☆嬉しい報告 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

記事にてご返信前ですが先日の胚盤胞移植で妊娠し、昨日心拍を確認できました。記事の方は私へのご返信は大丈夫ですので、他の方をお願いします。先生のご返信を待っている患者さんがたくさんいます。 

先生の記事を読んで、参考にしたのは、諦めない方が妊娠する、一度でも着床した周期からヒントを得て繰り返す、同じことを繰り返さないことでした。ニュートラルな気持ちでいることも参考にさせていただきました。

最後に移植した胚がシュリンク(収縮)胚でしたので、あまり期待せず仕事もフル稼働で行い、これでダメなら松林先生のところへ行こうと軽く大阪でたこ焼きを食べる期待をしていましたが、うまく妊娠できました。妊娠までに3年半かかりましたが、論文通り、4AA以上の胚盤胞を繰り返し移植しても着床せず、良好胚ならSEET方でオッズ比が3以上になると原著で読みまして、SEET法を開始して、4回SEETを併用し、そのうち3回着床しました。3回目が今回でした。前回着床した自然周期にこだわりました。やはり、培養液では完全に子宮内の環境を再現することはできないのですね。

一つ分からなかったのが、自然周期でのホルモン補充についてです。高温期が顕著に短くなっていたので、自分の考えで膣座薬で補充をしましたが、妊娠陽性になってから主治医が黄体ホルモンがあまり過剰だと児が心臓が悪くなることがあると言われ、中止しましたが、自然周期では内服のみか、膣座薬補充だとどちらが生産率が高いのでしょうか。今後のブログにてまた勉強させていただきます。

先生のブログを通し、医師には常に新しい知識を吸収し、それを活用する義務があることを改めて学びました。自分も一生勉強を続け、少しでも医療に還元出来るように努力しなくてはならないと、不妊治療とは別の勉強になりました。この妊娠が維持できるか、まだわかりませんが先生には感謝しております。ありがとうございました。日々の御診療、大変でしょうが先生のご活躍を勝手ではありますが心より応援させていただいております。 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
下記の質問でした。
42歳、夫婦共に医師です。38歳時のAMH 1.2。できる検査はすべて行い、原因はなし。不妊治療を受ける前に子宮多発ポリープに対し内視鏡下切除を行いました(37歳)。低AMHのため人工授精二回後、すぐに顕微授精になりました。これまで採卵25回ほど、胚盤胞移植10回ほど、主人が10歳年上で運動率がよくて25%、凍結解凍後は9%ほどまで低下するので、すべて顕微受精です。胚盤胞は排卵後5日目に移植です。仕事が多忙なので、なるべく通院回数を減らすため胚盤胞移植のみ行っています。最初の1年半ほどはホルモン補充周期も自然周期もまったく陰性でしたが、昨年SEET法を始めたところ、自然周期で、3回の内2回hCG陽性となり、ただし22程度で、化学流産となりました。私の通院先の医師に、着床の窓についてどう思うかなど質問すると、日本人では臨床研究ができないので、確認できないだろうと言われます。また、2段階移植は行わないのですが、これも、産婦人科学会では多胎防止のため1個移植を推奨しているとのことで、2個移植は行われません。そこで行った不育症検査も陰性だそうです。転院しても同じ結果だろうと言います。移植した胚はグレード3以上ですが、着床し化学流産した胚は2回とも4AAで、AHA(アシステッドハッチング)しております。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

質問にお答えする前のご妊娠、私のブログが少しでもお役に立てて嬉しい限りです。
この方は、私の「Q&Aコーナー」の真意をよく理解されており、諦めない方が妊娠する、一度でも着床した周期からヒントを得て繰り返す、同じことを繰り返さない、ニュートラルな気持ちを実践され、妊娠されました。

現在、質問への回答は2ヶ月半を要しております。質問される前に、あるいは質問されてからでも結構ですが、全ての「Q&Aコーナー」に目を通していただきますと、良く似た「Q&A」を見つけることができると思います。

また、私は、自然周期でも不足したホルモンは補っておけば、妊娠率は良好であると考えています。「黄体ホルモンがあまり過剰だと児が心臓が悪くなる」という話に現在医学的根拠はありません(かつてはそのような話もありました)。最近ではむしろ早産予防に有効であるという証拠が出ています。医師に限らず、どの職業でも、日々の勉強が大切だと思います。それは、その道のプロとしての責任だと思います。