2020年東京オリンピック開催決定とその意義の所在を考える | 松本浩一(杉並区内でほぼ毎日街頭演説してます)のブログ

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 本日の朝、ブエノスアイレスで行われたIOC総会(国際オリンピック協会総会)で、2020年のオリンピックが日本で開催されることが決定され、すぐに調印がなされました。前回の招致とは違い、メディア各局は特別番組としてその模様を中継をしています。その喜びは日本全国に発信されたことと思います。もちろん、喜びだけが報道され、落胆は報道されることはほとんど無かったですが・・・。

 様々な憶測の中、本来は東京都とマドリードの戦いであるという意見が多く出されていました。私も世界情勢を考えれば、東京とマドリードの五分五分の戦いだろうとは思っていたが、予想は反していました。マドリードは一次投票で姿を消し、東京とイスタンブールとの決選投票。この投票結果は予想に反していましたが、今回、ヨーロッパで開催されることが困る方が、IOC委員の中にいたのだろうという事を察することができました。次の総会で、どこが開催地となるのが見物ですね。もちろん、このことでほぼ東京に決定されたことを誰もが予測できたことでしょう。その後、大差で開催地が東京に決定しています。



 近年、オリンピックは「平和の祭典」という側面よりも、「スポーツビジネス」の側面が強く、そこで意義ある活躍を夢見る純粋なアスリートと、それに群がる私欲とが入り乱れていることが見て取れます(指摘させていただいた時のブログです⇒http://ameblo.jp/matsumotokoichi/entry-11487184846.html )。まさに今回の東京招致はその様相が色濃く見えてしまいました。この様相を感じてしまった方は、手放しに喜べる状態ではなかっと思います。

 今後、東京都にプールされていた4000億円やその他の資金は、オリンピックという大義のために費やされることになります。その経済効果は約3兆円と試算され、酷いエコノミストはご祝儀代わりか「150兆円の経済効果がある」とも言及されていました。7年間という日本の活気が起きる可能性、近くで実際に素晴らしい競技を見ることができる可能性、そのオリンピックの明るい可能性が街を踊っています。



 招致活動での最大の見せ場は、やはり首相の福島第一原発の汚染水問題についてどの様に説明するかであったと思います。連日メディアでこの問題についてどの様に説明するのか大きく取り上げられ、話題となっていました。

安倍首相はプレゼン・質疑で、汚染水問題について
・「福島第一原発の状況はコントロールされている。東京にダメージを与えることはない」
・「結論から申し上げれば、全く問題無いということであります。汚染水による影響は、福島第一原発の港湾内の0.3平方キロメートル範囲内で完全にブロックされています」
等と答えています。

  しかし、疑問な点が多くあります。毎日300トン以上流れている汚染水について、東京電力は、「港湾内の水が外洋と行き来している」ことを会見で説明しています。この点はいかがなのか首相に聞いてみたいものです。
(この様な記事がある⇒首相強弁「汚染水問題ない」 IOC委員質問に回答 実際は外洋漏えいも http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013090802000137.html 東京新聞:2013年9月8日 朝刊)
 
 この様な何の裏付けもない「安全神話」をIOC委員が納得して東京に投票をしたのですから・・・。(こんな記事が流れている⇒最終プレゼンが勝因=IOC委員の評価―2020年五輪招致 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130908-00000059-jij-spo  時事通信 9月8日(日)12時10分配信 )。残念ながらIOC委員の良識、それを流布し続けている一部の日本・世界のマスメディアを疑ってしまうのは私だけではないでしょう。



 この招致を見る時に、様々な側面を見ていかなければならないと思いますが、その一つの動きとして、2019年に開催されるラグビーワールドカップがあります。これは2009年7月28日に、国際ラグビー評議会(IRB)の理事会で、日本での開催が決定しました。日本でのラグビーワールドカップは、様々な都市で試合を開催します。しかし、施設はほぼ出来上がっており、観客動員や宿泊、観光での経済効果はあっても、実際の箱物などによる経済効果は少ないと言えます。

 しかし、見落としてはいけない目玉の箱物は、実は「新国立競技場」の計画です。この競技場の完成予定は2019年3月、ラグビーワールドカップの開催は9月6日からです。つまり、オリンピックの前に、完成する施設となります。もしオリンピックが来なくともラグビーワールドカップ開催国として、国家単位での建設があったと容易に想像されます。報道ではオリンピックの為に新国立競技場を建設するかの様に表現されていますが、実はもしもの時のラグビーワールドカップ、一番の狙いはオリンピック招致、この二段構えの、代々木近辺の開発が狙いであったりもします。

 実際、オリンピックの競技が行われるのは、代々木周辺、有明周辺、開発されるのも代々木周辺、有明周辺が主になっています。この代々木の開発を少しぼかすために、有明近郊の開発や築地移転があるというジャーナリストの方もいらっしゃる程、以前から様々な思惑がそこには存在しています。新国立競技場は総工費推定1300億円、有明は950億円、その他のインフラ、施設建設で4500億円必要と試算されています。もちろん、まだ増える可能性もあります。少しおかしいと思いませんか?狭い東京の中で、他の地区で既存の設備を綺麗にして行けば、様々な催しができるはずですが、それをしようとはしていません。ラグビーの聖地・秩父宮ラグビー場や神宮球場の改修なども以前から決定されています。つまり、これらありきだったという事かも知れませんね。



 もちろん、純粋にオリンピックに出場したい子ども達も多くいます。夢を持ってスポーツを頑張っているアスリートも多くいらっしゃいます。彼らには心から東京オリンピック招致、「おめでとう」と言いたいです。自国でできるという事は、やはり能力を発揮しやすく、そして盛り上がるでしょう。もちろんそれだけのプレッシャーもあるとは思います。

