蓮舫さんへのメール | MasaYan24Hours

MasaYan24Hours

MasaYanの気まま日記

(2009-11-15 に書いた記事)
少しでも声が届くと信じ、民主党、蓮舫さんへメールを出しました。

自分自身の考えを反映しているので、ブログに掲載します。


-----
蓮舫 様

自民党に代わり、無駄な政策・予算の削除等ありがとうございます。国民のみなさんも、民主党の改革には期待しております。

私は、岡山大学の博士課程を今年度卒業予定であります、高橋雅裕と申します。私は物理の分野で研究を行っておりまして、特に極低温の世界でどのような本質的なメカニズムが全体で見たときのマクロな現象につながっているかということを日々調べております。目標としましては、このような研究を通して、人類の文化的発展に貢献することです。と言っても、普段は日々の研究に忙しく、毎日を生きるのに精一杯ですが。

私の研究に少し触れましたのも、この度の科学研究費(科研費) の予算削減に関して、少しでも研究者側の意見を聞いていただければと思ったからでございます。少しでも蓮舫様の耳に直接声が届けばと思い、メールを差し上げた次第です。

先に述べましたように、私の研究分野は、純粋科学に分類されるものです。こういった研究は、企業ではすることができません。なぜなら、直接的な利益を生む可能性が少ないからです。偶然的に、莫大な利益を生むこともありますが、稀です。しかし、私は、このような研究を行っていくことが必要だと思います。
1. 直接の利益は生まないが、基礎を築く (未来の科学のため)
2. 日本 (世界) の文化の発展のため
特に、2 は国民の皆さん全員にはなかなか理解いただけない点かもしれません。しかし、その大切さは蓮舫様もおわかりになると思います。

さて、意見といいますのは、科学研究費の削減をできる限りやめていただきたいということです。今の経済状況の中で、自分たちばかりそのように言うことはできませんが、それでも、研究活動を継続していくことは非常に重要だと考えます。研究は、一度止めてしまうと、再度世界に追いつくのは非常に難しいのです。日本は高い技術・知識を持って世界と対等に渡り合える地位にいると思います。その日本で研究を止めてしまっては、何が残るでしょうか。将来の日本の姿が危惧されます。

ある程度の科研費の削減も仕方がないと思います。
それは、社会保障費などと比べると、相対的に優先順位が低いと思います。しかし、削ってはいけない政策の内の一つだと思います。

無駄を省くのはとても賛成です。しかし、必要なものには力を入れてもらいたいです。子ども手当の支給を行うということを聞きました。非常に賛成です。しかし、その子どもたちが大きくなったときに、どうしたいのでしょうか?子どもたちは学校でしっかり学んで、その後どうするのでしょうか?そこで学んだことをさらに発展させて、その内のどれくらいの人が優秀な研究者になることができるでしょうか?
もちろん、研究をすることは選択肢の一つでしかありませんし、それがいいとか、悪いとかいうことはできませんが、日本として、将来の科学技術の発展に寄与する人材が育たない環境になってしまうことは、世界的に見て人類の発展に貢献していると言えるでしょうか。そのような危惧を私はしています。遠い未来かもしれませんが、今の積み重ねだと思います。

最後に、実際、今までの自民党のようなダラダラした政策の中で培われた科研費の使われ方も見直されるべきだと思います。今までの様に、お金をポンと渡してそれでおしまいではダメです。もっと、どういう風に有効に活用したかを徹底すべきかもしれません。院生ながら思うのは、例えば、配られた予算が余ったときに、次年度の為に、全部使い切らなくてはならない制度、これは、お役所的にやりやすいのだとおもいますが、こう言うのが無駄だと思います。研究費が余る場合は返して、他の事業に回す、等の無駄のないやり方をすべきだと思います。まさに、民主党の掲げている無駄を省く、です。

どうか、研究に関してのご理解を少しでもしていただけることを期待します。

今後とも、ご活躍を期待します。

高橋雅裕

追伸: 院生に関して少し。
日本の大学院生は生活面ですでにいい状況にはありません。毎日、朝から深夜まで研究を行い、土日も実験等を行って日々研究を行っておりますが、多くの大学院生は給料がなく、奨学金などの借金を抱えております。そんな中でも目標を持って研究を行っているのです。卒業後は、何百万円もの借金を抱えることになりますが (私を含め一部の大学院生は、独立行政法人日本学術振興会の特別研究員のポストに就くことができ、十分に研究に集中することができており、ありがたく思っていますが。これも科研費の一部が使われております)。一方、アメリカ等では、博士課程の学生は皆、給料をもらいながらしっかりと研究を行っています。アメリカの研究者等と話をすると、こういう点でやはり進んでいるのだなぁと思うことがあります。
本文中でも指摘しましたが、このままではどんどん研究者が海外に流出していき、日本には何も残らなくなるのではないかと思います。
これは、現状のお知らせです。現段階ですぐに改善のできる問題ではありません。院生として、少しだけお耳に入れたく思いました。

----------

追記 (2009-11-15 13:00):
この記事を読んで、Ricky さんから鋭い指摘 (コメント参照) をいただいたので、追記させていただきます。

メール中の自分の研究分野が純粋科学に属するとして、その内容をあまり正確に記述せずに、逃げてしまっているために、研究に関する理解が得られないのではないか、ということです (そういう意図、または私はそう思います、読み返してみて。)。また、その努力が足りないのではないか、ということです。

メールをできるだけ読んでもらいたいと、そのために短くしようという意識もあり、研究内容については説明をしていませんでした。これでは理解ができないかもしれません。おっしゃる通り。反省しています。

研究を国のお金でやるということは、行政刷新会議で指摘が何度もあったように、国民を納得させる具体的な説明や成果が必要になります。これは非常に難しい。しかし、難しいだけでできないわけではないのだと思います。私の様に説明から逃げてはいけません。

私の扱う極低温原子気体の系が不純物を含まず (または自由に含ませられる)、相互作用、またはあらゆるパラメーターをほとんど自由に制御できる、教科書的なものであることを説明して、
そのミクロからの理解がマクロの現象の起源の理解につながること、
逆にその理解なしには本質がつかめないことを主張すべきです。
さらにマクロな現象の理解より、産業界のニーズに合った物性を持つ物質の開発や、制御が行えることを付け加えるべきです。
そして、その上で、文化的な貢献を訴えれば説得力があったと思います。

研究に対して、行う責任と、説明する責任が共に求められます。そちらへの努力もこれからしていこうと思います。