2016年11月20日(日) 東京・渋谷SOUND MUSEUM VISIONで行われたTEMPURA KIDZ コンセプトワンマンライブ「PiECE OF CAKE 〜 THE CLUB EDITION 〜」に行きました。



基本的にこのブログのライブレポはニワトリ級のワタシの記憶が消えてしまう前に楽しかったライブの思い出を書きとめておくことを目的に書いているのですが、今回は細かい記憶が時間が経つにつれて薄れていくのになかなか書き進めることができませんでした。ステージから何だかよくわからない大きくて重い塊が落ちてきて、それを受け止めるのが精一杯で、ライブが終わったあと生命力が殆ど残ってない、そんな状態がライブが終わって一週間近く経ってるのにずっと続いてます。

ステージの上でメンバーが持ってる力を全部ぶつけてきた。ダンスもボーカルもステージングも。周到に準備してくれたことが伝わってきたし、共演者との楽しいコラボもあったし、照明とか映像とか効果とか衣装とかも良かったです。メンバー、共演者、そしてスタッフさんたちが丁寧に作りこんだライブでした。

でも、それらを一つ一つ思い出して文章にしようとすればするほど自分が何を書こうとしているのかわからなくなります。いろいろなディテールは「素晴らしいライブだった」と感じることに大きく寄与しました。でも、今回のライブの印象を決定的なものにしたのは、そういうディテールではなかったように感じます。

「A piece of cake」は「楽勝」という意味の英語です。この先に待ち構える困難をスタッフやファンの力を得て「楽勝」と言いながら乗り越えて行きたい、というのが公演のタイトル「PiECE OF CAKE」の由来だそうです。厳しいエンターテインメントの世界で行き抜いて成功に至るまでの道のりは決して「楽勝」と言えるものではありません。そう考えると「PiECE OF CAKE」というタイトルはある程度「強がり」が入っていると考えないと、今ひとつ飲み込むことができません。

でも、一つだけわかったのは、TEMPURA KIDZがこれから先もTEMPURA KIDZとしての活動を続け、自分たちの思い描いてる未来を追い続けることを決断した、ということです。女子4名が高三の秋というこれからの人生の針路を決めるための大事な時期に差し掛かってます。大学に進んで学業に専念するとか、他の仕事に進むとか、その準備として何かの修行を始めるとか、これからの人生について選択肢はたくさんあったはずです。それでもTEMPURA KIDZを続けるという決意はとても重いものだと思います。

そんな強い決意とか、ご家族やスタッフさんなど支えてくれている人たちへの感謝の気持ちとか、自分たちだけのエンターテイメントを作ろうという情熱とか、そういう気持ち的なものの塊が20日のライブの核になっているように感じる訳です。余韻からワタシが後付けで勝手に膨らませた妄想かもしれませんが。

ただ、とにかく強烈な印象を残したライブでした。


1年前のワンマン公演「THE SHOWTIME」が丁寧に作り込んだダンスを見せて、歌を聴かせてくれる素晴らしいライブでした。

今回のワンマン「TEMPURA KIDZコンセプトワンマン PiECE OF CAKE ~THE CLUB EDITION~」のコンセプトは、「THE CLUB EDITION」というキーワードから、観客も一緒になって踊って騒いで盛り上がろう、というコンセプトだったんじゃないかと思います。昨年の「THE SHOWTIME」が「観る」ライブだったとすれば、今年の「PiECE OF CAKE」は「する」ライブ。



あ、ちょっとグループ違いますね。

【セットリスト】

登場SE (バッキバキな曲)
M01: さくらさくら (バッキバキmix)
M02: スキスキ TEMPURA KIDZ
M03: ダンスナンバー (かりぴー)
(MC)
M04: すいみん不足 (short ver.)
M05: I Like It
M06: ダンスナンバー
(この辺でMCがあったようななかったような)
SE: あっち、こっち、そっち (イントロのみ)
M07: ストロボ (nishi-kenコラボ, short ver.)
M08: ONE STEP (nishi-kenコラボ)
(この辺でMCがあったようななかったような)
M09: ドリーミー・ワンダー (Daichiコラボ)
M10: ミイラキラー
M11: マスクマスク
(MC)
M12: はっぴぃ夏祭り
M13: LOLLiPOP
アンコール
EN1: CIDER CIDER (バッキバキMix - RAM RIDERコラボ)
EN2: どんなときも。(ゲスト総出演)

楽曲のいくつかは尖ったダンスミュージックっぽいアレンジがなされていました。メンバーは普段以上に貪欲に観客に手拍子とかジャンプとか掛け声とか手振りなどを次々と要求してきました。「ドリーミー・ワンダー」と「LOLLiPOP」はサビの振付を封印して全員ジャンプに変えるなど、細かい振りを憶えてない観客もライブの一部として取り込んでしまおうという意図を強く感じました。

