幽体離脱、やしきたかじん訪問NO6 | ヘミシンクピンポンパン

ヘミシンクピンポンパン

ヘミシンクと幽体離脱体験記

「帰れ、ここはお前の来るとことちゃう、帰れ!」と
たかじんは、女性に向けて叫び始めた。
「何しに来た」
「俺はお前に殺されたんや」
女性は、何を言われても微笑んでいた。

彼女は「私がこの人と話しますから」と言った。
ここで私は意識が定まらなくなってきたのか、
混乱し、理解できない状態が少し続いた。
(続く)





――――――――――――――――――――――――
「ゴルフバッグを持ってしまったから………」
という言葉が混乱の中に聞こえたが、この言葉は
誰が喋ったのかわからなかった。それとともに
どこかに移動していた。


緑の芝生の多いところで、そこがゴルフ場だった

のか、打ちっぱなしだったのか、それともホテルの

庭園だったのかよくわからなかったが、私はたかじんは

ゴルフをしたのだろうかと、つまらないことを考えていた。

私は、ゴルフは大嫌いなのでここでは悪寒を感じて

しまったのだ。


たかじんさんは、出会う人全てが嫌なのか話し

かけると幾らでも突っ込んでくる。口を開けば

皮肉と罵り、火を吹くような言葉が飛び出してくる。
この人は狂犬だった。


それに比べてこの女性は清らかだった、
「まだ時期ではありません」とこの人は
私に向かって話し始めた。


私「あなたはどなたですか?」
「じゅん愛のじゅん子です」と彼女は答えた。
私「あの本の人……なのですね」
私は本のタイトルも、女性の名前についても、
いまも知らない。このとき彼女はこういう言い
方をしていたのだ。


私「何故こんな男と………」
「あの人を愛しています」
「本に書かれていることは本当です」
「信じてください」


私「たかじんさんは色々と……」
「…いろんなことを言ってましたよ」
「わかっています」


私はただ漠然とした思いにとらわれ、たかじんに
会いに来たのだが、彼女は愛する人を失った悲しみ
から、こうやって死後世界を訪れているようだった。
今もこの女性はたかじんを心配しているのだ。


しかし正気を取り戻した、たかじんが何をしゃべり
だすか本当は、それが心配なのかもしれないと、今と
なってはそう思えないこともない。しかしこの時はそんな
ことを露ほども私は考えていなかった。


私はたかじんのガイドがいた事にも気づかず、頭の
いかれたたかじんよりも、この清らかな女性の方を
この時は信じていた。この人はたかじんを愛する妻に
なりきっていたのだ。自分自身を騙していたのかも
知れないが、いつまで、自分に嘘をつくことが出来る
だろうか。


子供を愛している。愛する子供を殺せるわけがないと
叫びながら子供を虐待、虐殺してきた親は古くから
世界中にいた。そこには大きな嘘があり、粛々と行な
われた親の子殺しは、暗い子守唄や残酷な童話として
残ったのだ。この女性も本当の自分の気持ちが
わからなくなっているのかもしれない。そうだとしたら
自分を騙し続けた人が行き着く先は狂人の世界だ。


じゅん子と名乗った女性と私が話をしている間に、
たかじんはさらに狂乱し、そこには黒い渦が巻き始め、
まるで狂った万華鏡のように暗い家の片隅や、淀んだ
運河の流れや、風が吹いている寒々とした荒れ果てた
堤防を見せていた。それは日常の光景ではあったが
そこには言葉に出来ない恐怖が潜んでおり、ひどい
状態だった。


暫くそっとしておこうと思った。
「また来ます、ありがとう」と私はこの女性に言って
帰ることにした。


彼女はロザムンド・パイクのように身も心も演じて
いるのだろうか。女性ならそんなことは簡単にやって
のけるのか。私には信じがたいことだがこの時、私は
じゅん子さんではなく、たかじんの方を疑っていた。



私はたかじんが描いている黒い渦の中へと入って行った。
そこに、見覚えのある大阪の光景を見つけたのだ。
私は昭和30年代の通天閣のすぐ下の商店街を歩いていた。
活気があり、昼間から酒を飲んで暴れまわっている人や
道端で寝転がっている人達がいた。


そこで私は子供の頃の私を見つけた。この当時の
この辺りは汚いところで、大人たちは皆ワイルドで
私は怯えていた。隣に親がいたが妙に疎遠な感じだった。

たかじんもここを歩きまわったのだろうか。


通りから路地に入ると突然大きな河沿いの堤防に
現れた。夜になっていた。ここはずっと離れた
私の家の近くだった。そのままゆっくりと漂う
ように飛びながら私は家に帰り、自分の部屋に
窓から侵入した。部屋には奇妙な灯りが見えて
いたが気にせず、私は自分の身体に戻った。


目を開けてみると驚いたことに安物のオーディオの
ランプがつきCDが回っていた。ヴォリュームは絞って
いたが、メディテーションの音が小さく聞こえていた。
なんと勝手に作動したのだ。一体いつから動いていた
のだろう。オーディオのモニター画面には、CDが
スタートしてから20分が経過したことを示していた。


(続く)
マサト