昨日の夕方に、千葉県松戸市に行きました。
日大松戸歯学部で懇談がありました。


今回懇談させて頂いた方は、伊藤政之先生です。
伊藤先生は、日大松戸歯学部にて障害者歯科学講座・特殊歯科をされて、歯科医師でもあり自閉症スペクトラム支援士でもある、発達障害者の歯科治療の救世主の方です。


特殊歯科というのは聞き慣れないと思いますが、自閉症や知的障害の方を専門に治療されるところで、関東では先生にお世話になっている方も多いと思います。


また先生は同じ医師や医療機関の人たちへ、発達障害者への理解と治療法を促す「医療機関で働く皆様へ 発達障害のある人の診療ハンドブック」「発達障害の人たちをよろしくお願いします」という冊子を監修され、脳神経外科医師の大屋先生などと共に、「医療のバリアフリー」を目指して発達障害のある人の医療受診支援をされています。


発達障害の人たちをよろしくお願いします
http://www.panda-j.com/pdf/hatatu02.pdf


マサキング子育て奮闘記 ‐広汎性発達障害の息子を抱える父親の日記‐-発達障害の人たちをよろしくお願いします


ボクも会うまでは大学病院の先生なのでちょっとかしこまってしまいましたが、お会いするととても気さくな方で良い意味で飾り気もなく「生涯現場」という精神で、今でも毎日発達障害者の歯科治療に専念されて、様々なご研究をされている方でした。


ただ話してみると、さすが色々な研究や勉強をされているようで、ボクなんて知識も浅く先生の言われている事がたまに???となってしまいました。


今回は突っ込んだ事をかなり質問させて頂きましたが、医学の世界というのはボクのようなシロウトがヘタに書くことではありませんので、真輝について聞いたことだけ書きます。


真輝は以前、歯科治療でネットを使いグルグル巻きにされて口を広げられて治療された事がありました。
それで「歯医者にトラウマになってしまいました」と伝えたところ、先生の顔が曇って「それではもう歯科治療は嫌になっちゃったでしょうね」と言われていました。


伊藤先生の治療法はネットも麻酔も使わないそうです。
例えば重度自閉症の患者さんでも、基本的には固定や麻酔はしないということです。


いくつか治療の事例を聞きましたがとても感動しました。
中でも感動した先生の言葉は・・・

『歯科治療というのは健常者でも痛いから嫌だという気持ちを持っている。それなのに自閉症だから全身麻酔で大人しくさせて治療をすると、痛みもなければ嫌だという気持ちも芽生えないが、普通の人でも嫌だと思うことなのに、それを逆に避けて治療するということは「痛み」「嫌だ」という感情もなくなってしまう。それが良いことなのか?と思うと決してそうではない。患者によっては行動や多動、嫌悪などは様々だが、うまく接するとその人なりに克服できる方法がある。例えば、普通の人同士でも得手不得手があるように、患者との相性がある。その相性の部分をうまく見つけ出せば、全身麻酔をしなくても治療はできます』

という事を言われてました。


先生の話されたニュアンスは少し違いますが、要するに嫌だからと言って逃げる方法や押さえつける事は、健常児でも嫌なのに、発達障害者にとってはもっと嫌なはずだ、ということだと思います。


先生が言われた事を聞くとまさに「医療のバリアフリー」なんですね。

そして最後には先生へ「あのぉ。うちの真輝を・・・」と言ったところ「では今度診療してみましょう」と言って頂けました。


歯科治療に関しては真輝だけでなく、ボクや妻もトラウマになっていたので、先生が治療してくれると言うことはまさに救世主です。


また事前にある場所にて質問を受け付けていましたので、それに関してはそちらの方で先生の回答をさせて頂きます。


「医療のバリアフリー」


とても素敵な言葉ですね。障害児・者を抱えるボクらにとってはまさに同じ医療の世界へ、先生という立場から理解の輪を広げていらっしゃる方ですのでとても強い味方です。