貨幣が特殊な商品であるとはマルクスの発見というよりは、すでに17世紀には知られていたと、当のマルクス自身が言います。
ただ問題は貨幣が商品であるという点ではなく、商品がいかに貨幣になるかにあると言います。
貨幣が特殊な商品であると見なすと、通貨発行や信用創造に関する魔術的な力の源泉や、商取引の不思議がスッキリと理解できます。
商取引は古代世界でそうであったように物々交換ということになります。
通貨発行権も同様です。つい最近までは国家が独占していましたが、単に独占商品である以上は(独占というかほぼ寡占ですね)、その商品を取り扱える国家に膨大な利益が生じるのは当然ですし、その国家に信用がなくなると貨幣が暴落するのも当然と言えます。販売者の信頼と商品はリンクするので。
*マネーは特殊な商品だと思えば、その価値が減るのも直感的に理解できます。鮮度が落ちるようなものです。現在価値などと難しく考えなくても、死蔵すると、腐るのです。
銀行の信用創造に関しても、貨幣という商品がモノではなく本来は情報であることを考えれば、本来は無制限にコピーできるはずですが、それにルールを決めているだけです。そのルールもしくは信用創造という貨幣増殖のための呪文は前回の寺子屋で学んだようにシンプルな方程式でした。
魑魅魍魎が跋扈する金融資本主義、もしくは強欲資本主義の中心にあるのも非常にシンプルな方程式であり、見事な呪文です。我々はその第一原因たる呪文に到達し、それを操作することで、金融資本主義の心臓部をつかみましょう。
台風の中心は無風であるように、悪魔の如き金融資本主義の中心も静謐なものです。
*どんなに巨大な台風でもその中心は無風。
エメラルド・タブレットにヘルメス神が記したのではと思えるような、森羅万象を記述する呪文とみなされていたシュレディンガー方程式もまた非常にシンプルです。
シュレディンガー方程式から、物体の運動も、化学における周期表も演繹できるとしたら、まさに神の方程式とも言うべきものです。
台風の周辺を吹き飛ばされながら、観察するのも良いのですが、台風の目の中央部に飛び込むのも悪くないと思います。
そこで心臓部の心臓部をつかめば、そしてそこからすべてが演繹的に広がる様をシュミレートできれば、周縁の暴風雨にまどわされて人生を終わることはありません。
というわけで、今週金曜日は寺子屋「金融工学」です!(ちなみに27日(月)に追加開催します!!)。
また28日(火)はリニューアル版の寺子屋「微分積分」です。
微分積分のシンプルなアルゴリズムを体験しつつ、そのままニュートンが見た風景、そしてシュレディンガーが見た風景まで疾走したいと思います。
微分積分はツールです。ツールでしかないものに対して、物心信仰を持つのは僕は愚かで無意味なことと思います。崇めるのではなく、使い倒しましょう。
そして証明しようと気負うのではなく、読解しましょう!!!
というわけで、まずは寺子屋「金融工学』からスタートです。
そしてリニューアル版も是非がっつりと楽しみましょう!!
そして、週末はいよいよ「魔術師養成スクール」です!!
こちらも気合と覚悟をもって、地獄巡りを楽しみましょう!!
【寺子屋『金融工学』】
【日時】 2月24日(金) 19:00~21:00(21:30まで質疑応答!)
(追加開催決定!!) 2月27日(月) 19:00~21:00(21:30まで質疑応答!)
【場所】 東京・四ツ谷の「まといのば」のセミナールーム
【受講料】 3万円(銀行振込、もしくはPayPal決済)
【受講資格】 ブログ読者
【持ち物】 筆記用具と熱い情熱
【お申し込み】お申し込みはこちらから。
【寺子屋『簡単な微分・積分 〜ビブンセキブンイイキブンからシュレディンガー方程式の導出まで〜』】
【日時】 2月28日(火) 19:00~21:00(21:30まで質疑応答!)
【場所】 東京・四ツ谷の「まといのば」のセミナールーム
【受講料】 3万円(銀行振込、もしくはPayPal決済)
【受講資格】 ブログ読者
【持ち物】 筆記用具と熱い情熱
【お申し込み】お申し込みはこちらから。
*魔術師になる!!!
