慣習と行政 | 工藤まさゆき

慣習と行政

現在、桜井市で障害者福祉施設を開所したいという法人設立予定者と様々な折衝をしています。

結論はうまく行っていません。

理由は地元の反対です。今朝も区長とお話させて頂きましたが、その根底には僕のようなそこで育っていない者にはわからない、昔からの近所付き合いなどの様々な理由があるそうです。

翻って桜井市には障害者福祉施設は3件しかありません。しかし、現在の市の障害者の居場所に関する認識は「不足はない」という事です。

理由は、窓口に相談に来られた方は、市内外を含めて受け入れてくださる企業や施設などが見つかり、待機されいる方はいないということからです。

しかし、障害者福祉に対する満足度調査のようなものは行われたことがありません。ですから、桜井市に在住の方でも他市に入所、通所されている方は多くいます。

そんな折に他市の方が桜井市で障害者福祉施設を開所したいが、市の意見書が出ないので設立ができずに困っていると相談がありました。それがきっけけでした。

私は他府県出身の市議会議員として、旧住民と新住民の融和が一つの目標であることからもこの相談に対して市に問い合せました。

その時の市の返答は「桜井市では意見書を書くためには地元の同意が必要であり、その同意の表明として、境界明示に区長のハンコが必要」とのことでした。だから意見書は書けないと。これは慣例でしかなく法的根拠はありません。

しかし、障害者福祉施設は桜井市にとって来ていただきたい施設であるとの答えもありました。ですが、この件に対して市はほとんど何もアクションを起こしていません。ただ、区から送られてきた地元同意がなされるまでは、意見書は書かないで欲しいという要望書に従うだけです。

これでは何のための行政かわからないと、何度も市側と話を重ねてきました。


6万人余りの行政単位では、住民と行政の距離が近いことが良い結果を生む場合と、そうでない場合があります。しかし、判断すべき時には判断し、それに従って行動しなければなりません。

そして、その判断基準は市の未来や利益を考えたものでなければなりません。今回の件に関しては障害者施設が必要か、地元との関係を優先し意見書の提出は出来ない(=施設は建たない)かを判断していただきと市長にもお願いしました。今は市長に頂いたアドバイスに従って、再度の地元へのご説明を考えているところです。

何もせずにただ見守っているだけでは本当に何のための行政かわかりません。

まだ結果の出ていないことであり、僕の判断が全て正しいとは断言できない中でのこのような長文失礼しました。しかしこの件は、市政の大きな課題を内包しているとの判断からこの場に書きました。
ご理解ください。

平成24年6月17日
工藤 将之