この日のキーワードは雨。

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駐車場に入る際にスタッフから「雷雨注意報が出ているので、車で待機してください」と告げられました。

バケツをひっくり返したような、大雨でした。雷鳴も聞こえました。待機の指示がなくても車から出るのを躊躇するくらいの状況でした。TwitterのTLでシャトルバスの乗客もバス社内待機となっていたことを知りました。

時折雨脚が弱まることがありましたが、車を出ようとすると大降りになるという繰り返しで時間だけが過ぎていきました。

TLで9:00開門という情報があったので、9:00ちょっと前に入口に向かうと、いつもの入場列よりも駐車場寄りの場所で待機を指示されました。雷注意報が発令された時点で入場列に並んでいた人たちは、一旦会場内の保護エリアで待機して、再度門の外に並んで入場を待っているそうで、その人たちを先に入場させてからの入場になるということでした。

この辺のいきさつは、渋谷陽一ブログ「ロック・イン・ジャパンにとって初めての4日目が終わりました」に詳しいです。これを読みますと、会場内の保護エリアで待機していた人たちは2時間近くも雨に濡れながら雨が上がるのを待ち続けていた訳です。それに比べれば車内待機の私はずい分楽だったなと思います。

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9:20に開門してから、私が入場できたのは9:50過ぎでした。

最後はBUZZ STAGEのライムスと考えていたので、GRASS STAGEエリアにシートを敷いて、そこへゴミ袋にくるんだデイパックを置いて拠点にしようと思いましたが、途中から雨脚が強くなってきたので、PARK STAGE近くのクロークに荷物を預けました。クロークの利用は久しぶりです。

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最初はパスピエを観ようとLAKE STAGEに向かいました。すでに開演時間が迫っていたのですが、小腹が空いたので森のキッチンで腹ごしらえをしました。森のキッチンには大きな水溜りができていました。

■ 10:30~ パスピエ at LAKE STAGE

以前フェスのダイジェスト番組でちらりと見て曲の感じが好みだったのと、それよりも何よりもボーカルの大胡田なつきの顔が映らないので、気になって気になってしかたがなかったという理由で、観にきました。

森のキッチンで道草を食べて少し遅れて入ったので遠い場所でしたが、普通にかわいい女性に見えました。ステージ脇のスクリーンの映像も、あごより上が画角の外に外れたり、ステージ全景は焦点を観客に合わせてぼかしたり、何かと大胡田なつきの顔が映らないようにしていました。

大胡田なつきの顔が気になってあまりライブに集中できなかったのですが、音楽は楽しかったです。また機会があったら聴きに行きたいです。

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パスピエの後はしばらくLAKEエリアでtacica、dustboxをつまみ見したり森のキッチンでうどんを食べたりして過ごしました。

dustboxは何故かLAKEエリアをぶらぶらしているときに観る機会が多いのですが、観るたびに観客が増えています。今年はびっしり埋まったLAKEのスタンディングゾーンですが、そんな状態でもサークルモッシュが発生しているのには感心しました。そろそろLAKEじゃ無理っぽい感じがしました。

12:15~の前田敦子も見てみようと思ったのですが、1コーラス聴いただけで離脱しました。歌唱も曲も何かが足りないので。アイドル枠でBUZZ STAGEに出ているならとにかくとして、FORESTで一アーティストとして歌うには何かが足りない、そう感じました。元AKB48のセンターということで、しばらくは活躍の場が与えられると思います。その間に自分の居場所が見つかると良いなと思います。でも、それはひたちなかのフェスではない、そう思いました。

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雨が上がって暑くなってきたので、荷物をクロークから引き出してBUZZ STAGE近くのテントゾーンにシートを敷いて拠点にしました。再び雨が激しくなったらクロークに預ける作戦です。こういうとき1000円で出し入れ自由というのは便利です。

■ 12:50~ ORAL CIGARETTES at BUZZ STAGE

次のBUZZ SPECIALで中に入れないようだと困るので、一組前のORAL CIGARETTESからBUZZ STAGEに入ることにしました。

このグループ、昨年10月のMINAMI WHEELでTEMPURA KIDZが出るMUSEを入場規制にしたバンドです。それほどの人気ならと一度見てみたいバンドでした。

