本論文は、AFC(胞状卵胞数)は卵子の質を反映しないことを示しています。
Fertil Steril 2015; 103: 1170(カナダ)
要約:2006~2013年に、459名の方に1107回の自然周期第3者人工授精(AID)を行い、その結果とAFC(胞状卵胞数)の関連を年齢別、AFC別に後方視的に検討しました。結果は下記の通りですが、いずれの項目にも有意差は認めませんでした。
妊娠率 流産率
35歳以下
低AFC(0~12) 14.8% 8.7%
中AFC(13~23) 19.6% 7.7%
高AFC(24~) 16.7% 12.8%
36~39歳
低AFC(0~12) 8.0% 18.2%
中AFC(13~23) 4.7% 28.6%
高AFC(24~) 12.4% 15.4%
40歳以上
低AFC(0~12) 4.7% ---
中AFC(13~23) 9.3% 28.6%
高AFC(24~) 4.6% 66.7%
解説:卵子の質を検討するのは難しいことです。顕微鏡やその他のあらゆる手段を用いたとしても、どのような卵子が良い卵子かわからないからです。しかし、妊娠した卵子は良い卵子であることに疑いの余地はありません。本論文は、妊娠歴のあるドナー精子を使用することで、男性因子を排除し、排卵誘発剤を使用しないことで、医学的介入による変化(プラスあるいはマイナスの修飾)を除外するという手法をとって分析した初めての報告です。その結果、本論文は、AFCは卵子の質を反映しないことを示しています。つまり、卵子の数と質は別物ということになります。
本論文のデータの興味深いところは、35歳以下では中AFCが、36~39歳では高AFCが、40歳以上では中AFCの成績が比較的良いことです。35歳以下と40代は卵子が多すぎても少なすぎても良くない、36~39歳では卵子が多い方が良いことになります。これは臨床経験と見事に一致します。