松田まなぶの論点 集団的自衛権も経済政策もTPPも、政策の目的やシナリオを論理的に組み立てよ | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

5月23日 内閣委員会・一般質疑
松田まなぶの質問のポイント 答弁者:菅義偉・内閣官房長官、横畠祐介・内閣法制局長官、甘利明・経済財政担当大臣


◎憲法、集団的自衛権。
○9条1項の解釈と「芦田修正」:報告書で違和感
・憲法9条1項に言う「国際紛争を解決する手段としての戦争放棄」…これを「日本が当事国である紛争解決の手段としての武力行使の放棄」と読んでいる。
→日本が当事国でない国際紛争の解決はこの禁止の範囲には含まれていない。→集団安全保障参加は可能(集団的自衛権を超えた領域の問題)。
⇒芦田修正論とはこのことを指しているとした上で、
→「芦田修正論」を政府としては採らない…論理の飛躍ではないか。
〇そもそも芦田修正論とは、
・パリ不戦条約以来、9条1項は侵略戦争の放棄を指すと解釈するのが国際標準の解釈。
→9条2項の「前項の目的を達するため」とは、「侵略戦争のための戦力不保持」に本質。
 これは自衛のための実力まで持てなくならないための修正。集団安全保障までできるための修正ではなかったのではないか。
 少なくとも「国際的に合法な活動に憲法上の制約はない」というのが「芦田修正」の意味ではない。



<対官房長官>
(問) 総理は会見で「芦田修正論は政府として採用できない」としているが、「前項の目的を達するため」との文言を入れた「芦田修正」の意図は、集団安全保障に道を開くことではなく、戦力不保持や交戦権否認が自衛を目的とするものにまで至らないようにするのが趣旨だったのではないか。「芦田修正論」を否定するのは、その意味までをも否定することを意味しているのか。国連の集団安全保障措置への参加に道を開くのが芦田修正の趣旨だとし、それを否定することで、本来の芦田修正の意義まで否定するのは適当ではないのではないか。

<対法制局長官>
(問) 「芦田修正」についての政府の立場は、第1項が侵略戦争の放棄を意味しているとしても、それだけでは、自衛のための実力行使が可能な領域が広すぎるため、「前項の目的を達するため」を「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、」をも直接に受けたものと解することで、この領域は「必要最低限度」の範囲に限定されると解するものなのか。あるいは、憲法9条は自衛のための戦力や交戦権まで否認しているものと解した上で、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置の根拠は憲法前文、13条のほうにあるする(そうであるがゆえに必要最小限度)とする考え方なのか。
横畠・内閣法制局長官より、日本が自衛のための措置をとり得る根拠は憲法9条(芦田修正)ではなく、憲法前文(平和のうちに生存する権利)や憲法13条(生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利)ある旨の答弁。



◎憲法改正の対象の明確化
・そもそも「必要な自衛のための措置をとり得ることは憲法で禁止されていない」(砂川事件判決)。
→では、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置として許されるのはどの範囲かの議論。→結果として集団的自衛権に入るものが一部ここに入る…というのが本来の議論の立て方ではないか。
・このまっとうな議論を妨げたのが、国際標準よりも集団的自衛権を狭く定義し、そこに入る者は一律に排除する議論の立て方。ミソもクソも一緒。悪いものに合わせて一律禁止する発想の弊害。
・集団的自衛権の定義も日本政府の定義は国際標準とはやや異なる。砂川事件に際しての検察庁の上告趣意が国際標準に近い。
・この議論と、現行憲法で許される範囲を超える実力行使をどうするかの議論は分けて考えるべき。後者は、憲法改正の対象。それはそれで別に議論し、国民投票による選択に委ねる領域。

<対官房長官>
(問) 自衛隊が武力行使を目的として湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは、これからも決してありません、と、総理として言い切ってよいのか。日本のトラウマは湾岸戦争に参加しなかったことにも起源があり、これは現行憲法のもとではできないが、これは現段階での検討事項ではなく、必要であれば、憲法改正のアジェンダの一つとして将来の国民選択の対象として論じられるべき課題であると表明すべきだったのではないか。政府解釈の変更だけでなく憲法改正も視野に入れて国民的議論を喚起すべきなのではないか。
・論理的な整理をしないと誤解のために議論が進まないことになる。

・総理は「憲法が掲げる平和主義はこれからも守り抜いていく」としているが、集団安全保障措置が国際平和の回復を目的になされるものである以上、総理が「積極的平和主義」を掲げる限り、これに参加しないことを宣言すると、日本の立場が分かりにくくなるのではないか。

<官房長官>
(問) 総理は会見でNATOでの演説で「集団安全保障における我々の責任等」についても説明し、各国から高い支持をいただいたと述べているが、それはどのような意味の「責任等」なのか。NATO演説では駆け付け警護までは言及されているが、それについての支持なのか。総理が日頃から「積極的平和主義」を掲げていることと、この演説の文脈からみて、各国には集団安全保障措置への参加にまで期待が広がっているということはないのか。
・総理のNATO演説より該当箇所:「国際社会と協力して、地域や世界の平和を確保する。そのために、日本として、これまで以上に積極的な意思と能力があります。そして、現在、憲法と集団的自衛権、集団安全保障、PKOなどとの関係について、議論を進めています。…駆けつけ警護の話…、今後、世界の平和と安定のために、日本はどのような貢献をなすべきか。そして、いかなる貢献が可能なのか。そのためにはどのような法整備をなすべきか。政府としての方針をまとめたいと考えています。」
〇以上については、次の資料をご参照ください(クリックして拡大)。