なるほど、ボーカルがイケメンでなおかつ音楽的にもイカしているバンドでした。きっと来年以降もちょくちょくRIJFに出演機会がありそうな予感がします。

■ 13:35~ BUZZ SPECIAL at BUZZ STAGE

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昨年からアイドルを大量にブッキングするようになったRIJFですが、今年は「BUZZ SPECIAL」と称して何組かまとめて続けざまに登場させる戦術に変えてきました。アイドルの現場に足を運ぶ機会の少ないワタシ的には、今話題のアイドルをまとめて観ることのできる美味しい企画です。

とはいえ曲もノリ方もよくわからないので、2列目の柵で観ることにしました。

仮面少女

見た目のインパクトはデカいですね。顔を隠さなければならない事情があるのかなと思ったら曲の途中で仮面を外したらみなさんステキなカワイ子ちゃんばっかりでした。

仮面と素顔のギャップを楽しませたいのか、先ほどのパスピエのときのワタシのように素顔が気になってしかたない人をターゲットにしたマーケティング戦略なのか、マスクを付けた状態でもメンバーの識別ができるようになることの楽しみをセットにして売り込もうとしているのか、仮面を付けている理由についてあれこれ気になって、でも、全然答えが出ないうちに出番が終わってしまいました。

不思議なグループでした。

Cheeky Parade

楽曲的には仮面少女よりも好みでした。四つ打ちが好きなんですね。ダンスの運動量もなかなかのもの。

どうしても一人だけ金髪のボブの方に目が行ってしまいます。理由はわかりません(少し身に覚えがありますが)。

lyrical school

こちらは前の2組とガラリとヒップホップな感じ。コンセプトがハッキリしていて好きです、こういうの。

尻上がりに私のストライクゾーンの中央に寄って行く感じでした。

武藤彩未

この人とNegiccoが目当てでした。Negiccoは1年前に観たことがありますがこちらはお初。TLで話題になっていたので興味津々でした。

で、15分のライブを観た訳ですが、衝撃でした。松田聖子の再来と言われるのは決して大袈裟じゃないなと。

ここまでグループが続いた後で、ちっちゃい娘が一人で出てくるのですが、場の雰囲気がガラリと変わりました。たった一人なのですが、小さな体全体を使って会場を煽ります。その煽り方が他のアイドルグループのそれと何かが違う。何がどう違うかうまく説明できないのですが、初めてのオーディエンスの割合が多いはずの会場の中で物怖じした感じが全然ないのです。かといってどうせアウェイだからやり逃げようという居直りみたいなものでもなくて。

それまで各グループのファンが固まっている最前とそれ以外で明らかな温度差があったのですが、会場全体が均一に、しかも、平均温度は前の3組よりも高めに暖まる感じがしました。

しかも1曲目は私のような中高年には懐かしい「なんてったってアイドル」から。若い観客も多いはずですが、みなさん小泉今日子のファンみたいにノリノリです。曲のノリ易さもあると思いますが、上手に観客を巻き込んでいるように見えました。

一人でステージの幅一杯に動き回って会場全体を掌握する姿は、アイドルの中のアイドルそのものでした。

良いものを見せていただきました。

他のアイドルにない何かを持っている武藤彩未ですが、果たして80年代とは構造が大きく変化した音楽業界において彼女の居場所が見つかるのかどうかは、私にはわかりません。でも、何とか居場所を見つけて活躍して欲しい、そしてまた来年ひたちなかでステキなパフォーマンスを見せて欲しい、そう感じたアクトでした。

Negicco

お目当てが続きます。

ただ、武藤彩未が均一化させた会場の温度分布はまたばらつきが出たように感じました。昨年NegiROAD Vol.6を観に行く前に予習のために観たNegiccoのライブ映像では、新潟圏内のお祭りのアトラクションのように必ずしもネギヲタさんばかりが集まる訳ではないシチュエーションで、たまたま居合わせたオーディエンスを巧みにライブに引き込む技に長けたグループだなと感じていました。アウェイでのライブを心得ている、そんな印象でした。

