Paris経由 Aurillacその1 | ツアーレポート

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マチルダのだいたいご馳走・転々

三度戻ってきましたパリ。

村田さんはパリへの移動中、あまりの重荷物により背中を痛める。
よって、パリは主に休養&17日より始まるオリヤックでのフェスティバルの準備期間ということに。



マチルダのだいたいご馳走・転々

今回はみづきちゃんのお友達で写真家のミカさんのお宅に居候。
本当に皆様にお世話になっております。
近所をお散歩していると、いい感じのパン屋さん発見。
おやつにと買ってみると、店員のお兄さんの感じがとてもよく、そしてなんだかすごく美味しい。
パイ生地とパンドカンパーニュの味が飛び抜けて良い。
普段はあまりパンを積極的に食べない私ですが、次の日も思わずリピート。



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やっぱり美味しいので調べてみたら、超有名店ポワラーヌのお兄さんのお店でした。
お兄さんのお店も有名店であろうに非常に感じ良い接客。
気に入ったぞマックスポワラーヌ。


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パン屋さんの前の公園では、必死に子供の足をつかんでいる日曜日のお父さん。



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ある日。
オリヤック用の看板の材料探しに街に出たついでに、激安服飾店を漁る村田さんとみづきちゃん。
下着コーナーは衣裳によさそうな掘り出し物が沢山。
布屋と安服屋が立ち並んで、錦糸町のような雰囲気の一角。



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私はボタンをたくさん買いました。
カバのボタン、初めて見つけた!



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そして恒例看板作り。
今年は少しグレードアップさせて…



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完成!
写真だとあずき色っぽいけれど、本当はくすんだ紫ピンクのような色あいなのです。
村田さんのイメージにぴったりで満足の出来。



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私が看板を製作している間、村田さんはひたすらチラシに場所と時間を書きこむ。
1000組が出演していると言われるオリヤックのフェスでは、宣伝活動も重要。
約500枚のチラシを前に「先がまったく見えない…」とぼやきながらとにかく書く、書く、書く。
途中手伝ってくれたみづきちゃんは「この作業、失明しそう」とのコメント。



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村田さんの背中も大分良くなってきたので、ある日はケ・ブランリー美術館へ。
ずっと行ってみたかったここ、エッフェル塔のふもとにあります。


マチルダのだいたいご馳走・転々
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ケ・ブランリーはアジア、オセアニア、アフリカ、アメリカの原始文明にスポットをあてた美術館だそうで、写真の兵馬俑みたいのや民族衣裳やモニュメントやマスク、マスク、とにかく様々なマスクがいっぱい。
一生分のマスクを見た気分になりました。


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マスク飽和状態に居ながらも、ギョッとさせられたのがこれら南米のマスク。
何がどうして顔にたくさんの爬虫類。



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現代の南米のお祭りコーナー。
堕天使ルシフェルのお話をやるために用いられる装束らしいのですが、この目の飛び出し方、そして謎の熊男。
ある意味朴訥とした原子文明ばかり見てきた中にこれが飛び込んでくるのは、なかなかに強烈なインパクトがありました。



ケ・ブランリーでは映像の展示もたくさんあり、三面の壁に映し出される映像と民族音楽を鑑賞するコーナーが素敵だった。
チベットの寺院を行き来する途切れることのない人の波と色とりどりの旗と彼らの音楽の中にいたら、涙がぽろぽろとあふれ出てくる。
真っ直ぐな祈りというものに触れると、生理反応的に涙が出てきてしまう。
3.11以降、私の中で変わったこと。
祈りの声は太く強く、悲しくなるほどに途切れがない。




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オリヤックに発つ前日、みづきちゃんが髪を切ってくれる。
私も村田さんも既にだいぶボーボーしていたので、これは本当にありがたかった!
かわいくして頂き、いざオリヤック。



