不安の中で仕事をするのは当然なわけで | 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ

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先が見えず、自分が見えないという不安の中で仕事をするのは当然なわけで、安全で安心で安定が欲しいのなら、永遠の眠りにつけば良いことです。

先が見える人は、先が見えない人以上に多くの不安を抱えています。不安という言葉が適切かは不明ですが、強いて言えば確率論的な悲劇なり絶望を未来により多く抱えるということです。
先が見える人のほうが物事をうまくできる確率は上がりますが、先が見えない人のほうが楽観的に生きているように見えます。見えないということは、見えない不安はあっても、見える不安にはかなわないと僕は感じます。見える見えないというのは、カッサンドラの予言能力ではないので単なる本人の意思の問題です。先を見通そうとするか否かです。それが結果的にどこまで見えるかを規定します。
先が見える人は、先が見えない人(見ない人)より有利です。
次に何が起こる蓋然性が高いかを知っている人のほうが、何も分からず闇雲に歩く人よりも有利でしょう。

ですから、先が見えない人にとっては、先が見える人の見えている風景は福音ですが、先が見える人にとって自身の遠く先を見通せる目は暗闇の中の杖でしかありません。

カッサンドラの悲劇は神話の中だけではありません(カッサンドラについては、本ブログでもずいぶんと以前に書きました

Wikipediaを引用します。

(引用開始)
アポローンに愛され、アポローンの恋人になる代わりに予言能力を授かった。しかし予言の力を授かった瞬間、アポローンの愛が冷めて自分を捨て去ってゆく未来が見えてしまったため、アポローンの愛を拒絶してしまう。憤慨したアポローンは、「カッサンドラーの予言を誰も信じないように」という呪いをかけてしまった。カッサンドラーは、パリスがヘレネーをさらってきたときも、トロイアの木馬をイリオス市民が市内に運び込もうとしたときも、これらが破滅につながることを予言して抗議したが、誰も信じなかった。
(引用終了)

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まさに恋は盲目で、合理的に考えればアポローンはプレゼントでカッサンドラの気持ちを惹こうとしても、さすがに予言能力は授けてはいけません。

といういろいろと突っ込みどころ満載な部分はさておき、神話は面白いです。

アポローンの呪いとは言え、先が見える人はいつの世も「誰も信じない」ものです。
神話では呪いですが、現代では集団心理であり、集団のホメオスタシスです。

合理的に説明しようが、事例を上げようが、そもそも見ない人に対して、説得することは不可能と僕は考えます。なぜなら未来のまさにVisionがスコトーマに入るからです。であれば、合理的な選択肢はひとつです。その人々に伝えようという努力を止めることです。豚に真珠を投げてはいけないからです。
資源は有限であり、もっとも希少な資源はいまこの瞬間という生命時間です。
我々はもう若くはないので、無限に時間があるかのような幻想から逃れましょう。

不安の中で仕事をするのは当然です。
そんなのは当然なわけで、先が見通せる人ほど、絶望感と希望を深く味わっています。そして一瞬一瞬がいかに希少で貴重かを。

自分の安心と安定のために仕事をしたいというような奇特な意見に接すると、以前は怒りを覚えましたが、いまは怒りを通り越して憐れみに似た感情を覚えます。以前は説得していましたが、いまはその場を離れます。

仕事は他者のために行うものです。自分の安心と安定のためにするものではありません。
そしてどんな仕事であれ、不安の中で仕事をするのは当然です。

新成人へのアンケート結果(マクロミル)が少しネット上で話題になりましたが、新成人の望む職業は会社員と公務員だそうです。

『「公務員」が22%、次いで「会社員(技術系)」11%、「会社員(サービス系)」8%、「会社員(事務系)」が5%と』(ちなみにそれに続いて「会社員(その他)2.5%」が続きます。)

まあ500サンプル程度のネット調査にどれほどの信頼性があるのか不明ですが、「わからない」という3割の回答も含めて不可解すぎます。




【書籍紹介】
たとえ無限に近い時間があり、繰り返し生まれて生まれて死ねるとしても、この一瞬は取り返せないという当たり前のことを感じさせてくれる傑作です。

リプレイ (新潮文庫)/新潮社

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1Dayスクールで紹介した近未来の情景。
奴隷が解放され、女性が人間とみなされ、子供にも人権が認められた現状の先として、次は動物、そして機械へと拡大するのはあり得る未来です。
ロボットが人間であることを認めるための公民権運動のサイエンスフィクションです。



上は映画版。
原作はこちら。

聖者の行進 (創元SF文庫)/東京創元社

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短篇集です。
非常に考えさせられる素晴らしい内容です。
映画よりも情報量の圧倒的に少ない小説のほうが感動するのは、コンテンツはBit数という意味での情報量に依存しないことを如実に示します(これは当たり前のことですが、1Dayスクールでも話したように、世界はあべこべに理解している人が多くいます)。
短篇の間にはさまれるアシモフのコメントがまた面白すぎます。