今年の鈴鹿8耐はWGPやWSBとスケジュールがバッティングしたため、




世界を舞台に戦うライダーの参戦が事実上不可能。








またホンダもワークスチームとしての参戦を休止すると早々にアナウンスされていたので、




プライベーターにとってはまさに腕の見せ所とばかりに、




意気込んでサーキット入りしたライダーも多かったと思います。








金曜日の予選で存在感を見せ付けたのが




No.48 PLOT FARO PANTHERA 出口修選手・寺本幸司選手のペアでした。




午前中に出口選手が4番手タイムを叩き出し、土曜日のTOP10トライアル進出を決めたのです。








残念ながら土曜日の1LAPアタックでポジションを落としてしまいましたが、




決勝レースは8時間の長丁場、3つぐらいのポジションダウンは大した事ではない。




むしろ無理をして転倒し、せっかくセットアップを進めてきたマシンに




ダメージを負ってしまっては何にもならない。




ベテランの域に入りつつある2人は、何事もなく土曜日までの日程を終えた。








そして決勝。




予想通り、優勝候補と目される3チームがオープニングラップからスパートをかける。








まだ2周目のS字で、優勝候補の最右翼である No.1 F.C.C. TSR Hondaの秋吉耕佑選手が




まさかの転倒!!








そしてNo.634 MuSASHi RT HARC-PRO.の山口辰也選手も転倒を喫してしまう。




スタートからまだ1時間も経過していないにも関わらず、




優勝候補に挙げられた3チーム中2チームが大きく遅れを取ってしまったのである。








その山口選手の転倒について補足させて頂きます。








秋吉選手が転倒し、2台になったトップ争い。




ハイペースの2台はあっという間に周回遅れを生み出し、




山口選手とNo.12 ヨシムラスズキ with JOMOの酒井大作選手はその間を縫うように走行。








そして130Rを立ち上がった先のシケインの進入で、山口選手の前を走るマシンが転倒。




ダートの部分にはみ出してそれを避けようとした山口選手でしたが、




柔道の足払いを食らったような感じで転倒してしまった。








これでヨシムラが単独トップに立つのだが、




セカンドグループ、サードグループの争いも面白くなっていた。








そしてコース上に雨が落ち始める。








その後の武石選手の快走については以前書きましたが、




ここで忘れてはいけないのは No.48 寺本選手の走り。








激しい雨が降って 




雨が上がって日差しが差してきて




また激しい雨が降って




また日差しが差して








今年の8耐は本当に難しいコンディションでしたが、




激しい雨の中、寺本選手は井筒選手を捕らえ、




No.48は一時 2番手に上がったのです。








ここで寺本選手について一つ書き加えさせて頂きます。




2001年からST600に参戦している寺本選手の全日本初表彰台は




その01年のハーフウェットの岡山(当時のTI)でした。




ST600でスズキ車での初表彰台を獲得したライダーでもあるのです。




その時の寺本選手の1コーナーへの突っ込みは




見ていてシビレました。








今から10年前、1999年にはTIのSP250で全戦全勝を飾った寺本選手。




ドライだろうがウェットだろうが、ブッチギリだった記憶がありますね。




その99年といえば、ペアの出口選手は鈴鹿のNK4耐で優勝を飾っています。










話は戻って。




その後またTRICK☆STAR RACINGが2番手に上がり、




また、4回に渡ったセーフティカーの入る位置関係もあって、


PLOT FARO PANTHERAは単独の3番手を走行することになりました。








鈴鹿をホームコースとする出口選手は、ヨシムラから8耐デビューした2000年に




いきなり6位入賞を飾るなど、過去には何度もTOP10フィニッシュを経験。




05年・06年は2年連続で4位。手が届きそうで届かない表彰台。




本当に後一歩。








そして寺本選手は昨年、今野選手とのペアで自己最高位の7位フィニッシュ。




今年はもちろんそれ以上を狙っての参戦。








スズキ→ホンダ→スズキと様々なメーカーのマシンでレースを続ける出口選手と




一貫してスズキのマシンで参戦する寺本選手。




2人ともペースが安定している。




そして後続との差は大きい。




このままいけば今年はホンダのいない表彰台になるのか。








しかし。




レース終盤、出口選手がライディング中にまさかのハプニングが。




リヤホイールにトラブルが発生し、緊急ピットイン。




緩んでいたシャフトを締め直しピットアウトしたのだが、ポジションを落としてしまう。




後からの情報では、シャフトの緩みではなく、スローパンクチャーだったようだ。



懸命の追い上げもかなわず、5位でのフィニッシュとなった。








残念ながら表彰台は逃がしてしまったものの、




2人の侍の「懐刀」というか、持っている本来の実力を




8耐ファンはしっかりと見させてもらいました。








8耐も終わり、全日本選手権も後半戦に入ります。




もしも決勝がウェットレースになろうものなら・・・








懐刀を抜いてくるぞ~。