閉経が近いサインは? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

規則正しい月経周期が、突然ピタッとなくなるわけではありません。最後の方になるとバラバラになってきます。本論文は、閉経間近のサインが卵胞期の長さに現れることを科学的データを基に示したものです。

Fertil Steril 2012; 98: 1246
要約:25~59歳の白人女性において、低エストロゲン(女性ホルモン)状態である「非活動期間」の長さを検討しました。登録した女性には1年間毎日尿を採取してもらい、尿中のestrone-3-glucuronide(E1G)を測定しました。STRAWステージ(stages of reproductive aging workshop)に基づき、ステージ3(閉経前)、ステージ2(前期閉経期)ステージ1(後期閉経期)に分類しました。「非活動期間」は、年齢およびSTRAWステージに応じて最初短縮し、後に延長しました。わずか1日といった非常に短い「非活動期間」は、年齢およびSTRAWステージに応じて最初増加し、後に減少しました。

解説:論文の要旨を言葉で表現するのは、非常に難しいので、わかりにくい表現になっています。「非活動期間」とは、基礎体温で言うと低温相の長さに相当します。「非活動期間」の長さは月経周期の長さと比例しますから、言葉を置き換えて考えてもよいと思います。ポイントは、下記です。
1)閉経前の女性では、非活動期間(月経周期)が長い場合はたまたま生じる。
2)どのステージにおいても、非活動期間(月経周期)が長い場合も大概排卵がある
3)閉経期には非活動期間(月経周期)が短くなってから長くなっていく。
4)閉経期にはちょこちょこ出血することが多くなってから次第に減っていく。
月経周期で、ちょこちょこ出血したりサイクルが長くなったりの変化が起きた時には、閉経期に突入したかもしれませんので、ご注意下さい。20代でも卵子が少なくなっている方もおられます。周期に変化のあった場合はAMH測定をお勧めします。