新型インフルエンザ その4(まとめ) | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

本論文では、2009年に流行した新型インフルエンザ(H1N1)の経験から、新型インフルエンザウイルス感染における妊娠中および授乳中のタミフル投与の安全性について述べています。

CMAJ 2009; 181: 55-8(カナダ)
要約:新型インフルエンザ(H1N1)ウイルス感染のため、妊娠中にタミフル(75mgを1日2回服用)投与を受けた90名の妊婦が前方視的にフォローアップされたましたが、出生児に形態異常が認められた例は1例のみでした。この頻度(1/90)は、一般妊婦集団からの形態異常児出生頻度(1%-3%)の範囲内にありました。

コメント:妊娠中の薬の安全性については、2012.11.17「妊娠中の投薬」をご覧ください。
2013.4.13「新型インフルエンザ その1」では、いつでも新型インフルエンザのパンデミックは起こり得ることを、
2013.4.17「新型インフルエンザ その2」では、新型インフルエンザのパンデミックでは、胎盤や胎児にウイルスが感染し流早産になることを、
2013.4.21「新型インフルエンザ その3」では、妊婦の新型インフルエンザワクチン接種を優先し、感染した場合は即座にタミフルを使用すべきであることを、ご紹介しました。
今回の論文は、妊娠中のタミフル投与は、出生児の形態異常を増加させないことを示しています。

今回のH7N9ウイルスではパンデミックに至っていませんが、もしパンデミックになり感染してしまった場合を想定した対応策を立てておきたいものです。

なお、4月23日現在のWHO(世界保健機関)報告によると、108人の感染者、22人の死亡となっており、中国本土以外で初めての感染者が確認されました(台湾)。