そんな中で際立ってたのがP→★のステージングでした。普段からライブでやってますが、観客のノリ方を真似しながら「いやそんなんじゃなくて」とダメ出ししてから激しくノッって見せて「こんな感じでもっとノッてよー!」とアピールを何度もやっていました。もちろんマイクなしで。この間の取り方とかタイミングがとても良かった。こっちも「ちゃんとノッてるよー!」と思いながら、更に激しく体を動かしてました。

今までパフォーマンス中の観客への声掛けをNaNaHoに任せ気味だったリーダーYU-KAも随所で観客を煽ってました。NaNaHoがいつもよりおとなしいなと感じるくらいに。たぶんNaNaHoがおとなしかったんじゃなくて他のメンバーの観客への働きかけが普段以上に激しかったんだと思います。舞い上がってて記憶があやふやですがAOとKARINも含めたメンバー全員が観客をライブの一部に入り込み易い空気を作っていました。

観客もそれに応えて激しく動いてましたし、声を出してました。間奏の都度観客から歓声が上がって、TEMPURA KIDZもそれに応えるように激しいダンスで応える、そんな一体感が醸成されていきました。

こんなライブが観たかったんだ、いや、したかったんだ、そういう公演でした。

TEMPURA KIDZがこういうライブを目指すなら、大歓迎です。しかも、ノリだけでライブを成立させようとしている訳ではありません。TEMPURA KIDZには得意の切れ味鋭いダンスがあります。ボーカルの安定感も増してます。ビジュアル面でもメンバー一人ひとりが個性を際立たせて自分たちの持っている魅力のアピールを強めてます。この公演でもウィッグを被らず、衣装も統一感を保ちつつも一人ひとり形が違っていたりしてました。楽曲も売れない原因がソニーのマーケティング戦略とプロモーションの弱さ以外に思いつかないくらいに高いレベルにあります(ここ1年ほどTEMPURA KIDZの周囲にソニーの気配が感じられませんね...もしかして契約失効?...う~ん...)。

こんなライブを繰り返しながら、もう一押しがあれば、TEMPURA KIDZはもっと大勢の人に届くようになる、そんな確信を強めるライブとなりました。TEMPURA KIDZの決意がワタシのためだなんて思ってませんし、むしろ決意にワタシのようなキモチワリュイおっさんが食い付くことがかえって迷惑かもしれませんが、ワタシもファンの一人として、これからもTEMPURA KIDZの挑戦を追い続けたい、そう強く感じたライブでした。

書くのに時間がかかった割りにまとまりのないレポになってしまいました。




まとまりがないついでにライブの記憶の断片をいくつか。

■思いのほか印象が強いのが同日のRAM RIDERのライブにシークレットゲストで登場したYU-KAでした。

ステージはRAM RIDERの機材がスペースを占有していて、更にその周囲に蚊帳のようなネット状のスクリーンが囲っていて、ステージ前方には奥行1mくらいしか空いたスペースがありませんでした。これでTEMPURA KIDZの飛び入り参加はないなと確信しました。

ライブ序盤、アルバム「AUDIO GALAXY」以降の新し目の曲中心に自ら歌いながらゴキゲンな(言葉古いか?)ライブを展開している途中、曲の変わり目で「そしてまた夜が来る♪」という聴きなれた声による聴きなれたフレーズ。同日両方の公演を観た観客だけにCDを配布した「ドリーミー・ワンダー RAM RIDER Special Mix」でした。TEMPURA KIDZの飛び入りはないと確信してたんで「あれま?ここでかけちゃうの?ま、いーか、ノッちゃえ!」と、長めのバッキバキなイントロをぴょんぴょん跳ねながら聴いてたら、YU-KAがソロシンガーとして登場。いやー、ソロシンガーYU-KAのステージが観られるとは期待していなかったので、登場した時点でブチ上がったのですが、そこからがスゴかったです。

南波志帆の影アナで「写真撮影は他のお客様のご迷惑にならない範囲ならかまいませんが、SNSにアップロードする際には表情と映り具合にご配慮ください。こちらに取っては切実な問題なので。」と注意されましたが、YU-KAのステージをガン観したくてこれしか撮れませんでした。