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パリを出て6時間、無事にオリヤック着。
小さい街なので2車両のローカル線しか通っておらず、とことことことこのんびりと向かう。
山間の小さな街が、この期間だけ演劇祭中のアヴィニヨン並にごった返す。
フランス最大の大道芸フェスティバル、オリヤック。
強い日差しも人混みも宣伝活動も様々な条件が相まって、ここはまさに戦場と言っても過言ではない。



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到着早々ホテルに荷物を放り込み、看板のための段ボール集め、要はゴミ箱漁り。
豊作ポイントを見つけられたので、ごっそり持ち帰る。


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そしてホテルでひたすら段ボールを切り、ポスターを貼り、時間と場所を書きこむ数時間。
フェス期間になると、こういった看板が街中に溢れかえるのです。
この作業も去年に続き2度目、心なしか手際が良くなった気がする。



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昨年はシルヴプレにキャンプ用の小さなガスコンロをお借りして、快適自炊ライフをどこでも行っていた私たち。
米を炊ける有難さを、ことここオリヤックでしみじみと感じたので、今年は日本から秘密兵器・トラベルクッカーを持参!
電気さえあればどこでも米を炊けるし麺も茹でられる優れもの。
これまでの間は幸いにもずっとキッチンを使わせてもらえていたので登場の機会がなかったが、さあここからは君の時代。
しゃきしゃきと作業をこなし、いざ炊飯!とスイッチを入れたのも束の間、10分もしないうちに電源ランプが消える。
何度入れ直しても一向に点かない電源ランプ。
「空焚き防止のため、温度が上がりすぎると自動的に電源が消えます。再度加熱する場合にはコンロが完全にさめてから(1時間程度)スイッチを入れて下さい」
という説明書きにイラっとしながらも、とりあえず待つこと1時間。点かない。
コンロがもはやキンキンに冷え切った2時間後。点かない。
駄目押しで翌朝スイッチオン。もちろん点かない。


こうして私たちが日本からわざわざ運んできた1キロもするトラベルクッカーは、一回も米を炊くことがないまま、初期不良でお逝きになったのでした。
これがあるからと思って、パリでインスタント麺たくさん買いこんできたのに!
レトルトタイカレーまで買ったのに!
てゆーか、炊ききらないまま終わったこの生煮えの米1合半どうしてくれんだ!


怒りのあまり窓から投げ捨ててやろうかとも思うが、持ち帰って返金してもらわないとと思いとどまる。
こんな何の役にもたたない1キロのかさばるプラスチックをこれからも持ち歩くなんて…許すまじカシムラ(製造メーカー)。


泣く泣く生煮えの米を捨て、人参に生ハムを巻いて夕食とする。
翌日は日曜日でスーパーはお休み。
トラベルクッカー頼みで主食に米しか買っていなかったため、2日間主に人参をメインに食べてしのぐことに。
許すまじカシムラ(製造メーカー)。



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翌日、人参を食べながら作った看板たち。



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人参を食べながらも、かたわれのイメトレに余念がない村田さん。
人参って、いくら食べてもお腹にたまらないからまったく不思議です。




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フェス2日前。
穏やかだった街中にも、だんだんとフェスの足音が。
私たちも看板貼りに向かう。



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昨年はスペースを探すのが大変なくらいに看板が貼りつくされていたのだけれど、今年は1日早く取りかかったせいか、割と良い場所をゲットできた。
どの辺りに貼ると人目につきやすいか、去年の記憶を頼りに街中をぐるぐる。


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かたわれのポイント、メゾンルネッサンスで場あたりをする村田さん。
シチリアの公演から変わった冒頭部分を念入りにチェック。
昨年は場所を見るだけで精一杯だったけれど、今年は少し進歩です。



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夕暮れ前のオリヤック。
昨年はフェスでごった返したこの街しか知らなかったけれど、普段は静かで美しい街なんだなあ。



2日間の人参生活、そしてこの日は日差しのもと半日中看板貼りで、いい加減体力と言うか気力の限界に達した二人。

とにかく人参以外の食べ物を、冷たくない食べ物を求めてレストランを探す。
やはりヴァカンス期間、ほとんどの店は閉まっていたけれど、街で一軒だけのベトナムレストランを駄目もとで訪ねてみると奇跡的に開いていた。

米!アジア料理!というか、温かい食事!


