Mirrors | Just for a Day: 小林真里ブログ

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映画監督/映画評論家 小林真里(Masato Kobayashi)です

 鏡を題材にしたホラーといえば、

ジョン・カーペンターの傑作『パラダイム』が

まず頭に思い浮かぶが、韓国のホラー映画

『Mirror』を元ネタにしたこの『ミラーズ』の監督は、

あのアレクサンドル・アジャである。



M


『ハイテンション』『ヒルズ・ハヴ・アイズ』のゴア・プリンス

(今適当に作った造語)の新作ということで、

「どんな残虐描写満載の切株映画なんだろう!」

と、胸をときめかせている人も多いかと思うが、

アジャ・ファンと切株派は、今までのアジャ作品を

期待して観ると肩すかしを食らうどころか

愕然とすると思います。

なので予め予告しておくと、


アジャらしいゴア描写は二箇所だけ!


ということを肝に銘じて観ていただきたい次第です。

ちなみに、その2つのゴア・シーンのうち1つは、

既に『The Orphanage』(『永遠のこどもたち』)で

やられてるんで、ひょっとしたらパクリかも・・・

なんて思いながら観ていたのですが、

見せ方とトリックが違うのでまあいいかなと。


で、この映画は、

「鏡の中から何者かが襲ってくる!」という恐怖を

描いた部分は、まあホラーなんですが、

そこからファンタジー要素も入り混じった

ミステリー・サスペンスになり、とどめは

『エクソシスト』『オーメン』ばりのオカルトにまで

飛躍するという、『ホットファズ』とは違う意味で

ジャンルレス(和製横文字言葉)な作品なのです!

しかも、最後のあれ、クリーチャーみたいだし・・・。


アジャのストーリーテリング能力の低さは

『ハイテンション』以来変わっていないので、

話は粗いし突っ込みどころ満載。

しかし、今までのアジャ・ワールドに固執せずに

その世界に飛び込んで行ければ、

サプライジングでショッキングなエンタテインメントとして

楽しめるのではないでしょうか。


しかしこの、映画の坩堝的な珍品具合は

『デス・レース』リメイクじゃなくて、なんかあったなあ。

そうだ、

『AVP2 レクイエム』の混沌としたアトモスフィアに近いな!

ということを思い出したのでした・・・・。

(僕はあの映画は嫌いじゃないのです)


アジャの世界観は随分と拡張されたようだが、

節操無さ過ぎるし彼は一体どこに向かっているんだろう?

と、少し心配になりますが、次は『ピラニア3D』なので、

残虐無比な作品に仕上げてくるのではないでしょうか!


http://movies.foxjapan.com/mirrors/

『ミラーズ』日本語サイト&トレイラー


そして終映後は、フォックスの試写室から

六本木駅前のバス停まで走ったのだが、

最近二日に一回はジョギングをしていてスタミナが

ついてきたのか、ノンストップで突っ走れました!

でも、今朝起きたら足首と足の甲が痛むな、

と思いその理由を考えていたのですが、そうだ、

「靴下はかずに素足にシューズで走っているからだ」

ということに気づいたのでした!みんなも気をつけよう!


で、なにをそんなに急いでいたのかというと、

次の試写を渋谷で観るためだったのです。

そう、『永遠のこどもたち』の試写を観てきたのです。

整合性のある精緻で緻密な、本当に隙のない脚本に

脱帽ですよ。

ラストの泣きの要因の一つは、あの音楽だな。

分かっていても毎回鼻水が飛び出す号泣エンディングを

この冬、ご体験あれ。


というわけで明日からニューヨークに行ってきまーす!