DEXTER | Just for a Day: 小林真里ブログ

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映画監督/映画評論家 小林真里(Masato Kobayashi)です

 ずっと楽しみにしていた、

アメリカでは大人気のTVドラマシリーズ

『デクスター』の1stシーズンを最後まで観ました。

結局一日6本ずつ観て、二日で観終わってしまった。

強烈に引き込まれましたね。



【100%】過剰なライター/翻訳家 小林真里の rock n’ roll days-dex

ストーリー。

主人公デクスターは無感情なばかりか、

殺人衝動を常に抱えるナチュラル・ボーン・キラー。

大変寛容で理解のある義父の訓練&説得のおかげで、

彼は昼はフロリダ警察の優秀な鑑識として働き、その裏で

彼と同類の反社会的な殺人者たちを見つけて

次々とぶち殺すのです。

よく言えば必殺仕置き人ですが、自分の欲望のために

法の目を逃れて殺人を犯しているので、アンチ・モラル

すぎですが。



このファースト・シーズンでは、彼のそんな内なる闇と

華麗な殺人鬼っぷりを見せつけつつ、なんと最大の

ライバル殺人鬼「冷蔵車キラー」(非常に馬鹿っぽいネーミング

だが、こいつが天才的な殺人鬼なのだ!)

出現でどうする、デクスター??

というぶっとい縦軸に、義理の妹

(警部。たまに彼女に手柄をプレゼントする兄弟愛あり)

や、DVで心に傷を負った二児の母という恋人(『ランボー4』の

幸薄なヒロイン)、セクハラ署長、デクスターの本性に

薄々感ずいている黒人警部、というキャラクターとの

ドラマを絡めつつ、話はずんずん進んでいくわけです。



陰惨ながらシャープで芸術的な殺人シーンには、

首チョンパも切株も登場して結構壮絶ゴアなんですが、

こういうシーンになると必ず、陽気なフロリダにぴったしの

能天気なサルサが流れ全然ダークな感じがしない

というのが大変ユニークで良いですね!

あと、デクスター役の男優がそこまで二枚目じゃないのも、

なんかリアルでいい。

妹役のジェニファー・カーペンター(『エミリーローズ』のねずみ女とか

『Quarantine』で有名な体が薄い人)が男日照りで欲求不満で、

いつもやりたいやりたい言ってて、困ったもんですが。



フロリダという地理上、キューバやハイチなどの移民の問題も

絡んできたり、社会的問題にも巧妙に触れつつ、

非常に見ごたえのあるサスペンスフルなエンタテインメントに

仕上がっていると思います。



難を言うなら、ラストはもう1エピソード余分に

付け足してもよかったような。なんか、あっさり終わりすぎ。

映画と違い、最初から終わりがみえていなかっただろうし、

撮影しながら脚本を随時執筆したり書き換えたりしていたため、

ぎりぎりでばたばたっと仕上げることになったからだと予想するが、

せめてあと30分話を付け足せば、より深いドラマを構築

できただろうになあ。あそこはもったいなかった。

まあ、それでも十分衝撃的なクライマックスなんですが!!!


アメリカでは、現在サード・シーズンが放映中とのこと。

まずは、次のセカンド・シーズンが楽しみ。



『デクスター』は、2/13(金)よりレンタル開始ですよ!!!