【後編】サルも木から落ちる、リンゴも落ちる、月も落ちている。我々も宇宙創世まで堕ちていく | 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ

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現代の創世記である宇宙論はいわばアインシュタインの手のひら中で踊っていると言えます。

もっと言えばアインシュタイン方程式という針の上で、物理学者たちは背中の羽根を羽ばたかせながら踊っています。

ちなみにアインシュタインは自分の方程式をいじっていたら、宇宙が重力に耐えかねて収縮することを発見します。「そんな馬鹿な!」と思ったアインシュタインはあわてて反発する斥力となる宇宙項(宇宙定数)をアインシュタイン方程式に導入します。

このあとの話はご承知のとおりです。アインシュタイン解を解いた宇宙創世は小さな火の玉だったというフリードマンモデルには激しく反発するも、後述するハッブルに宇宙が膨張していることを諭されて、この宇宙項の導入を「生涯最大の過ち」("the biggest blunder of my life") と言いました。ですので、宇宙項は0として計算することも多いのですが、実際はこの宇宙項は最大の過ちどころか、大変な先見の明でした。宇宙はいま再び加速膨張しているからです。


まあ、それはさておきアインシュタイン方程式という針の上で踊る物理学者たちは次々と創世神話を生み出しました。

アインシュタイン方程式の解の中には奇妙な時間軸が閉じたゲーデル解のようなものもありますが(奇妙と言いつつ後世にはこれが本流として飛び出すかもしれません)、観測技術の向上によってアインシュタインの解のうちどれを採用して、どのような宇宙観を持つべきかは決まってきます。



観測と言えば、望遠鏡をいち早く取り入れ、それを即座に倍率を上げて、月が真円とは程遠いことを示したのはガリレオ・ガリレイです。1609年のことでした。それから400年ほど経った1990年にハッブル望遠鏡が打ち上げられています。




ガリレオ・ガリレイのものとされる望遠鏡がこちらです。




このハッブル望遠鏡は後述するように宇宙論を強く押し進めたのですが、この名前の由来であるハッブルという人がビッグバンの生みの親とも言うべき人です。

ガリレオと同じく、望遠鏡をのぞき込んでいるうちに、我々の銀河系の外に銀河系を発見し、そして銀河同士が離れていることを赤方偏移で発見します。
赤方偏移というのはいわゆるドップラー効果です。

F1が目の前を通過したり、救急車が目の前を通過するときに我々は音という波のドップラー効果を確認することができます。同様に光という波もドップラー効果が働きます。離れていくときは赤い方へ、近づいてくるときは青い方へスペクトルが変わります。

Wikipediaのこの図が直感的で分かりやすいです。



で、問題は我々の地球から遠ければ遠いほど銀河が勢い離れていくことです。
それもきちんと遠さと速度が比例しています。これをハッブルの法則と言います。

天動説復活ですw

たしかに太陽系の中心には地球はいませんでしたが、宇宙の中心にはいたようですw

バチカン大喜びです(^^)


もちろんこれを天動説を導入せずに、解決する方法は1つだけです。宇宙空間という入れ物そのものが膨張していると考えざるを得ないのです。

よく3次元空間を2次元にプロットしてふくらます風船のモデルで考えることがあります。そうすると風船上の任意の二点は必ず遠ざかります。どの二点を取ってもきちんと遠ざかるのです。

それと同じことが我々の宇宙でも次元を上げて行われているということです。

ちなみに、このハッブルの発見を受けて、ガモフが宇宙のはじまりは火の玉だったと提唱します。それに対してアインシュタインと同じく定常宇宙論であったフレッド・ホイルが揶揄する意味でビッグバンと名付けたら、ガモフが気に入ってしまったという流れです。

良い命名は重要です。ブラックホールもビッグバンもゴッド・ファーザーに恵まれました。



そのときにガモフが予言したのが、宇宙創世の残り火です。
ロマンチックです。

宇宙創世の残り火がまだ残像として残っていて、それは十分に赤方偏移で引き伸ばされてマイクロ波として宇宙の果てから届くとガモフは予言します。

それもありとあらゆる方向から。


宇宙論が神話的なのは、神話がそもそも宇宙論であり創世記であるからです。

時間と空間は同じ座標の中に記述されるというのはアインシュタインの相対論であり、ミンコフスキー空間です。

我々は遠くを見れば見るほど、過去を見ます。このとき距離が遠くなればなるほど、時間をさかのぼるのです。宇宙の最果てを見るときに宇宙のはじまりの瞬間を目撃します(おそらくニュートリノで)。

ちなみにどの方向を見ても、その一番遠くのいわば宇宙の地平線はビッグバンということになります(ここで言うビッグバンとは宇宙創世という意味です)。

ですから、果てを見るとビッグバンが見える。ガモフに言わせると、残り火が見える。それはマイクロ波として出現します。この夢のような話も、これまたご承知のとおり発見されます。ベル研究所の職員によって偶然に。最初はノイズと思われ、次に望遠鏡の故障と思われ、実際にアンテナに鳩が巣を作っていました。最後にはビッグバン宇宙論の予言どおりであったことを発見します。

もちろん追証実験は盛んになされ、そのことによってこの宇宙背景3K放射線は確認されました。すなわちビッグバンの残り火が予言通り見つかったということです。

その有名なものがCobe(コービー:宇宙背景放射探査機)です。

その画像がこちら。



ここで分かったことは2つ。

アインシュタイン方程式が予測する通りの宇宙背景放射というビッグバンの残り火が実際に存在し、その赤方偏移されたマイクロ波の温度も理論通りであり、そして均一性も保たれているということ。これはビッグバン宇宙論としては大勝利です。

しかし、1つ問題が解決すると複数の問題が生まれるのが抽象度の階段の特長です。

まず第一になぜ均一にのっぺりしているのか、すなわちなぜそれほどまでにきちんと情報が共有されているのかという問題があります。これを解決するために、インフレーション宇宙論が生まれます。
ビッグバンの前にもっと激しいインフレーションが起きたということです。小さなサイズが一気に巨大化されたので、そのときにならされてしまったのでのっべりとしているということです。分かるような分からないような話です。

そして第二に完全にのっぺりとしていたら、原子もできないし、星もできないよね、という話です。過冷却現象のようなもので、何か不純物というか、なんらかの偏りがないと重力が仕事ができません。十分に冷却された水蒸気の周辺に塵があって、それが核になるからこそ、雪の結晶が構築されます。これを解決するのが量子ゆらぎです。どんなにのっぺりしていても、必ず不確定性原理が働き、ゆらぐのです。そのゆらぎが原子を生み、星を生みます。

マタイ効果は宇宙が生まれた瞬間から働いています。持てるものはますます富み、大銀河団を構成し、真空は真空のままです。中途半端なガスや衛星は巨大な星に吸収されます。

いずれにせよ、我々の創世記はいまだつくられはじめたばかりです。

しかし宇宙創世の瞬間には限りなく近づいています。ビッグバンの前にインフレーションがあったことは確実でしょう。じゃあ、その前はというとギリギリまで分かりません。



ただホーキングの無境界仮説は面白い提案をしています。ホーキングは特異点理論を提唱したあとで、虚時間を使った無境界仮説をバチカンにおいてローマ教皇(法王)の前で発表しています。

ビッグバンは神の一撃を科学的に証明してくれたと喜んでいるバチカンに対する、人を喰ったようなホーキングはどこまでも愉快な人です。