芋づる式に見つける ~ 不定方程式(ディオファントス方程式)の解法 ~ | 数楽者のボヤキ・ツブヤキ・ササヤキ-中学 数学 道徳 Mathematics Puzzles-

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 先日,3分計と5分計,2種類の砂時計から「7分」という時間を計測できるかということを考えました。これは,次のように解決できました。
 
 3分計と5分計を同時にひっくり返して,3分計の砂が落ちきったところから時間を計り始めて,5分計が落ちきると,そこで「2分経過」。すぐに5分計をひっくり返して,5分計が落ちきると,「7分経過」ということになります。
 
 これを式で表すと,
 3×(-1)+5×2=7 ・・・①
 
 これは,2元一次方程式の3χ+5y=7の整数解χ=-1,y=2を見つけたことになります。
 
 ここで,いったん,砂時計の話からそれます。最後にまた砂時計の話に戻します。
 
 3χ+5y=7にあてはまるような整数χ,yの値の組(つまり,二元一次方程式3χ+5y=7の整数解)は,その解が1つ見つかると,その解をもとにして,他の解は芋づる式に見つけることができます。これは,大学受験の勉強中に覚えたテクニカルな解法です。今でも覚えているのですから,当時はよほど印象深かったのでしょう。
 
 3χ+5y=7 ・・・②とおきます。
 
 ②-①をつくります。
 
 3χ+5y-{3×(-1)+5×2}=7-7
 3χ+5y-3×(-1)-5×2=0
 3{χ-(-1)}+5(y-2)=0
 5(y-2)=-3(χ+1)
 5(y-2)=3(-χ-1) ・・・③
 
 ③の右辺は3の倍数です。ということは,左辺の(y-2)が3の倍数でなければなりませんから,

 y-2=3k (ここで,kは整数) ・・・④
 
と表すことができます。④からyを求めると,
∴ y=3k+2 ・・・⑤

次に,④を③に代入して,
5×3k=3(-χ-1)
5k=-χ-1
∴ χ=-5k-1 ・・・⑥

 ⑤,⑥より,二元一次方程式3χ+5y=7の整数解は,kを整数として次のように表せたことになります。

 χ=-5k-1,y=3k+2 (ただし,kは整数)
 
 kのところにいろいろな整数をあてはめていくと,好きなだけ整数解を得ることができるわけです。ここで,勝手に使った文字kを「パラメータ(媒介変数,助変数)」,こういう解の表し方を「パラメーター表示」と教わりました。
 
 k=-1を代入すると,χ=4,y=-1が得られます。
実際,
 3×4+5×(-1)=12+(-5)=7になります。
無理に3分計と5分計の砂時計の話に結びつけると,こうなります。

砂時計線分図

 3分計と5分計を「よーい,ドン」で同時にひっくり返します。3分計の砂が落ちきったらすぐにひっくり返します。3分計は4回これを繰り返します。5分計の砂が落ちきったところから,時間を計り始めます。5分計はもうひっくり返す必要はありません。5分計が落ちきったところから3分計の4回目が落ちきったところまでが「7分」ということになるわけです。