生理周期によってAMHは変化します | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

AMHは安定しており、いつ測定しても大きな変化はないと考えられていました。本論文は、AMHは生理中~生理直後が最も高く、生理前が最も低くなるという周期性変化があることを示しています。

Fertil Steril 2013; 99: 1791(オーストラリア)
要約:29~43歳の不妊症女性12名の方で、卵巣刺激をしない周期のAMHを卵胞期前期、卵胞期中期、卵胞期後期、排卵期、黄体期中期、黄体期後期の6回測定しました。卵胞期前期と卵胞期中期のAMHが高く、生理周期とともに順次減少し、黄体期後期に最低値になりました

解説:AMHは検査できるようになってから、それほど長い年月が経ったわけではありません。初期の報告では、AMHは安定しており生理周期によるAMHの変化はないとされていましたが、最近の報告では、高齢の場合にはAMHの変化はないが、若年者では生理周期によるAMHの変化がみられることがいくつか報告されています。本論文は、症例数が少ないですので、今後の検討を待たねばなりませんが、多少の変動はあると考えた方がよさそうです。おそらく、FSHやその他のホルモンの影響による変動と考えられます。AMHは、残りの卵子の数を現しているのではなく、供給される卵子の数を現しているのですから、変動があってよい訳です(詳細は、2013.6.16「AMHは年齢とともに低下しません⁈」をご覧ください)

AMHの測定は、生理中~生理直後に行うようにするのがよいと思います。