ところが、この日のBUZZ SPECIAL、必ずしも観客のすべてがネギヲタさんではないややアウェイなシチュエーションなのに、貪欲に観客全員を取り込もうとしていないように感じました。これは実は最初の3組にも感じていたことなのですが。

昨年代官山LOOPで観たNegiROADで味わった多幸感に比べたら何かが物足りない、そんなライブでした。

原因はいくつか考えられます、私自身が武藤彩未で受けた衝撃から相対的に以前観たことのあるNegiccoにそれほどの衝撃を感じることができなかった、というのが可能性が高いと思います。

ただ、もう一つ考えられるのが、会場の規模。BUZZ STAGEはRIJFでは最少の部類に入りますが、それでも代官山LOOPの10倍以上のキャパがあります。ステージと客席最前部との間に2mくらいの距離があります。私が大好きなPerfumeも、アリーナやドームのような大きな会場では何かライブの熱気がやや薄まったような感覚があります。Negiccoは新曲のオリコンウィークリーベスト10に迫ってくるなどブレイク間近ですが、ブレイクして今までの小さなライブハウスに観客が納まらなくなってきたら、ブレイク後のPerfumeがそうであったように大きなハコ向けにパフォーマンスの形を変容させる必要があるのかもしれません。

とはいえ、さすがNegiccoという長いキャリアで積み重ねたものを感じさせる楽しいライブでした。

「圧倒的なスタイル」では2列目の柵ではありましたが、両隣のうち右側の方と肩を組んで少しだけ下がってラインダンスをやることができました。左側の方は柵につかまったままで、ラインダンスをご一緒することができなかったのは残念です。

そうえいば、MEGUが少しぽっちゃりした感じがしました。個人的にはぽっちゃりした女性が好みなので、決して悪い傾向ではないのですが、最近Negiccoもあちこち引っ張りだこみたいなので、多忙によるストレス食いみたいなことになっていなければ良いのですが...

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Negiccoが終わった時点でBUZZ STAGEを離脱して、少し休憩を取りました。

ネットで知り合った方の多くはWING TENTの東京女子流に向かわれたようですが、15分かけて移動する元気が残ってませんでした。

ハム焼きで栄養補給してそれでもなお回復しないのでグリコジャイアントコーンで当分も補給してからGRASSのPAブース前に移動しました。

■ 16:10~ the HIATUS at GRASS STAGE

アイドルが続いたところでロックフェスらしいアクトも観たいなと思ってthe HIATUSを選びました。ちょっとプログレっぽい洗練されたサウンドが好きです。ちゃんと曲を聴いてみたいと思いました。

細美武士が会場の放射線レベルを懸念する人が多いが数字を調べる人がいないので自分でガイガーカウンターで実測してみたが安全と言われる0.23muSv/hを下回っていたという話をしていました。

途中で雨が降ってきて雨具を忘れた私は一旦雨具を取りに10分ほどエスケープ。戻ってみると細美武士は雨脚の変化のタイミングがたいそうお気に召したようで「いやー、楽しい!こんなにタイミングよく雨が降るように演出しようとしてもそう簡単にはできないよ。」と大喜びでした。

私自身、たまにはズブ濡れになりながらのライブに参加するのも悪くないなと感じていましたし、最終日の夕方でここから先は多少ヒドい目に遭ったって構わないという感覚になっていたので、雨の中ライブを楽しみました。

この週の金曜日8日に渋谷陽一の社長はつらいよ「フェスの雨対策にはレインスーツがお薦めです」を読んで勤め先からの帰りがけに近所のXEBIOでレインスーツを購入したのですが、これがなかなかのスグレもの。下半身が濡れるのを防いでくれることで、雨に濡れたときのミジメな感覚が1/4くらいに減ります。それに、雨が本降りのときはレインスーツの外側が冷やされるので心配したほどには蒸れません。(小雨や止んでるときは蒸れますが...)。確かにお薦めです。

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雨はHIATUS終演後もしばらく降り続けました。こういうときは暖かいものが食べたくなります。ハングリーフィールドで沖縄そばをいただいて暖を取りました。食べているうちに雨脚は弱まりました。

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■ 17:35~ ユニコーン at GRASS STAGE