 しかし、様々な思惑がある方も多くいることを忘れてはなりません。報道関係者、現アスリート等々の皆様に、私はこの“思惑”を感じてなりません。残念ながら彼らも、暗に「福島原発の安全神話」の世界に対しての流布を手助けしているといってもいいでしょう。もっと悪く言えば「復興」という言葉を巧みに使い、人を取り込む行為を行っています。招致を勝ち取るためには仕方ないことでしょうか?良識あるアスリートは「純粋な気持ち」がその思惑の手助けをしていることも認識しなければならないでしょう。

 地震や津波からの復興に必要なのは、実質的な生活の安定、インフラの整備、人口上昇による地域の活気、役場機能の整備等々であり、東京オリンピックではありません。思惑のあるアスリート自身の将来の職業確保とイベント参加による収入は増えるかもしれません。オリンピック・パラリンピック種目であれば強化費は出るかもしれません。メディアの視聴率も伸びるかもしれません。しかし、それで復興がなされるでしょうか。被災地に「感動と勇気を与える」というのはまさに詭弁としか思えません。私自身、ずっとスポーツをしてきました。スポーツの素晴らしさは、絶対にあると思います。スポーツには力があることを信じています。もちろん、私自身も日本代表や全国大会出場を目指して頑張っていました。ただ、残念ながら様々な思惑に遭遇して、何度もガッカリさせられ、様々な紛争をしてきた経験があります。それも近年、顕著になっています。



 安倍首相が世界に「原発は安全です」と言ったのだから世界との公約で守らなければならなくなるという方がいらっしゃいます。私も、もちろんそう願いたいです。しかし、安倍氏は今の現状ですら「安全」と言っています。人間が近づくことのできないほどの放射線量の汚染水が出ていても、メルトダウンした核物質がどこにあるかもわからなくても「安全」なんです。今後、何が起きようとも彼にとっては「安全」になってしまうのではないでしょうか。あの説明でIOC委員が納得するのですから・・・。むしろ、今のままでも「国際的に安全と認められた」なんて言い出すかもしれません。あまりにも楽観的であると思います。



 経済効果が3兆円とされ経済的に良いという意見もありますが、将来的な治安問題やオリンピック終了後の経済の落ち込みは過去のデータを見ても明らかです。つまり、経済的な安定は望めないということです。ロンドンでは招致や運営、建設にかかった費用と、実際の経済効果があまり変わらなかったという事も言われています。もちろん、日本建材には何か浮上策が必要かもしれません。しかし、安定性のないオリンピックは突然の地価・株価の高騰をもたらしたとしても、安定性はもたらさないでしょう。

 結局は「後の祭り」、更なる借金が増えることになると考えます。所得再分配にはきちんとした税収が必要です。オリンピックは税収がどれだけ増えるのかは未知数ですが、オリンピック関連費、インフラ整備、アスリート育成関連費等々、財政支出は確実に増えることになります。雇用の安定、社会保障の充実には程遠い財政になるのは間違いありません。もしかしたら儲かるかもしれないというリスクを取るよりも他のことに使う事の方が、オリンピックよりも経済効果を生み出すのではないでしょうか。



 さらに言えば、やはり、スポーツという意義です。東京にどの様な意義があるでしょう。復興ですか?世界的地位を向上させるためですか?単なる娯楽ですか?スポーツで人々に感動を与え、昂揚感を与えることがスポーツの使命であるならば、28競技と限定しているオリンピックに何の意味があるでしょうか。国家によるスポーツ予算は強大でオリンピック競技(一部はかなり厳しいです)とその他の予算は大きく異なります。本当にスポーツの意義を考え、本当にスポーツに喜びを感じるのであるならば、サッカーであれ、ラグビーであれ、陸上であれ、カバディだって、その規模は問わないと私は思います。

 近代オリンピックの提唱者であり、「近代オリンピックの父」と呼ばれるピエール・ド・クーベルタン男爵は、教育としてのスポーツの確立と国際大会を開くことで、「平和」「国際交流」、そして、有名な言葉「オリンピックで重要なことは、勝つことではなく参加することである」という、スポーツを通じて一人の人間として、世界人として努力し続けることの大切さをオリンピックの精神としていました。これに、さらに今は無き「アマチュアリズム」もありました。

 現代のオリンピックは、そのすべて失い、単なる興行、利権の奪い合いの、祭典となってしまいました。自身の努力を見せるために、自国の平和を願うために、愛する母国を有名にするために世界中から参加しているアスリートと、自身の私欲に駆られたアスリート達、利権に目を奪われた関係者との、かい離があります。残念ながら、東京招致の狂気は身震いするものでした。オリンピックの精神の原点を忘れたオリンピックに何の大義があるのか見出せません。



 恐らく、しばらく、オリンピック招致の熱が続き、そして醒め、再び直前に高揚するパターンになるのだと思います。しかし、それが終わった時には、また暗い日々が待っているという事を心に留めて備えていきたいと私自身思います。せっかく東京招致が決まったのだから、恐らく「汚染水はやっぱり危険です」と辞退する様なことはないでしょう。

 であるならば、今回のオリンピックが日本の「経済の起爆剤」となり、少しでも雇用者を増やし、餓死する方を減らしていけるポジティブで情熱的な日本になる様に期待したいと思います。そして、どんな思惑の中でも、純粋に夢を持って頑張る多くのスポーツを愛する人々が真剣に取り組める祭典となることを心から願います。






「政治にタックル!」

松本浩一 (まつもと こういち)  

 

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