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この表情がすべて物語っています。



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お持ち帰りネムも買って充電完了!




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明けてフェスティバル前日。
これまでは街の中心部に泊まっていた私たちですが、この日は街から徒歩30分離れたホテルに移動することになっていた。
というのも、中心部のホテルのフェスティバル期間の予約は年始には埋まってしまい間に合わない&予約できても大変高値なため。
次に移るホテルも通常の倍以上の料金ではあったのですが、他に選択肢がないし仕方ない…と思っていたのですが。
フェス参加者のしおりを読んでいたら、付近の高校の寮を宿泊施設として提供しているという情報を発見。
もはや埋まっているだろうと思いつつも、駄目もとで行ってみることに。



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街中には、オリヤック名物・犬の人(フランスではパンクと呼ばれている人々)もちらほら増えてきた。
失業して行き場のない若者が、ある意味ボディーガード代わりに、時には施しをもらうためのだしとして、犬を連れている。
私は犬は大好きだけれども、だからこそ、何かの八つ当たりのように犬に接する彼らの態度を見ているととても辛くなる。
(平均すると、ではあるが)月収800ユーロ以下の人々が7割を超えるフランスのひとつの姿。
でも写真の彼のように、パンクの中にもちゃんと犬をかわいがっている人もいるということが、今年は分かった。




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さて、宿泊施設として紹介されていた2つの高校うちの1つはやはり満員。
「ごめんなさいね。でももう一つのほうに行ってみたらあるかもしれないから」と受付の人が親切に教えてくれる。
街から歩くこと45分、二つ目の高校に到着。



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こちらの高校は、受付にわいわい人がたかっていて、何やら賑やかな雰囲気。
7人ほどのおじさんおばさん全員がここのスタッフなのだと、後から分かった。
希望の5泊のうち1泊分だけ部屋がなかったけれど、「うーん、ここはなんとかするわ!」と言って、泊めてもらえることが決定。
やったー!
英語が出来る人はほとんどいないのだけれど、わいわいとあの手この手で説明をしてくれる。
なんだかとってもアットホーム。
朝食付き、夜はロビーでバーがオープンして軽食が無料で食べられるそうな。
それでいて私たちがもともと予約していたホテルの半額。
非常に有難い。


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ユースホステルみたいな部屋を頂きました。
シャワーもお湯だしうれしいな。



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外のベンチにはバッタが。
後から知ったのだが、ここはオリヤックの端の端。
見渡す限りに山が広がる、とても静かな場所。



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中庭で練習をしているパフォーマーもいる。
フランスからの出演者が9割以上を占める中、彼らはアメリカ出身だった。
異邦人同士話が合い、最終的には毎夜ビールを飲むお友達に。




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さて、不良品トラベルクッカーにより潰えた自炊生活ですが、どっこいあきらめずバスでわざわざ遠くのスーパーまで出向き、小さなキャンピングガスを購入。
一度は間違った商品を買ってしまうも、諦めず再びバスに乗りちゃんと返品までしてもらい、正しい商品をゲット。
もう電気なんかに頼らない。やっぱり信じられるのは直火!


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自炊していいのかどうなのか定かではありませんでしたが、とりあえず高校の一角で調理開始する村田さん。



マチルダのだいたいご馳走・転々

野菜たっぷりの辛ラーメン!
長らく待ち望んでやっと食べられたラーメンは、インスタントとは思えない至福の味でありました。


こうして無事に宿も火も手に入れ、オリヤックのフェスティバル、始まります。