まーすけ家のおくられびと~グッドモーニング!おじいちゃん~① | いろいろ*ぼちぼち

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いきなりですがまーすけのおじいちゃんの話、記憶にございますでしょうか?

いつか、お葬式にまつわる涙あり、笑いありのどたばたエピソードをご紹介するといったきり

はや2ヶ月・・・。

ちょっと今日から少しずつ書いてみようかな?不定期連載です^^


参考

http://ameblo.jp/masuke-teio/day-20090119.html


http://ameblo.jp/masuke-teio/day-20090128.html


この人、こんなんなっちゃってるのは、これが原因?と分かるかもよ~。

(事前情報:まーすけ家には、(弔事で)お清めの塩をまくという習慣がございません。)

第1回目は笑えないかもだけど・・・徐々に行きますよ~( ´艸`)ではでは・・・


登場人物:おじいちゃん・まーすけ・弟・父・母・おばあちゃん・与儀先生



1月19日。

どんよりしたうす曇の月曜日。


地元議員の後援会事務局を担当する母はこの日早朝から後援会の旅行に付き添い留守でした。

私、父は会社、弟は進級がかかった大学の追試。おばあちゃんはお得意様からの依頼で針仕事。


1ヶ月ほど前、余命3ヶ月と宣告されたおじいちゃんはすやすやと眠っています。

“大丈夫だな”

様子がおかしかったら会社を休むつもりだった私も、朝食を済ませ身支度をしに2回へと上がりました。

「やべっ!寝坊!」

弟が階段を壊すような音をたてて私とすれ違い、1階で転びました・・・。


いつもと変らぬ、鳥がさえずり、風の音がさーっとする、ありきたりの朝。


「ねーちゃん!きて!!!」

すぐに弟の呼ぶ声。

どうせ転んで救急箱がどうたらこうたら言うんだと思って

「何ー?今支度中。」

と返したんですが・・・呼ぶ声は止まらなくて、ついには父の大きな声が・・・。


一瞬、何も聞こえなくて・・・押しつぶされそうなほどの静寂。

急いで下に下りようとすると、そこに弟がいて・・・

涙が溢れる目。


あっという間に急変したんです。

何を叫んだんだろう?

おじいちゃんの手を力いっぱい握って、何とか連れ戻そうと、それはもう涙と鼻みずさんの混ざった叫び声にしかならなくて・・・。


おじいちゃん、逝かないで!ここにいて!

ずっと・・・ずっといっしょでしょ?


おじいちゃんは部屋中ぐるっと見回して、私たちの顔をじっと見つめて・・・そっと静かに目を閉じると



大きな深呼吸を1回・・・2回・・・・・・   ・・・ ・・・



3回目はいつまでた待っても・・・


ほら、潜水得意だったからさ!ね、おじいちゃん・・・。


「先生に電話しろ!」の一言で、私はおじいちゃんのかかりつけの地元のお医者さん・与儀先生に電話をしました。私も小さい時に何回か診察してもらっています。


電話の向こうの先生は、私と分かったとたん、ただ一言「大丈夫だね?」。

この言葉の意味、分かるけど・・・分かりたくなかった。


先生は到着するとおじいちゃんの脈を取り、目をペンライトで照らし、

「わたるさーん!」と名前を何回か呼び、そしてほほえんでこう言いました。


「88年間、よく頑張ったね・・・お疲れ様。

      ゆっくり、休んでな・・・まーすけ、今何時だ?


「7時56分です・・・」


ズームイン朝の時刻スーパーをみて伝えました。向こうでは福沢さんが楽しそうに話す、いつもの朝。

見えない壁が日常と非日常を、生と死を分かった瞬間。


「いいかい、これから大変な1日だよ。おじいちゃんの一世一代の旅立ちの準備を始める最初の日だ。

お父さんもお母さんも悲しむところじゃないし、おばあちゃんは・・・そっとしておかなくちゃいけない。

分かるね?辛いけど、涙は少しお休みだよ?おじいちゃんがかわいがってた、君がしっかりしなくちゃいけない。」


先生はそういうといったん病院に戻りました。


次から次へと、あっという間に弔問の方々で溢れました。

母は高速に乗る直前に訃報を知り、事情を知った運転手さんがコースを変更して交通の便のいいところまで運んでくれたそうで思ったより早くおじいちゃんに会うことが出来ました。


昨日・・・おじいちゃんの体をさすってあげてた時の一言・・・

「今回ばっかはつれえなあ・・・誰か殺してくれないかな・・・。」

この言葉は私たち家族をいっそう強い絆で結び付けました。キセキはきっと起こる!


私は、もう絶対に泣かない。おじいちゃんが生きてる限りずっと笑顔でいよう。

笑顔でいれば、おじいちゃんはきっと・・・。


誰かの世話になるくらいなら死んだ方がましだ!と言っていたおじいちゃん。

今日から看護師さんがくる、電動ベッドが入る、と言う朝に旅立ちました。

明治生まれの気骨な男性。私の最初の友達。

夜中にお水を飲ませてあげた時「まーすけの飲ませてくれる水が一番おいしいんだ。ありがとうな。」

これが最期の会話になるなんて・・・。


その時、弟が涙声で一言ぼそっとつぶやきました。

「ねーちゃん、鶴、どーする?」

「あ・・・。」


キセキを願い信じ、千羽鶴を折ろうと昨日折り紙を買ってきて、20羽ほど折ったとこ。

あと、980羽残ってる・・・。


「折ろう!天国へのお供だ!」

弟はそう決心すると、泣く泣く追試に出かけていきました。

いやだーいやだーって小さい子みたいに駄々こねてたけど、おじいちゃんのせいにするんじゃないっ!と説教されまして^^;


そして、もうひとつ・・・。

「そうだ、おじいちゃんの軍隊手帳をもってこなくっちゃ。」と私の独り言に反応した父が

「なんだそれ、そんなものないだろう?」


そうなんです・・・軍隊手帳の存在はどうやら私にしか明かされていなかったようで。


“おじいちゃんが死んだら、これを棺おけに一緒にいれてくれよ。”

小さい時から、シルクのカーキ色の軍隊手帳を見せてもらっていた私。

知られたら、絶対に棺に入れてもらえなそうだから、私だけに話してたんだ!


大失態です!!!どーしよっ(><;)


その後業者さんが来て、お葬式は中5日も挟んで25日と決まりました。

季節柄(お餅を詰まらせるなど)葬祭場は大混雑なのだとか・・・。


この中5日という時間。

ここに弟の千羽鶴と私の軍隊手帳がとんでもない珍事で埋め尽くそうとはまだ誰も知らなかったのでした・・・得意げ


いつかの次回に・・・・・つづく