを食べるときに弱いものいじめという言葉はちょっとおかしい。弱肉強食というのも酷いというニュアンスが入る使い方が本来的ではない。世の中の原理原則を四字熟語にしていっているだけで、だから強くなろう、だから力をつけようという行動目標にこそつながれど、決して「酷いね、弱肉強食だね。」と使われる言葉ではないのだ。自然界は勧善懲悪ではなく、食べ物をえるための行動だから、いいやつ悪いやつは存在しない。

むしろ、人間の立場からは、野菜を栽培しているときに野菜を食い尽くす草食系の生物がその観点においては、人間のコンペティターであるし、草食系はやさしいというような印象は一切ないのではないか。

自然界では、弱いモヤシのような存在の生物は必ず捕食される存在になる。
だから自然はより強くなる方向に生物を導いた。
生物自体も、今より、少しでも強くなって生存できる道を模索し続けた。

人類の登場により、最強ということは頭脳を使って考えることだということがわかった。
だから、人類は最強になった。
しかし、人類の中でも頭を使えない、体力的に劣るなどの要因で弱者は存在する。

人類は地球上で最適化した生物の一つだと思う。
しかし、必ず過剰最適のつけは回ってくる。


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ナショナルジオグラフィックより。

共同研究を行った北京にある中国科学院・古脊髄動物古人類研究所のデイビッド・ホーン氏は次のように語っている。「T・レックスのような肉食恐竜について想定されている生態には、現代の肉食動物に見られる行動とは一致しない面がいくつもある。巨体をぶつけ合うような戦いがよく描かれているが、ライオンやトラといった大型の肉食哺乳類には見られない行動であり、普通は弱くて未熟な個体が狩りのターゲットにされるものだ」。

 ホーン氏と同じく共同研究者で、ドイツのミュンヘンにあるルートヴィヒ・マクシミリアン大学(通称ミュヘン大学)のオリバー・ラウフト氏によると、その証拠は狩りの餌食になった動物の骨の化石に残されているという。

 両氏は、世界中で見つかった恐竜の骨に関する研究について分析を行った。対象としたのは1億9900万~6500万年前に相当するジュラ紀から白亜紀に生息した動物種の化石である。

 その結果、死んだ肉食恐竜の胃に未消化のまま残されていた動物の骨は通常わずかな量にすぎないことが明らかになった。しかもそれは年若い恐竜のもので、噛まれた痕跡がほとんど見当たらなかった。若い個体の骨は成体の骨に比べて柔らかく胃酸で簡単に溶けるので、丸呑みにされることが多かったからである。

 両氏は続いて、肉食恐竜に捕食される種であるにもかかわらず、化石の腹部から成体の骨が見つからないものを対象とした研究についても分析を進めた。骨の化石に噛まれた跡があれば、肉食恐竜が歯を使って肉をはぎ取るか、骨をかじってしゃぶっていたと考えられる。だが、そういった跡はほとんど見つからなかった。

 なかには、肉食恐竜に攻撃されてできた傷が治癒していた例もあった。この事実からは、成体であれば攻撃されても死ななかった可能性が示唆される。

 両氏はこうした調査結果から、T・レックスをはじめとする大型肉食恐竜は、現生する肉食動物と同様、弱くて未熟な若い個体を狙って攻撃していたと考えるに至った。「これまで若い恐竜の骨が見つかった例は非常に少ないのだが、これも肉食恐竜の一番の好物が若い個体だったとすれば説明が付く」と両氏は付け加えている。

 肉食恐竜の摂食行動に関しては、メリーランド大学の古生物学者トーマス・ホルツ氏もこれまで厳しい批評の目が向けられていなかったことを認めている。

 同氏は今回の研究には関わっていないが、次のようなコメントを述べている。「T・レックス対トリケラトプスの戦いに関して、これまで数量的な観点に基づく考察はほとんど行われてこなかった。T・レックスについてはいつも大きさばかりが関心の対象だったんだ。今回の研究は『ディスカバリーチャンネル』の番組などで取り上げられる獰猛な狩猟行動とは違った、日常的な摂食行動について考察するきっかけを与えてくれる。もちろん、これまで語られてきたような大きな争いもあるにはあったに違いないが、頻繁には起こらなかったのではないか」。

 研究の詳細は8月3日付のオンライン版「Lethaia」誌に掲載されている。