松田まなぶの論点 総合特区制度 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

総合特区改正法案と地域再生 内閣委員会質問内容
2013年5月22日 衆議院議員 松田学

●経済政策の在り方は、政府介入か自由放任かで、先進各国でも大きくぶれてきた。私たちは、野蛮な市場主義でも政府主導でもない「第三の道」としての「ゆるやかな介入主義」を提示したい。
 これは、行動経済学に基づく考え方で、複数の選択肢を与えて個人の納得で経済が進んでいくという道である。それによって、社会にとって望ましい方向に個人の選択がなされていく。英国で普及しており、ナッジ(軽く肩を叩く)とも呼ばれている。
⇒政府の役割は「選択肢の提示」にある。個人や企業等が自ら主体的に選択することで動いていく経済にしていく。
 「自立」を提唱する維新の立場→「選択の自由」こそが究極の価値観。
 ならば、各人の価値選択の自由を保証し、価値選択の幅を広げることが政府の役割。
●この観点からみると、総合特区制度は…
 構造改革特区が尻すぼみになっていることの反省に立って、
 全国展開→所管官庁が大胆な規制緩和に慎重→全国展開を前提としない。
 これではまるで霞が関の論理。官僚を超えた政治的リーダーシップではない。
 良いプロジェクトにテーラーメイドで支援措置を集中するという総合特区制度は「がんばる者を応援する」趣旨であり、反対はしない。この制度は方向としては賛同する。
 しかし…、一見、民間活力と自立支援を重視しているようにみえながら、実際には、国が特区に認定した特別の地域にしか、民のチャレンジに向けた新たな選択肢は生まれない。
 こうした建付けでは本来目指すべき「自立とチャレンジに向けた選択肢の拡大」を誰に対しても保証するものでない。その観点からは不足。
 逆に、新たな選択肢を与えられるためには地域が国に特区に認定していただく必要。各自治体が霞が関に気に入ってもらうよう日参することに。
●私が地域再生構想を提示してきた淡路島でも、「環境未来島特区」が認定されたが、本来は有望な技術の新結合を提案してきたものだった。しかし、県はそちらよりも、いかに霞が関に認定してもらうかの方ばかりに目が向いていた。

(問1)地域を限定しない形での規制緩和措置でなければ、チャレンジする者に対してチャンスを与える上では不十分であり、総合特区制度の考え方では、逆に認定を受けようとする地方の側の中央依存を強める結果になりかねないのではないか。⇒新藤大臣

●紙の上での「構想」よりも大事なのは、現実に民の事業が動くこと。
 その意味で、単に規制緩和だけでなく、具体的な支援策を集中させ、まずは「成功モデル」を構築しようとする総合特区制度は一歩前進。
 成功モデルの伝播こそが日本を動かす道。
●しかし、今回の法案を見ると、講じられた特例措置が、そもそもなぜ、全国展開できないものなのか、率直な疑問を感じさせるものがある。
 特定の地域やプロジェクトを応援するだけでなく、どこでも誰でも、やろうと思う者にはチャンスを与えることこそが、自立型のソリューション。

(問2)今回措置されている国有財産法の特例については、そもそも売却の可能性が極めて低く、多額の維持管理費を要する財産は、合理的な理由があれば譲渡するのが財政的な観点からみてもプラスであり、特区に限定すべき措置ではないのではないか。⇒新藤大臣

(問3)同様に、税制の特例措置の拡充についても、成分分析器など開発研究用の「器具・備品」が課税の特例措置の範囲に入らない理由は何か。そもそも、課税の特例措置の線引きをどのように行っているのか。⇒新藤大臣、財務省
…「機械・建物等」と論理的にどこが違うのか。まるで建設公債の論理である。

(問4)特産の水産物及び加工品を、酒税法の特例措置の適用対象として総合特区については認めているが、なぜ他の地域で個別に判断して特例を認めることができないのか。⇒新藤大臣、財務省
…そもそもの規制:酒類の最低年間製造数量基準に達しない場合は酒類製造免許がおりない→この免許制の目的は「酒税の保全」→税金を確保するために製造をさせないという論理は分かりにくい。

●いずれにしても総合特区制度は、なぜ、この地域ならやっても良いが、他の地域ではやってはいけないのか、という点でいま一つ説得力に欠ける。
 
 以下、本制度を離れて、さまざまな地域再生構想に携わって、民間の自立思考による地方の自立を応援してきた者として、地域再生担当大臣に所見を聞く。

●都市への人口集中で日本の活力を生み出す。人口減少と高齢化で一人当たり社会的コストが高まる郡部から撤退し、都市部に人口移動を起こす。そのために魅力的な価値を各都市が組み立て、人口の吸引を促す。各都市ごとにテーマ設定が重要。
●日本の経済成長は都市にかかっている。「稼ぐ都市」の構築で、地域に分配する資源を増やす。
●大事なのは、都市強靭化。
●家族に頼れない単独世帯が増加。高齢化が進めば非血縁者同士が安心して暮らせる都市を築くことが大切な視点。生き甲斐をもてる「共生都市」。
●地方分権改革・道州制を成長戦略そのものにする。集積都市を特定するのが道州制。グローバル経済で競争できる広域経済圏を構築。特定都市への集中を起こすのが道州制。集積の裾野を広くとることが道州制のエコノミクス。
●「戦略的撤退」と集積のインセンティブ構築が重要。