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またまたロックフェスらしい、というか、RIJFらしいアクトでした。

モッシュができたりするような激しい楽曲ではありませんが、メンバーの長いキャリヤに裏打ちされた演奏と歌の安定感はすばらしかったです。

何度聴いても奥田民生のギターは心地良いなと。

奥田民生は昨年も同じことをMCで言っていたのですが、ずっと晴れ男でそれが理由であちこちのフェスからオファーが来ていたのが、昨年のフジロックで大雨に遭い晴れ男としての能力がなくなってしまい、これからオファーが来なくなると嘆いてました。晴れ男としての能力がなくなったことは、この日の雨でよくわかりましたが、それでも彼の音楽が目当てで集まる観客は少なくないだろう、そしてその観客が目当てで彼とユニコーンをブッキングするフェス主催者はこれからも減らないだろう、そう思いました。

■ 19:20~ RHYMESTER at BUZZ STAGE

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今年はBUZZ STAGEにとてもご縁があります。その代わりWING TENTとPARK STAGEには4日間一度も行きませんでしたが。(だって、一旦GRASSに根っこを生やすとLAKEエリアは遠い...)

ということで、最後もBUZZ STAGEでRHYMESTER。

SEKAI NO OWARIの裏ではありましたが、BUZZ STAGEにはキング・オブ・ステージと一緒に騒ぎたい人が大勢集まりました。これがこのフェス最後のアクトになるということで、全員異常なテンション。

一般にはSEKAI NO OWARIほどには知られていないかもしれませんが、オトナのヒップホップを存分に楽しませてくれました。

最後は活動休止から復帰した後に出した名曲「ONCE AGAIN」。曲振りのMCで宇多丸が「ONCE AGAIN」が収録された「マニフェスト」以降のファンが増えたことが嬉しいと語っていました。私もRIJF2009で「ブレイク前のPerfumeを支えた人物が所属するグループ」ということしか知らずにRHYMESTERのアクトを観に行って「ONCE AGAIN」に惚れてRHYMESTERの(ライトですが)ファンになった一人です。そうやって喜んでいただけると私も嬉しいです。

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最高の気分で私にとってのRIJF2014最後のアクトが終わり、帰途に就きました。
初めて体験したことが多かった4日間ですが、RIJF2009から2013までの5回で積み重ねてきたこのフェスの思い出に、更にたくさんの楽しい思い出が積み重なりました。

振り返ってみると私がこのフェスに通うきっかけになったPerfumeがここにいないというのは寂しいですが、フェス中はその寂しさをまったく感じさせないほどに、他のアーティストのアクトや、国営ひたち海浜公園の環境や、主催者の運営や、美味しいフェス飯や、そして他の参加者の楽しいそうな笑顔など盛り沢山で私を楽しませてくれました。

本当に楽しかった。主催者とスタッフのみなさん、出演者のみなさん、会場でお会いしたみなさん、そして誰だか存じませんが一緒にライブ観ながら騒いだ参加者のみなさん、どうもありがとう!

今までフェスに行ったことのない方で、関東(特に北関東)にお住いの音楽が好きな方には自信を持ってお薦めできるイベントです。全国にいろいろなフェスがありますが、サマソニがディズニーランド感覚で楽しめる都市型フェスだとしたら、RIJFは高尾山にハイキングに行く感覚で楽しめるのフェスだと思います。フジロックやライジングサンですと、もう少し敷居が高くなります。

このフェスの魅力については、この記事がわかりやすいです。関心ある方はちょっと読んでみてください。

ROCKET NEWS 24「【RIJF2014】夏フェス未体験者こそ「ROCK IN JAPAN 」に行きなさい!」

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このフェス最後の花火はSOUND OF FORESTを少し過ぎた、森のキッチン付近で見ました。

開門から花火まで全日程参加という目標は3日目に駐車券を家に忘れるというチョンボでかないませんでしたが、開演から花火まで全日程に参加することができました。

来年は開門から花火に再チャレンジしたいです。
いや、やめておきましょう。ルールさえ守れば自分の気の向くままに楽しんで良い、それがフェスの魅力ですから。来年のフェスに変なシバリを加えるのはやめてます。