これまで2回、2012.9.25と2012.9.26にタバコの影響について述べました。喫煙の妊娠への影響について、米国生殖医学会(ASRM)からオフィシャルコメントが出されています。
Fertil Steril 2012; 98: 1400
要約:米国では、生殖年齢の男性の35%、女性の30%がタバコを吸います。喫煙は様々な健康への悪影響がありますが、こと妊娠に関しては一般の認知度が低くなっています。
喫煙のリスク 一般人の認識率
肺がん 99%
呼吸器疾患 99%
心疾患 96%
流産 39%
骨粗鬆症 30%
子宮外妊娠 27%
不妊症 22%
早発閉経 17%
上記のものは、全て喫煙によりリスクが増加します。
1 不妊症の13%は、喫煙が原因です。
2 喫煙はあきらかに生殖機能を悪化させ、1~4年閉経が早くなります。
3 喫煙者の男性の精液所見は22%低下し、タバコの本数に比例します。
4 喫煙は、流産と子宮外妊娠のリスクを増加します。
5 喫煙による胎児(受精卵)奇形率の増加が一因となります。
6 喫煙者は体外受精で妊娠するには、非喫煙者の2倍の回数を要します。
7 受動喫煙が多い方は喫煙者と同等になります。
解説:タバコを吸っていても妊娠する方は大勢います。しかし、妊娠しにくい方にとっては致命傷になりかねません。少しでも妊娠率をよくするために、禁煙をお勧めします。禁煙は治療の一環であるという認識を持つことが大切です。