The Library | Just for a Day: 小林真里ブログ

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映画監督/映画評論家 小林真里(Masato Kobayashi)です

スティーヴン・ソダーバーグ演出、クロエ・モレッツ主演の

オフブロードウェイ『The Library』を、楽日前日のマチネで観ました。

しかも最前列の端で。





高校の銃乱射事件の生存者である少女を巡る

サスペンスフルなドラマで、クロエが主人公を演じたのですが、

開演15分前に開場し、会場に入るとステージ上にベッドが置かれ、

クロエが横になっていました。

そのまま暗転し、照明がクロエに当てられ舞台はスタートしたのですが、

銃撃で傷を負ったクロエが目覚めるシーンからの幕開けでした。

シンプルなステージセットで、やや近未来的で透明感溢れるステージ後方の

クリアな壁一面に時折赤い照明が鮮烈に放たれるなど、ややSFチックな

不思議な空間を形成していましたが(なんかのファッションショーみたく)、

話はわりとシンプルでひねりもなく、

問題提起を促すオチも含め、わりと予定調和というか。

ソダーバーグらしさは、あまり感じられませんでした。


クロエは主役なので一番登場シーンも多く、セリフも少なくないのですが、

生の演技を間近に観られたのはとても良かったのですが、

目が釘付けになったり、特に感銘を受けることはなく、感情の爆発や

表情やしぐさやせりふ回しも、映画で観るまんまかな……という、

巧いけど絶賛するほどでもなく、今後の飛躍に期待したいところです。

クロエには過去二回対面で単独インタビューしたこともあり、

女優として誰よりも応援していますし。

助演のリリ・テイラーは、なかなか安定感のある演技でした。

ちょうど飛行機の中で『セイ・エニシング』を久々に観ていたので、

嬉しさも倍増。


終演後、シアターマニアっぽいババア二人が、

「She was so terrible!」(彼女は本当に酷かった!)とクロエに憤慨していたのが、

ちょっとおかしかったです。