(問5)今後、地方分権改革や道州制を推進していくにあたって、広域経済圏を形成し、その中核都市に都市集積を行うことが必要となってくると考えられる。都市の魅力を高め人口集積を起こす上で、例えば商店街を再開発し、医療と福祉の連携を実現することによって超高齢化社会の拠点にしていくためには、そのための法人をつくり、定期借地権や信託の活用を進めることが有効とされているが、その成功事例が極めて少ないことについて、政府として何らかの促進策を講じる必要があるのではないか。⇒新藤大臣
…「まちづくり運営会社」をつくり、商店街の不動産を定期借地権や信託によって有効活用する。商店街全体が活性化することで、地元商店街の不動産所有者個々人が潤うことになる。この関係性を説得していくべき。

●個々の病院ではなく、「地域全体が一つのHospital」。病院の概念変化を起こすべき。そのため、地域医療・福祉ネットワークシステムが重要。地域に特化した日本版IHN(Integrated Healthcare Network)として、医療・福祉のプラットホームを地域単位で組み立て、全国各地で展開。
●急性期であれ療養型であれリハビリであれ福祉であれ、何があってもワンストップで住民の健康やケアへのニーズにただちに応える社会に。
●救急医療施設、急性・亜急性治療施設、療養型病院、リハビリ施設、介護施設の連携でモデルケースを作る。
●日本型IHNは一つの医療圏内の住民に必要な医療サービスを可能な限り網羅する事業体。地域で情報共有。

(問6)日本版IHN(統合ヘルスケアネットワーク)のように、地域医療圏を構築し連携を図っていく施策は、単に厚生労働省としての施策にとどまらず、地域活性化という視点からも重要と考えられるが、政府としての取り組み如何。⇒新藤大臣

(問7)今般、地域経済活性化支援機構によって地域ファンドの促進策が取られており、また、金融商品取引法改正においても、(銀行の株式保有に関する)5%ルールの見直しが打ち出されている等、地域の面的事業展開を促進するための金融面での仕組みが整いつつあるが、こうした動きと自治体が連携関係を取っていくことが重要ではないか。また、PFI改正法案の成立に伴い、PFI推進の上で自治体の取り組みが期待されるが、政府としてこれをどのように推進していくのか。例えば、コンセッション方式のガイドラインの策定など自治体に対する指導、助言を行うべきではないか。以上を総合的、戦略的に展開していくべく、省庁横断的な取り組みが必要と考えられるが、大臣の見解如何。⇒新藤大臣

●アベノミクスの3本目の矢の成長戦略の一環として、「国家戦略特区」が政府で検討。地方の自主というよりも国主導の色彩が濃い。経済活動を呼び込む「立地競争力」、地域単位以外の「特区」などが構想されているようだが…

(問8)今般、政府で検討が始まった「国家戦略特区」について、「これまでとは次元の違う」特区を実現する方向で議論が行われているようであるが、従来の特区制度とどのような点で異次元なのか。⇒新藤大臣

●その他、以下の質問を用意→時間不足にて質問できず、他の機会に。

(問)地域再生を進めていく上では、「民が支える公」の推進が重要であり、各人の自立的な意思で公共的な価値を選択するという意味で、ふるさと納税制度があるが、その現状における効果について伺いたい。また、千葉県市川市に事例がみられる「ハンガリー方式」(住民税の一部を住民の選択でNPO支援に充てる)の導入について、自治体に対して推進すべきではないか。⇒新藤大臣、総務省

(問)PFI改正法案の成立に伴い、PFI推進の上で自治体の取り組みが期待されるが、政府としてこれをどのように推進していくのか。例えば、コンセッション方式のガイドラインの策定など自治体に対する指導、助言を行うべきではないか。⇒新藤大臣、内閣府

「国家戦略特区」として、
(問)報道によれば、沖縄を「イノベーション(技術革新)特区」にする構想があるようであるが、政府としてどのような方針で取り組んでいく所存なのか。⇒新藤大臣
…日本維新の会は、自立という考え方を大事にしている。中央の特例措置に頼ってきたことが沖縄にとって本当によかったのか、沖縄の自立した将来を考えなければならない。沖縄に基地があることについては、東アジア・太平洋における地政学的メリットから説明されることが多いが、同じことは、経済面での地政学的なメリットになるのであり、アジア太平洋の成長をそのまま取り込むことができる強さが沖縄にはある。ただ、それを生かすためには、例えば、健康医療特区であれ、金融特区であれ、いろいろな話題があるが、やはり求心力になっていくような経済・産業のイメージづくりが必要。それを具体的に描く必要があるのではないか。