【魔術師養成スクール 〜白魔術と黒魔術。古代悪魔学から悪魔を自在に召喚し、悪魔を使役する魔術師になる!!〜】
【日時】 2月25日(土)13:00~18:00
2月26日(日)13:00~18:00
【場所】 四ツ谷のセミナールーム
【受講料】 230,000円(PayPal決済可能です。請求先アドレスを記載してください。またPaypalでの10万円以上の決済はPayPalでの本人確認が必要です)
【受講資格】 「まといのば」セミナー受講生(もしくはそれに準ずる方、他で「まといのば」の主宰のセミナーを受けている方もOKです)
【持ち物】 筆記用具
【お申し込み】お申し込みはこちらから。
資本主義においても、台風の目は資本家ではなく、資本家すらもシステムの一部であり、歯車の一部でしかありません(そうマルクスは書いています。詳しくは寺子屋「経済学」を参照してください。寺子屋の受講生の皆さんはすべてのレジュメがダウンロードできますので、そちらを参照してください!)。台風の目は資本主義というシステムそのものです。
「資本は資本は、頭の先から爪の先まで、毛穴という毛穴から、血と脂をしたたらせながら生まれてくる」(マルクス「資本主義」第1巻)のです、資本家ではなく。そしてマルクスの議論を展開するならば、我々も自身の人的資本をマネージメントしている資本家ということになり、資本家と労働者の対決という構造は、資本家を探しているうちにウロボロスの蛇のように、自分が資本家であることに気付き、自分自身を糾弾することになりかねないのではと思います(ここでは「不払い労働を汲み上げる資本家」という構造自体は破棄するとして)。
【参照書籍】
世界の名著〈43〉マルクス・エンゲルス (1973年)/中央公論社
¥価格不明
Amazon.co.jp
上記の議論の典拠を引きます!
まずは、記事冒頭の17世紀時点で貨幣は商品だと知られていたという話しです!
すでに一七世紀の最後の数十年間に、かなり進んで貨幣分析が手がけられ、貨幣は商品だということが知られてはいたけれど、それはやはり端緒にすぎなかった。困難は貨幣が商品だということを理解する点にあるのではなく、どのようにして、なぜ、何によって、商品は貨幣になるのかを理解する点にある(p.320 マルクス「資本論」第一遍商品と貨幣 第二章交換過程 世界の名著43巻 マルクス・エンゲルスⅠ)
そして今回のタイトルにもなった、資本は、血と脂をしたたらせながら生まれてくるという有名な引用!
資本主義的生産様式の「永久の自然法則」を確立し、労働者と労働条件との分離過程を完成し、一方の極では社会の生産・生活手段を資本に転嫁し、反対の極では民衆を賃金労働者に、自由な「労働貧民」に、この近代史の作品に転化することは、こんなにも骨の折れることだったのである。もし貨幣が、オジェ(フランスのジャーナリスト)のいうように、「頬に生まれつき血痕をつけてこの世に生まれる」(『公信用について』一八四二年)ものなら、資本は、頭の先から爪の先まで、毛穴という毛穴から、血と脂をしたたらせながら生まれてくるものなのである。(同p.382 第七篇第二四章いわゆる本源的蓄積)
剰余価値の自己増殖とは、マルクスにおいては、不払い労働を搾取しているということでした。
僕はアダム・スミスに同意で、むしろ交換に魔術的な力があると考えます。
蓄積の第一の条件は、資本家が自分の商品を売り、それで得た貨幣の大部分を、すでに資本に再転化している、ということである。以下では、資本はその流通過程を正常に通過すると前提する。この過程のもっとくわしい分析は第二巻でなされる。剰余価値を生産する資本家、つまり、不払い運動を直接に労働者からくみ出して商品として定着させる資本家は、たしかにこの剰余価値の最初の取得者ではあるが、けっしてその最後の所有者ではない。(同p.320 第七篇 資本の蓄積過程 第二一章 単純再生産)
人間労働の直接の化身としての金や銀について言及されています。
過程を媒介する運動は、運動そのものの結果のなかに消え去っていて、何らの痕跡もとどめていないのだ。諸商品は、自分では何もしていないのに、自分自身の価値の姿が、自分の外に、自分と並んで存在する商品体として、完成されているのを見いだすわけである。この物は、金や銀は、地球の奥底から出てきたままで、同時にあらゆる人間労働の直接の化身なのである。だからこそ、貨幣の魔術が生じるのだ。人間は社会的生産過程においてはたんに原子としてふるまっているにすぎないが、したがって彼ら自身の生産の関係は彼らの制御や意識的な個人的行為からは独立した物的な姿をとるのであるが、このことはまず人間の労働生産性物が一般的に商品形態をとるということにあらわれる。だから貨幣物神の謎は、商品物神の、目に見えるようになった、幻惑的な謎にすぎない。(同p.151 第一篇 商品と貨幣 第二章 交渉過程)