もし・・・

もしも私が有名人だったり大金持ち・・・セレブだったとしても、彼には頼まないだろう。いや、ない。

だって住みやすい家のほうがいいもの。

そう考える人のほうが圧倒的多数である。

 

彼の作る個人邸は、誠に住みにくそうで、自分の家なのに他人行儀な気がしてしまう。

大きな梁や漆喰の壁、焼杉板・・・木の香りのする家で生活したい私には、コンクリート打放しの家は対極の位置だ。

 

冬にスキーウエアを着る生活は私の望むところではないし、台風の時に大変な思いをしたくない。

(彼が「台風の時、大変やで」と言った家がある)

そして住みにくさに慣れたくもない。

 

しかし大きな箱物になると、人が吸い寄せられるように集まる。

まあ生活するわけじゃないんだから、それも納得だが、それ以上にインパクトがあり、自然との調和や美しさを感じる。

 

やはりパブリックなものになると圧倒されるほど引き寄せられ、いつまでもそこに身を置いていたい気持ちになる。

 

さすが、世界のANDOだなぁ。

その彼の作品展「安藤忠雄展―挑戦―」@国立新美術館。

 

作品の中には、ヴェネツィアのプンタ・デッラ・ドガーナ(税関岬)のリノヴェーションもある。

 

模型も見ごたえがあり、イタリア旅をしたKさんと「私たちが泊まったのは、この辺だよね」なんて。

あぁ、行きたし・・・。

 

トレーシングペーパーの設計図も数字のテンプレート文字も懐かしく、無機質な建物が手描きの薄い紙によって温かみを感じたりもした。

 

個人邸は、その人の個性が強くなければ住めないだろうな。

建物に負けないほどのキャラだから住めるんだろうな。

美術館を出る頃には、私の個性が強かったら頼んでみたい気持ちになっていた。

少しだけw