AMHの変化について | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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本論文は、AMHの変化について検討したものです。

 

Fertil Steril 2016; 106: 1230(オーストラリア)

要約:38名の女性からのべ238回採血を行い(1名約6検体)、AMH測定値を後方視的に検討しました。個人のAMH変動は1生理周期内で平均20%であり、複数の生理周期では19%でした。一方、同一検体の複数回測定による測定誤差は6.9%でした。AMHの誤差は、低AMHの場合により顕著でした。

 

解説:AMHに変動があることは複数の論文で報告されています。たとえば、冬季にはAMHが18%減少すること(ビタミンD減少のため)、喫煙、急性疾患など様々な疾病により減少することが知られています。AMHは卵胞の供給量を示していますので、供給を増加させる卵巣刺激(HMG、FSH)により増加し、供給を低下させるピルや妊娠により減少します。また、生理周期では、8mm以下の小卵胞からAMHが産生されるため、生理から生理終了直後のAMHが最も高くなります。本論文は、AMHの誤差は約20%、AMHの変化を考慮し複数回の測定が望ましいとしています。