「Put your hands up!」とか
「Everybody, clap! Clap!」とか
「Jump! Jump!」とか

たたみかけるように観客を煽りながら歌うんです。得意のダンスは封印で。これがカッコ良いんですよ、ものすごく。もちろんボーカルも力強かった。

そこまで良い感じで盛り上がってた会場がこれで一気にヒートアップ。ライブ前半のクライマックスだったんじゃないかと思います。

RAM RIDERによる「らー、らー、ららら♪」のコーラスも聴かせていただきました。

■少し脱線したついでに、RAM RIDERライブの印象を少し。

DJアクトではなくてワンマンライブということで、ほぼ全曲歌いっぱなしでした。「ROCK IN JAPAN FES. 2013」でTEMPURA KIDZをゲスト出演させてくれたときに、予習として聴き始めたニワカ未満のライトなファンですが、知っている曲が多くてノリ易いライブでした。

前述したようにDJ卓の周囲をPerfume「STORY]で使うネット状のスクリーンで囲って、ライブ中レーザーだの映像だのを投影していました。網目を透過したレーザー光がRAMさんの顔に当たってたので、目とか大丈夫かと心配にはなりましたが、良い具合にライブを盛り上げてました。

2013年4月29日に東京・渋谷EKIATO (東横線の駅跡地)で行われた「TAKENOKO!!!」がYouTubeでライブ配信されているのを家でボーッと観ていたときに、RAM RIDERのアクトで南波志帆がシークレット・ゲストとして登場して「VOICE-とおくのきみへ-」を歌って大盛り上がりになった直後に二組目のシークレット・ゲストとしてTEMPURA KIDZが登場し「CIDER CIDER」を踊って更に大盛り上がりになったというシーンがありました。TEMPURA KIDZが将来スゴいアーティストになると確信した一瞬でした。そのときに南波志帆の「VOICE-とおくのきみへ-」もセットで私の貧弱な記憶に刻み込まれていただけに、順番は違うけど同じシーンを生で体験できて嬉しかったです。

Audio Galaxyでおなじみのマツモトさんの顔を生で拝見することができたのも収穫です。

とにかく、このライブだけでも同じボリュームのレポが一本書けちゃうくらいの楽しいライブでした。ラストの「Sun Lights Stars」で最高潮に盛り上がってライブは大団円でした。

■閑話休題。TEMPURA KIDZに戻しましょう。ライブのことは前述のように強い印象以外のディテールは断片的です。

■前半で観客も盛り上がったというようなことを書きましたが、この日はチケットに余裕があった分、メンバーのご家族がメンバーのダンス仲間など「身内」を大勢呼んだらしく、フロアの後の方がやたらと盛り上がっていたように感じました。ダンス仲間の方々はダンスイベントなどで[盛り上がり慣れ」しているところもあるとは思いますが、おなじみのファンの方がリードされている感じでしたね。ファンも負けてはいられません。今回のようなライブの積み重ねでわれわれファンがリードして会場をホットにするようになれたら良いなと感じます。

■かりぴーのダンスナンバーは、普段のゆるゆるで子供っぽいイメージとは打って変わってキリキリっとしたダンスでした。むちゃくちゃカッコよかったです。これ、フリーイベントなどで1~2分のショートバージョンやったら、中高生ファンは完全に虜になっちゃうんじゃないでしょうか。それくらいカッコよかったです。

なぜかYU-KAがステージに残って曲芸コンビ海老一染之助・染太郎のお兄さんの方みたいに(若い人わかりませんね)、随所随所で「Clap! Clap!」とか「Make some noize!」とか観客を煽ってました。何故舞台裏にハケて休まないんだろうと不思議でしたが、思い返してみると、こういう場面でも観客がライブを「観る」のではなく「する」ことにこだわったからなのかもしれません。

■2つ目のダンスナンバーは、曲の変わり目でメンバー5人ともステージ裏にハケてから、再登場。なぜか、AOを除く4人が最初に出てきてYU-KAだけが蛍光色のトップスを着てなくて白いノースリーブ。少しだけ4人で踊っている間に少し遅れてAOが登場。AOも蛍光色のトップスじゃなくて黒いブラウス。「これは往年のTWISTARRコンビダンスあるか?」と期待が膨らみましたが、最後まで5人で踊り切りました。

もしかしたら、AO+YU-KAのコンビダンスを入れるつもりが何かの間違いで入れ損ねたのかもしれません。

■その後のMCで再度トップスを着たAOがYU-KAのトップスを持ってきて、それをP→★がジェントルマンぽくYU-KAに着せて上げようとしたところで、観客が一斉に「Hoooooo!!!」と沸き立ったのですが、それで照れたのか、P→★はYU-KAが片袖を通したところでいなくなってしまい、YU-KAが「何よ!ケチ!」という顔でP→★をにらみながらもう一方の袖を自分で通すという一幕がありました。

■MCの大部分はYU-KAが話してました。

最初のMCは事務所最大のイベント「MOSHI MOSHI NIPPON FESTIVAL 2016 IN TOKYO」の直前で事務所全体が一番忙しい時期にワンマン公演を開催してくれたことに対する感謝の言葉でした。

