Dr.Mの診療録 その2:警察から電話です | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

 ある暑い夏の昼下がり、午前の外来を終えようとしていたところ、「○○警察から電話です」と病院の電話交換台から連絡があった。○○警察って何だろうと電話に出ると、「先生の患者さんで○○さんという方はいらっしゃいますか?」「確か今日来た人だと思いますが、何か?」「病院の裏の○○神社で、その患者さんご夫婦が全裸でいたのです。近所の方が通報し、駆けつけたところ、精子を採取しているんだと言うのですが、病院の松林先生からそうやってとるように言われたと言っています。本当ですか?」「確かに、明日人工授精なので、明朝精液を持って来てもらうことになっていますが、そのような形で取るようにとは言っていません」「そうでしょうね」このやり取りについては、念のためカルテに記載した。果たして、明朝その患者さんは病院に来るのだろうか、密かに心配しながら、明朝いつものように外来業務を開始した。○○さんは普通に現れ、いつものように人工授精を行い、帰宅した。警察の一件はお互いに一言も触れずに終わった。診療後に住所を見て驚いた事に、そのご夫婦は既に私たちの町から数ヶ月前に転居し、3つ隣の県に引っ越していた。以前こちらに住んでいたので、土地勘はあったのだろうが、病院の裏の○○神社は非常に見つけにくい場所で、この病院に勤めている人でも知らない人が多いところだった。そういったプレイにはうってつけの場所だったのかもしれない。毎年夏になると、この出来事を思い出すが、その後この患者さんは病院を訪れていない。