ツォツィ | What a Wonderful World

ツォツィ

実は大分前に試写会で見ていたのだけど、

これはゆっくりレビュー書きたいなぁ、なんて温存していたら

・・・映画、始っちゃいましたね(^0^;)


やっぱり観た日に書くようにしないとなぁ・・。

とつくづく感じております。

監督:ギャヴィン・フッド

出演:プレスリー・チュエニヤハエ、テリー・ペート、

    ケネス・ンコースィ、モスツィ・マッハーノ、

    ゼンゾ・ンゴーベ、ZOLA、ジェリー・モフォケン


ツォツィは南アフリカの黒人居住区に住む黒人都市犯罪者、

チンピラ、ギャングを意味する言葉。

ツォツィと呼ばれる少年が赤ん坊を手にし、

ちょっとずつ変わっていくという話。


ん?よくある話?

ジャッキーのブロジェクトBBもそんな内容だったよね?

なーんて、思ってはいけません。

ここに描かれているのはまぎれもない南アの現実


元南ア大統領のネルソン・マンデラは監督、出演者と対面した際、

「自分もかつてはツォツィだった。

南アフリカを世界に知らしめたのはこの作品だ」と言ったそう。


ツォツィを生んだのはアパルトヘイトだった。

アパルトヘイトが終焉して10余年経つけれど、


「悲惨な現状はまだ終わっていない。

豊かな生活を手に入れた黒人はほんの一握りにすぎず、

これまでの人種格差に黒人内の格差も加わった

空前の格差社会となったのだ。


それに伴い社会犯罪は激化し、エイズ孤児の問題も暗い影を落としている。

豪邸に暮らす黒人がいる傍らには水道や電気が通っていない

ボロボロの家を住処とする黒人がいる。


映画『ツォツィ』の中では、奪う側も黒人ならば奪われる側も黒人だ。」

(映画パンフレットより)


数年前からわたしの座右の銘は

「環境は与えられるものではなく自分で創るもの」だった。

でも、彼らを前にして今はその言葉を口にできない自分がいる。


もちろん与えられた環境から犯罪に走るかそうでないかは自分次第。

だけど周りから、世界中から押し付けられたその環境は

1人の力で変えるにはあまりも大きすぎる時がある。


「アパルトヘイト政権下、1952年、黒人の行動を厳しく制限する

パス法が適用された。

黒人は特定の地域に住み、働くためにパス(許可証)を持たなくてはならず、

パスの無所持、または間違ったパスの所持は犯罪行為とみなされた。

このため教育も仕事もパスも持たない若者たちは

チャンスのなさに苛立ち、犯罪へと走ることになった。」

(映画パンフレットより)


元国連専門家のジョン・フリードマンという人が

これまでの貧困の定義を変えました。

貧困=物やお金がないことではないと。

それは貧困のほんの一部であって全てじゃない。

彼が新しく提唱した貧困の定義は

「力が剥奪された状態(自律して生きられない状態)」だった。


彼はその力を8つあげて著書「市民・政府・NGO」新評論の中で

説明しているのだけど、その話は今は置いておくこととして、

このツォツィの場合もその新定義の貧困に当てはまるんじゃないかと思った。


機会をはく奪されてる。

それはまぎれもなく貧困の一種だ。


なんで生まれた場所が違うだけでこんなにも人生が違ってしまうんだろう。

それは前からずーっと思い続けていること。

そしてそれは私がNGO活動に足を踏み入れるきっかけになった感情。


どの国に生まれたとしても、どの場所に生まれたとしても

「環境は与えられるものではなく、自分で創るもの。だから頑張ろう」

そう言えるような世界になればいい。そう思う。


南アに行っていた友人、むっこ。

彼女はちょうど映画の舞台になったソウェトに行っていた。

「映画観て、向こうの友達や子どもたちのことを

めっちゃ思い出しちゃったよー」

彼女は言った。


映画ではあの豪華な家まではスラム街から少し距離があるようだったけど、

実際は道を隔てて、向いは豪華な家でその反対側は水道もない粗末な家

といった状況が普通にあるのだそう。


「エイズや格差は私の友達、家族、友達の友達の生活の中に

普通に存在するんだよね。

子どもたちの無邪気な笑顔とみんなの夢と一緒にさ。


あたしも南ア行く前はさ、彼らに会う前は、

アフリカは遠くてどこか他人事のように響いてくる

ニュースの中の国だった。


この映画を見て、

お願いだから、遠いどっかの少年の話だと思わないでって

そう思ったよ。」


最後に言った彼女の言葉が今でも頭の中をぐるぐるしてる。


友だちの友だちは「友だち」でしょ?


家族の家族は「家族」でしょ?


私はJVCのアフリカボランティアチームにいるのですが、

そのJVCはこのツォツィを後援しています。

事務所では特別価格1400円で前売り券を販売していて、

一部はJVCへの寄付となります。

見に行かれる際、よかったらぜひhttp://www.ngo-jvc.net/