先生!遅れてしまって、スミマセン…。 | 獣医師 まつもと先生のブログ

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愛知県豊明市のまつもと動物病院です。
動物たちの健康の窓口として、信頼されるかかりつけ動物病院を目指します。
小さなことでも、お気軽にご来院下さい。

今週末から、ゴールデンウィークが始まりますね…。皆さまには、いかがお過ごしですか??
 
4月も下旬に差し掛かり、狂犬病の予防接種をご希望される患者さんが増えています…。
 
そんな中で、慌てながらに来院されて…。
 
「先生~!ごめんなさい!狂犬病遅れちゃった…。」とか、「ごめんなさい!狂犬病のハガキに書いてある期日を過ぎちゃった…。」とか、言われながら、申し訳なさそうに来院される患者さんが、いらっしゃいますが。
 
 
大丈夫です!!
 
 
狂犬病の予防接種は、『4月中に接種しなければならない』、と言う訳ではなく、6月30日までに接種すれば問題はありません。それに、狂犬病のハガキに記してある日時は、集合注射の日時なので、当院で行う予防接種の日時ではありませんから…。
 
もし、持病やほかの理由により、予防接種の時期を延期せざるを得ないときには、市からの指導により、猶予証を発行致します。それを持って、市役所で必要な手続きをして下さい。
 
ただし、猶予証を貰ったから、手続きをしたから、もう大丈夫な訳ではありません。
 
飼い主さんは、猶予されている期間において、『咬傷事故』等を起こさないように、充分に配慮する必要があります。このことを忘れがちになりますから、もう一度、記憶の中に、留めておいて下さい。
 
狂犬病予防接種については、いろいろな意見があります。僕としては、狂犬病予防法に定められている事を、お国から獣医師免許を持つことを許され、狂犬病ワクチンを接種する資格を持っている者として、出来る限りの接種をお願いするだけです。
 
そして、啓蒙活動を続けていくつもりです。
 
確かに日本は、約50年の間、人を除く哺乳動物の狂犬病発生が確認されておらず、世界的に見ても少数しかない清浄国となっています。
 
狂犬病は、国の法定伝染病に指定されている人畜共通感染症のひとつでもあり、もし、その発生が確認された場合、おそらく日本全土で、パニックに陥ると思います。マスコミ等も、こぞって騒ぎ立てると思います。
 
現在、施行されている狂犬病予防法は、今の時代にそぐわないのかもしれません。今後、改定が行われることに期待したいですが、現状では、現行法を厳守し、犬を始めとする哺乳動物(接種義務はありませんが、人と近い存在と言うのであれば、猫も含みます。)での予防を進めることで、公衆衛生上の観点から、人を守っています。
 
犬を守ると同時に、人も守っているということを念頭に置いてください。
 
簡単に言うと、狂犬病予防接種を受けている犬は、少し痛い思いをしながらも、人を守ってくれているんです。
 
狂犬病予防接種は、任意のワクチン接種(混合ワクチン接種)やフィラリアの予防とは違い、法律で定められている飼い主さんの義務になります。接種するしないを考え、後者を選択した場合には、それなりの責任が生じます事をご理解下さい。
 
時折、接種している飼い主さんと接種していない飼い主さんとでは、格差や差別があるのでは??と言う質問をお受けします…。
 
確かに、清浄国としていつまでも、この状況が続くのであれば、その疑問は正解なのかもしれません。だた、もし、一度でも発生してしまった場合の事を考えれば…。おのずと答えが見つかるのだと思います。
 
予防出来る手段を知っているのに、それを啓蒙しない訳にはいないと思っています。
 
いまだに、ご年配の患者さんは、「狂犬病は怖い」と言います。僕らくらいの年齢では、狂犬病を知らない世代になりますから、実体験としての狂犬病の怖さを知りません。これは、今まで啓蒙活動に尽力されてきた多くの大先輩獣医師が、国の指導により予防接種を進めてきた結果です。
 
もし、一度でも狂犬病が発生してしまったら、僕の子供たちの時代、孫の時代、もしかしたら、それ以上の年月を、狂犬病の脅威と戦わなければならない状況になるかもしれないんです。
 
また、今の政府の状態から考えると…。
 
発生が確認された時に、迅速な対応が出来るのか??っと言う疑問も湧きますしね…。
 
皆さんのご協力が必要なのです。どうぞ、よろしくお願い致します。
 
 
 
愛知県豊明市の動物病院 まつもと動物病院 院長 松本逸宏