この公演、物販や入場や時間管理などの運営に拙いところがいくつかありました。でも、所属事務所が家庭的な雰囲気で無理に規模を大きくしてお金儲けに走ろうとしていないところは良い点でもあります。ワンマン公演の余韻に浸る暇もなく「もしフェス」準備に協力しているTEMPURA KIDZの姿を見てしまうと、良い事務所で働いてるな、少々の運営の拙さは多めに見なきゃなと、感じる訳です。



事務所のスタッフはRAM RIDERとTEMPURA KIDZのダブルワンマン公演ともしフェスの準備で忙しくて寝る暇もなくて...という流れで「すいみん不足」の曲振りにつなげるあたり、YU-KAのMCもなかなかウマい。3年前のワンマンは「天天様」という影の声にMCやってもらってたんですよ。

■「マスクマスク」はクリスマスバージョンということで、間奏でP→★がホルスタイン柄の箱を持ってきて、お菓子を客席に配ってました。ワタシの方向に飛んできたお菓子は飛距離が長くてキャッチできませんでした。残念。

■その直後のYU-KAのMCで「ラスト2曲になりました(観客:えーーー!?)。クリスマスが近いですけど夏の歌やります。」と「はっぴぃ夏祭り」の曲振り。

いや正直ホントに早いなーと思ったのですが、ここまでのメンバーの運動量とインターバルの短さを考えると、いっぱいいっぱいだったんじゃないかと思います。Perfumeがやっているような2.5時間で20曲くらいのボリュームの公演をやるためには、ソロダンスやペアダンスなどを間に入れて交互に休んだり、Perfumeみたいにビジュアルでつないだり長~いMCを入れたりしないと難しいのかもしれません。

■「はっぴぃ夏祭り」では、間奏の3人ピラミッドで頂点に立ったP→★が特大のクラッカーで銀テープを客席に飛ばしました。私も2本頂戴しました。

■アンコールでは公演Tシャツに着替えて登場。5人5様の着こなしでしたが、NaNaHoがすそを結んで丈が短くなったTシャツからお腹をチラ見せしていたのが中高年のおっさん的には眼福でした。ミニスカートからすらっと伸びた脚も素敵。近い将来Perfume(特にかしゆか)みたいな美脚になるんじゃないかと。

■アンコール1曲目はDJが津吹マネからRAM RIDERにスイッチして「CIDER CIDER」。少し尖ったダンスミュージック風のアレンジがされてました。RAM RIDERは自分のワンマンでもかなり曲の味付けをオリジナルと変えてましたが、このダブルワンマンのために周到に準備していたことが伝わってきました。

終始、観客が動くようメンバーが働きかけていたので、ワタシもつられてずっと踊っていて、スペシャルバージョンのディテールは何も憶えていません。

■アンコール2曲目は更にNishi-kenとDaichiもステージに呼び込んで「どんなときも。」でグランドフィナーレ。

途中でYU-KAが観客に呼びかけているのがよく聴き取れなくて、周りを見てたらみんなスマホのライトを点灯して曲に合わせて振っていて、あわててワタシもライト点灯。最近色んなアーティストがやっているやつですね。ちらっと周りを見ると良い景色でした。

■最後に冒頭に載せた「PiECE OF CAKE」の由来についての説明と決意表明。YU-KAから振られたKARINがすごく良いことをしゃべっていたんですけど、チキンな脳みそのワタシはそれをすべて忘れているという...あー後悔先に立たず。

こんな感じでしょうか。

そうそう、これ以外にも両脇に大きいスクリーンがありました。スクリーンの下端は155cmくらいで、YU-KA以外はかがまないと通り抜けできない感じでした(KARINも高めの位置で束ねたポニーテールが邪魔で通れませんでした)。これがあって動きが制限される中激しく踊ってたTEMPURA KIDZやっぱりスゴいです。


終演後、ワタシは晩御飯とか帰り支度に余念がなかったのですが、ファンの多くは会場出入口付近に集まってライブの感想を語り合ってました。ワタシが晩御飯済ませて会場の前を通ると、会場のスタッフさんが往来に支障するからと移動を促してました。

まあ、1年ぶりのワンマン公演ですが、素晴らしかった昨年をドーンと上回るすげーライブだった訳で、話は尽きませんよね。帰りのバスがギリギリになるのが嫌だったので、そのままおいとまして東京駅に向かいましたが、ワタシもその話の輪に加われば良かったとちょっと後悔。

えー、まとまりのないレポですが、いちばん書きたいことは前半に書いた通りであります。ここまで読んでくださった奇特な方には御礼申し上げるとともにまとまりのない長文をお詫びします。