G.I JOE | Just for a Day: 小林真里ブログ

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映画監督/映画評論家 小林真里(Masato Kobayashi)です

今日は一日家に籠って仕事をしていたのですが、

『G.I.ジョー』を観てきました

(東雲会を見に行けず、すいませんでしたヨシキさん!)。


【100%】過剰なライター/翻訳家 小林真里の rock n’ roll days-GI



上映終了後に声をかけてきたパラマウント田中氏に

向かって素直に出てきた言葉をここで再現。


「オレ、この映画大好きだよ!!!」


オリジナルのおもちゃもそれをベースにしたアニメも

全然通過してないし名前ぐらいしか知らなかった自分ですが、

実は結構楽しみにしていた作品だったのです。


もうね、ハイパーでヴォリュームありすぎ。トゥーマッチなほどやりすぎ。

ハイライトが盛りだくさん過ぎて、最初のほうのシークエンス覚えてないし。

序盤は、ああ、近未来的なガジェット多用の戦闘シーン、

最先端のCGIフル稼働してて確かに凄いけど、

引きのショット多くてみんな小さいし、動き早いし、

なんか人の家で遠巻きにシューティング・ゲームを観ているような

感覚になって、これってどうなんだろうか?と心配になったが、

それがただの序章に過ぎず、次から次へと疾風怒濤のアクション雨あられ。

しかも、マーロンが効果的に作用していたのも間違いないが、


それ以外にも爆笑シーンが要所に盛りだくさん!!!


★超高速で動ける破壊力満点のスーパースーツを着て

悪の一味コブラを追跡するチャニング・テイタム&マーロン・ウェイアンズ

だが、途中でレイチェル・ニコルズの高速バイクに抜かされてるよ!


★日本のクンフー道場みたいなとこに泥棒に入った子供時代の

レイ・パークが、子供時代のイ・ビョンホンと対決するシーンで、

道場のマスターであるパイ・メイみたいな中国人のおっさんが登場し、

「礼儀を忘れたのか!英語で話すのがルールだろ!」と一喝!

日本の東京でなぜそんなルールがまかりとおる?!


★この映画の東京には、五重の塔が三つぐらい横並びにある。最高。


★イ・ビョンホンが真剣勝負の真っただ中に、急に服をびりっと破って

上半身裸に!『アイ・カム・ウィズ・レイン』でも脱いでただろ!

『グッド、バッド、ウィアード』でも確か!


★母艦の中を、白い忍者の格好をして、日本刀を二本もぶら下げて

歩いているイ・ビョンホンの後姿


★「お前にキスする奴は殺すって言っただろ!」とすごみながらなぜか

涙目のイ・ビョンホン(他にも、よく涙目になってました)


★命令を下しているコマンダー、デニス・クエイドが後ろを振り返って

アップになるよくわからないキメ顔連打!


★ブレンダン・フレイザーが中途半端にカメオ出演!


★マーロン・ウェイアンズが大気圏の外に飛び出す!


と、笑える要素満載なんですよ、旦那。


日本の描写はしかし、最初っから真面目に描く気はさらさらないので

(だって近未来の地球を舞台にしたファンタジーですからね!)、

イ・ビョンホンが変な手裏剣を投げようが、街並みの描写が

おかしかろうが、日本語があまり出てこなくても、

逆に開き直って別世界を構築しているので清々しいって話です。

大体、イ・ビョンホン、ジャパニーズじゃないからね!


監督がスティーヴン・サマーズというのは、

若干の懸念材料ではあったのですが(大味になりすぎないかなあ)、

そんな不安も一蹴。これはソマーズ最高傑作では?

さらに、キャストのバランスがひたすら素晴らしい。

女優陣は華があり、レイチェル・ニコルズ

(『P2』とか『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』)

とシエナ・ミラーがなんと善玉悪玉に分かれて

殺人級のキャットファイトを繰り広げるのだ!


シエナ・ミラーは実は細かい演技が出来る人なので、

今回の二面性がある難役も余裕で演じてましたね。クールです。

そして、もう一人。

赤毛のレイチェル・ニコルズは、可憐だなあ・・・。

コロンビア卒の秀才でこの美貌。

しかも、運動神経よさげでアクションもいける。

なんといっても性格の良さがにじみ出た笑顔だし

(以前『P2』公開前にメール・インタビューしたときも、

キュートかつスマートな返答で、しびれた。あれは

絶対本人が書いてる。GIジョーのことも細かいこと書いてたし)。

爆乳だけど(注・小林真里は巨乳が苦手)、

レイチェルならなんだってOKだと思う次第です!


【100%】過剰なライター/翻訳家 小林真里の rock n’ roll days-GI



そして、男優。

こいつがいるだけで反射的に瞬間的に笑ってしまう俺たちの

黒い兄貴マーロン・ウェイアンズ(『最終絶叫計画』とか

常軌を完全に逸した数々の馬鹿コメディ)が出ているだけで、

外さないはずだと確信。

しかも、実質的に最終的な主役はマーロンなのだ!男だぜ!

チャニング・テイタムは、運動神経いいし演技もできるが、

ライアン・フィリップ系のベビーフェイスがライトすぎやしないか?

と一抹の不安材料ではあったのだが、よく考えたら

マーロンなんてライトもライト、スーパーライト級なんで、

いいコンビなわけじゃないですか!

あとは、ヒールを好演したイ・ビョンホンも漢を見せつける!

鮮烈のハリウッド・デビューでは?!


脇役は、『セント・アンナの奇跡』や新作ラヴストーリー

『(500)Days of Summer』のジョセフ・ゴードン・レヴィット、

レイ・パーク(今回も素顔なし)、ジョナサン・プライス、

デニス・クエイド(もう一人の恐竜顔俳優)、

そしてクリストファー・エクルソンと

演技派でしっかり固めてきたよ!


そんなわけで、マイケル・ベイが歯ぎしりしているであろう

メガトン級の壮絶馬鹿アクション大作であるわけだが、

ストーリーもきっちり整理されていて、ひっくり返すところは

ちゃんとひっくり返し(待ってたぜ!やっぱ、ここで弟が・・だろ!)、

落とすところはちゃんと落とす。

説明描写や回想シーンは5秒でさくっと終わらせる。なんとも潔い。

しかも、ポイントを押さえているのでそれで充分なのだ。


『トランスフォーマー』にノリは近いが、ロボットじゃなく人間だけで

やっちゃってる分(メカとか凄いマシン多数出てくるけど)、

こっちのほうがリアルというか入り込みやすい世界です。

ストーリーも、因縁のライバル対決やら(復讐劇)、

チープな恋愛愛憎劇やら、ライトなラヴストーリーやら、

色んなファクターが入り混じっていて飽きさせません。


しかし、ラストのほうでダースベイダー(みたいななんか)が

二匹も生まれましたが、オリジナルのアニメは

スターウォーズとなにか関係あるのかな?


次回作へのかなりでかめの伏線もちゃんと張ったし

(気付かない人もいそうだが)、次回作が今から楽しみな次第です!


終映後、劇場の外に出たら、誰かに腕をつかまれた。

お、この感触は、女性だ。レイチェル?馬鹿俺?

と思って振り返ると、リリコさんでしたー。

すぐサンダンスのS氏に連行されていったのであまり

話せなかったが、リリコさんそういえばチャニング・テータム

好きだったよなー。

なんてことを思い出しながら観ていたのでした。


『GIジョー』は8月7日より大公開!!!

http://www.gi-j.jp/