嬉しい報告:子供ができてもできなくても夫婦の絆が大切 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

2015.11.5「Q&A896 AA融解胚の発育停止2回」、2015.11.27「Q&A918 AA融解胚の発育停止2回の続き」でお答えいただきました。
結局、松林先生のアドバイスの検査もしてもらえず、主治医を信用して治療することもできず、2回目の質問のあと有名な不妊クリニックに転院しました。このとき、夫の精子の成績は毎回良好でふりかけで充分と言われましたが、顕微受精でお願いしました。

私の採卵は
・完全自然周期→卵子育たず中止
・クロミッドを生理5日目から1錠ずつ服用のみ→1空胞(D9採卵)
・同様の誘発→採卵2個。うち成熟卵1個、未成熟卵1個(D16採卵)→新鮮胚移植(4分割胚グレード2)→ET12陰性
・同様の誘発→採卵3個。成熟卵3個(D12採卵)→2個受精、2胚盤胞凍結

卵子が育たなかったり、空胞だったりで、卵胞の中に卵胞ができていたりして、ある先生には『あなた達の不妊の原因は私の卵子が原因ですよ。』と言われたこともありました。多くの医師がいるそこでも基本的な検査以外は、追加で検査するシステムでもなく『ただ自然周期での採卵と移植を繰り返して妊娠するのを待つのみです。』と言われました。
・融解胚グレードA移植→BT7、β-hCG 9.9一応陽性判定→化学流産
ここで、着床できると分かって前進した気がした一方で、月5-6回の早朝通院(5時起きで6:40から順番待ち)、職場への遅刻、その後ろめたさ、心身ともに負担となり不妊治療の継続がもう嫌になっていました。不妊治療も3年が過ぎ、先の見えないこの日々にもうやめようかな…と考え始めました。他に転院する気力すらありませんでした。

お休み周期で、今まで不妊治療のために我慢していたコーヒーやお酒、旅行、ゴルフなど全部やってやろう!と、やりたい放題に過ごし本当の意味でニュートラルな気持ちに持っていくことができました。夫に内緒でもうこれで最後にしようかな…と考えつつ
・融解胚グレードB移植→BT7、β-hcg25.6→BT17胎嚢確認、その後心拍確認
これが継続し、重症妊娠悪阻、切迫早産で入院など休職期間も長く周りに迷惑ばかりかける妊娠生活で楽しむこともほとんど出来ませんでしたが、もうすぐ34週。日々大きくなるお腹と痛いほどの胎動に大きな喜びと幸せを感じています。2人目の治療は考えていないので、これが最初で最後の経験かもしれないと思うと、自宅での絶対安静も毎日毎日が貴重に思えます。

せっかく先生にアドバイス頂いた検査などは残念ながら受けることは出来ませんでしたが、先生のブログで取り上げられるトピックスを実践したり、ニュートラルな気持ちで治療に向かう姿勢が重要であることを身をもって体験することができたように思います。もうすぐ我が子に会えるかと思うと、辛く苦しかったけれど貴重で親になるために必要な体験ができたのだと思えます。子供ができてもできなくても、夫婦の関係が上手くいっていることが前提だと気づかされ、私達夫婦の絆を深め、より良い関係を築くこと、人間として成長することができたと思います。

本当に感謝しております。愛情と厳しさをもって大切に子育てをしていこうと思います。ありがとうございました。