またたび通信 VOL.156    ドイツ語万歳

どこの国の言葉も、子供や若い娘さんが話しているのと美しいものだ。

ドイツ語でさえ美しく響く。

・・・ドイツ語でさえ?

先日、コーラスをしている叔母に頼まれて、シュトラウス「美しく青きドナウ」の楽譜に、カタカナでフリガナをふった。

ドイツ語は、基本的にはアルファベット通りに発音するので、

もう20年以上前に勉強したドイツ語で、意味はわからなくても、読み方ぐらいは何とかなるのだ。

書きながら改めて感じたことは、

頭の中で奏でるシュトラウスのワルツの調べの美しいことと、

その歌詞の、なんとカタカナにすると濁点「“」が多いこと!

しかも「ゲ」が多いこと。

例えば、

「行く」というのはドイツ語で「ゲーエン」という。

過去形が「ギング」、

過去分詞は「ゲガンゲン」である。

なにしろ、過去分詞は、動詞にほとんど「ゲ」が頭につくので、

自然、ちょっと過去の話をすると

「ゲーゲー」

いうことになる。

それから、

英語の辞書で、「S」で始まる単語が一番ページが厚かったのを思い出してほしい。

ドイツ語と英語は親戚みたいなものだから、当然、ドイツ語でも「S」で始まる単語が多い。

そして、その「S」をドイツ語ではザジズゼソと濁音をつけてしまうのである(いろいろな例外もあります。念のため)

例えば、SACKは英語でもドイツでも袋という意味だが、

英語ではサック(リュックサックのサック)

ドイツではザック(ナップザックはドイツ生まれ?)

ハサミや包丁で有名なSolingenは、ゾーリンゲンなのだ。

ゲーやゾーとは関係無いが、ドイツ語びっくりで思い出したのは、

分離動詞という飛び道具があることだ。

さきほどの「行く」(ゲーエン)の頭に「下」(ウンター)をつけると

沈む(ウンターゲーエン)になる。

過去形ならウンターゲート

なんだ、英語より簡単そうじゃない?

ここまでは・・・。

で、これを文章で使うと、

たとえば、「我々は海にに沈む」だと

(動詞以外は日本語にすると)

「ワレワレハ、GEHEN ウミニUNTER 」

と動詞の頭と体が分離して、頭が後ろに行ってしまうのだ。

朝礼の時に、一番前でしゃべっていてうるさい奴に、先生が

「サイトウ、一番後ろに行け!」といって、一番後ろの背の高い奴の後ろに寂しく並ばされるようなもの。

映画でいえば、トランスフォーマー」、昔のアニメでは「ゲッターロボ」みたいになってしまうのだ。

(ここのところ、わからない人はわからないままでいいです。思ったままを書いてすみません)

こんなややこしくて濁音ばかりの言葉を覚えられるか!

というが、人間の脳は本当に素晴らしく、いつか自然で覚えて

ゲーゲーいいながら流暢にトランスフォーマーできるようになるのである。

そして、ドイツ語は聴いているうちに、素敵な響きを持ってくるのだ。

ドイツ人にいわせれば、

「ドイツ語の文法はきちんと決まりがあるからいいけど、

日本語の『私は行きます』と『私がいきます』なんて、フンイキばかりで、決まりがなくて覚えられないじゃないか!」

ということになるらしい。

なるほど、ごもっともである。

さて、あなたも今日からドイツ語を学んでみてはいかがだろうか。

さあ、ご一緒に。

アイン、ツバイ、ドライ、ゲー!(「行く」の命令形)

またたび通信 VOL.156    ドイツ語万歳