前回までで、
1.貿易赤字黒字は為替の伸縮性によって決まる。
2.貿易黒字は”投資”に振り分けられなければならない。
3.非完全雇用状態ならば保護貿易主義は是認される。
4.米国は未だに完全雇用状態ではないという仮定される。
 
ここまで参考資料を引用を使いつつ表してみました。
 
ではもう一歩踏み込んで、保護貿易主義はどういう場合是認されるのでしょうか?
ここで再びケインズ登場
 
参考資料:J.M.ケインズの経済学
 
=引用開始======
 
雇用が有効需要に依存し有効需要が完全雇用を成立させるだけ現れないという事が真実であるならば、一国が保護関税制度を通じて自国の雇用を増加させ、またこのようにして外国の労働を犠牲において国内労働に対する需要を増加させるという事は至極もっともなことである。
 
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雇用が自然失業率に達しているように見えても、いまだに労働参加率の面から見ると余剰労働力が市場に存在している可能性はあり、且つ有効需要が完全雇用を成立させるだけ現れていない可能性もあり(インフレ率の上昇余地がある)、という事は米国内の労働需要を増加させる可能性が高いと思います。
 
以上の様に
トランプ大統領の言う保護主義が額面通りの保護主義ではなく、完全雇用状態がもう少し先であると見て、貿易の赤字解消は国内の”雇用”を増やす投資目的であり、これを貨幣の伸縮性を活用しつつ達成する。というのであればトランプ式のいわゆる”保護主義”も是認できるでしょう。(国境税や関税は最悪の選択ですけど)
 
これを行うためにFRBには利上げ停止と共にインフレターゲットの上方修正というアコードの結びなおしを行う事が最も適切な方法だと考えます。(というかそれ以外ないと思う)
 
万が一これが”プラザ合意2nd”みたいなドル高是正への各国通貨への協調介入の様な不合理な事を行えば世界経済は大変な事になるでしょう。
 
日本においてはインフレターゲットの為に金融緩和政策を行っており、その通貨水準は”結果”でしかない事をアメリカ側に納得させる事と、通商協定においていかなる通貨規制も受け入れないという大前提さえ守れば、それほど問題は出ないだろうと考えます。
 
 
以上、2回程度で終わる予定が思いのほか長くなりました。
今後追加や訂正があるかもしれませんが、トランプ政権の貿易観について対応さえ誤らなければ偉大な大統領となる可能性もあると思い一筆書きました、もちろん史上最悪の大統領になる可能性もある訳でして決して楽観は出来ませんが、まあ何とかなるかな?という事で。
 
P.S.
ここまで書き連ねて、トランプ大統領は年齢的にもオールドケインジアンの様な気がしてきました。新しい時代に古い経済学がどういう効果を生むのか?という観点も面白いと思います。(まあ、笑える状態ではないのですが。(;^_^A)