◎アベノミクス
<対甘利大臣>
(問) 円安による物価上昇に加え、人手不足など供給面のボトルネックが深刻化している現状は、ディマンドプル型の物価上昇のもとで2%インフレ目標の達成を想定する経済の姿とは異なっており、アベノミクスが当初に描いたはずの経済回復シナリオと実体経済との間に乖離が生じているのではないか。目標として掲げたとおり2015年に2%のインフレ率が実現した場合、そのうちどの程度がコストプッシュ要因による部分であり、どの程度がディマンドプル要因による部分と想定しているのか。

◎ポートフォリオの改善と経済社会全体の生産性の向上 

〇年金資金の活用
・国民経済の果実の分配としての年金
・年金は労働分配の一形態であり、その財政的基礎は国民の生産に依拠する必要。国債ではなく、事業投資の成果の分配を基盤にすべき。
・欧米の公的年金では、年金の産業金融的な重要性に鑑み、一定割合の産業投資が法制化。その長期性のリスクキャピタルの性格から、新たな産業の勃興にもつながっている。
・多様なVC(ベンチャーキャピタル)やPE(プライベートエクイティ)という金融ベンチャー会社と呼ばれる存在は、適切な規制の下に、国策として積極的に奨励・育成されるべき性格のもの。
・富を生むのは国債ではなく、産業。GPIFは運用資産の約55%を国内債、その多くは長期国債。
⇒異次元金融緩和が奏功してインフレ率がアップし長期国債の金利が上昇することで相当な評価損。国債は低リスクではなく、国債への集中はかえってリスクを高めている。
⇒年金支給に大きな支障に。



<対甘利大臣>
(問) 年金資金の運用が国民経済・産業と一体であり、年金支給とはその果実の分配であるとの基本的性格の再認識の上に立って、その運用のあり方を抜本的に見直すべきではないか。年金基金は、リスクとリターンとの適切な関係を追求することを通じて、多様な金融ファンドに幅広く分散投資すべきではないか。経済財政担当大臣としての所見を問う。

○大阪PFI水道事業
・一昨日の総務委員会との連合審査で、PFIなど民間資金活用スキームの進展を妨げているのが、地方債や地方交付税制度などに安易に依存できる現行の地方財政制度であり、地方の自立の観点からも、その抜本改革こそが日本の行政改革に求められている課題ではないか。総務大臣の見解を問うた。
・これは地方財政改革についての深い議論が必要。
・大阪市は、昨年11月に水道事業について施設などの資産を市が保有し、市が100%出資の新会社にコンセッション方式で運営権を譲渡する民営化案を打ち出した。
・これに対して市議会では自民公明が「民間企業は利益を追求するのが目的で、経営が厳しくなれば安全、安心は担保できない」等のさまざまな理由で反対。
・これに対し橋下市長は、水道民営化は自公政権のめざす成長戦略であり、もし本当に安全・安心が守られないということであれば、自公が成長戦略で推奨している公共施設等運営権制度を廃止すべき」と反論。

<対甘利大臣>
(問) 大阪市議会では水道事業の民営化、コンセッション方式のスキームに自民公明の議員が、PFIの趣旨そのものに反対であるかのような理由を挙げて反対していると聞くが、与党の成長戦略の一環とされているPFIを推進する政府の立場として、この仕組みについての理解がもっと浸透するよう努めるべきではないか。
甘利大臣より、地方議会にもPFIが徹底してくよう努力したい旨の答弁。

◎TPPと国際経済戦略シナリオ

・甘利大臣はロンドンで講演し、TPPについて、「中国も、いずれは入らざるを得なくなる」と語った。
・国営企業体制の中国にとっては体制を揺るがすような大問題。
・改革を進めるベトナムはそれを覚悟でのTPP参加。
・それは日米の協働による大きな外交戦略とも絡む。
・これは、安倍政権としての外交・国際経済戦略の全体像の中で、TPPをどのように位置づけての発言なのか。
・アジア太平洋諸国を日本に対して開いてもらう、経済面での国際ルールを日本にとって有利な形で整備するとのTPPの日本にとっての本質的な意味に鑑みて、交渉でどのような成果が見込まれるのか。また、その成果をRCEPや日・EUのEPAへとつなげていく上で、政府はどのような全体戦略を描いているのか。



<対甘利大臣>
(問) 世界経済秩序の形成に向けて、次のような動きや論点があるが、これらを踏まえ、日本政府としては、今後の国際経済戦略のロードマップをどのように描き、そのもとにTPPや日本の役割をどのように位置づけているのか。①中国とTPPとの関係、②FTAAP形成の動きにおけるRCEPとTPPとの関係、③日・EUのEPAと、TTIP(環大西洋貿易投資協定)や日米欧による国際秩序形成との関係、④日米欧の動きとFTAAPとの関係。