WAIS-Ⅲを受けてみた。 | イキテルアカシ

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双極性障害Ⅱ型と強迫性障害と睡眠障害を持つ、わたくし「ちょー」と。
彼氏・戦友である相方「まーしゃ」と。
その周辺の人たちとの日常を綴ります。

去年の7月。
双極性障害Ⅱ型と強迫性障害の私に。
なぜ「過集中」の病態があるのかを知りたくて。
カウンセラーM先生からの紹介で。
WAIS-Ⅲのテストを受けてきました。


その時の所見を載せておきます。


【検査時の様子】

疎通性は良好で礼節も保たれ、検査にも協力的で熱心に取り組む。
集中するとこちらの声かけが耳に入らないこともあり(まったく気付かなかった)、特に動作性課題では制限時間を大幅に超えても最後までやり抜く姿勢が見られた。
設問の理解も素早く、聞き直しもほとんど見られないが、課題が複雑になるにつれて、求められている設問内容からずれた回答が出ることがあった。
検査にかかった時間はおよそ2時間半。


WAIS-Ⅲで得られる結果指標

◆全検査知能指数(FIQ)→IQ97

◆言語性知能指数(VIQ)→IQ98
知識量や常識能力、言葉の取り扱う能力、聴覚的な情報処理能力を表す。

◆動作性知能指数(PIQ)→IQ97
効率よく物事を進める能力、先読み能力、視覚的な情報処理能力を表す。


知能指数と知能水準の対応

知能指数と知能水準の対応は次のとおり。

130以上…非常に高い
129-120…高い
119-110…平均の上
109-90…平均
89-80…平均の下
79-70…境界域
69以下…知的障害(精神発達遅滞)


動作性検査
効率よく作業を進める力、先を読む力を検査する。
目からの情報を受け取って動作で応答する視覚的な情報処理能力を検査する。


※以下、動作性検査・言語性検査、全14個のテストを下位項目という。
カッコ内の1~19というのは、評価点と言われるもので、年齢と素点を換算表に照らして求めたもの。
10が平均で標準偏差が3。


1、絵画完成(9)→絵が描かれたカードを見て、その中に欠けている重要な部分を指で示すか言葉で答える。
この検査により、視覚的な刺激に対して素早く反応する力や、視覚的長期記憶能力、重要な部分とそうでない部分を見分ける能力を把握できる。

3、符号(10)→簡単な記号を見て書き映しす。
事務処理の早さや正確さ、視覚的な短期記憶能力を把握できる。

5、積木模様(6)→積木模様を見て、同じ模様を作る。
全体を部分へ分解する力、非言語的概念の形成能力、空間認知能力を把握できる。

7、行列推理(11)→選択肢の中から空欄にあてはまる絵を選択する。
抽象的思考、問題解決能力、類推的推理、時間制限を伴わない非言語的問題解決能力を把握できる。

10.絵画配列(12)→絵が描かれたカードを、物語が完成するように制限時間内に並び替える。
結果の予測能力、時間概念の理解力、論理的思考能力を把握できる。

12.記号探し(10)→記号グループに見本と同じ記号があるかをできるだけ早く答える。
視覚認知能力やそのスピード、視覚的探査の早さを把握できる。

14.組み合わせ(7)→ピースを組み合わせて形を完成させる。
部分間の関係性、思考の柔軟性を把握できる。


言語性検査
知識量や常識能力、言葉の取り扱いを検査する。
耳から受け取った情報を言葉で応答する聴覚的な情報処理能力を検査する。


2.単語(10)→単語の意味を答える。
言語発達水準、語彙力、一般的学習能力を把握できる。
(例「ギターとは何ですか?」)

4.類似(8)→2つの言葉の似ているところを答える。
論理的、抽象的な思考能力を把握できる。
(例:りんごと梨はどのようなところが似ていますか?)

6.算数(6)→算数問題を暗算で制限時間内に答える。
計算力や集中力、量的推理の能力を把握できる。
(例「1ドルで45セント切手を何枚買えますか?」)

8.数唱(8)→聞いた数字を順番通り、または逆の順番で答える。
聴覚からの短期記憶能力を把握できる。
(順唱例「1-2-3」、逆唱例「3-2-1」)

9.知識(12)→一般的な事柄に関する知識に答える。
この項目により、一般的な知識な量を把握できる。
(例:電話の発明者はだれですか?)

11.理解(11)→日常的な問題の解決や社会ルールなどについて答える。
実践的知識を表現する力、過去の経験を利用する力を把握できる。
(例「一石二鳥という諺はどのような意味ですか?」)

13.語音整列(14)→数字とかなの組み合わせを聞き、数字を小さなものから順番に、また、かなを五十音順に答える。
注意力、五十音や数字の順序の発達能力を把握できる。


全体的な知能水準は平均。
わずかに言語性平均>動作性平均だが、ほとんどその差はない。
しかし言語性・動作性共に、下位項目内のばらつきが大きい。
(上限・語音整列14、下限・算数、積木模様6)


●群指数
全体的なものから少し細かく、4種類の知的能力で評価しようというもの。

※各群指数間において、言語理解>知覚統合知覚統合<作動記憶、でそれぞれ有意差が認められた。


◆言語理解(IQ100)
言語理解能力。知識を実生活に活かすことのできる能力。
→2.単語(10)、4.類似(8)、9.知識(12)

※単語の理解や語彙量なども大きな問題はなく、年齢相応の理解力や表現力は備えている。
しかし、相対的に抽象思考力に弱さが認められ、言葉の抽象度が増すと本質をとらえることが困難になることが窺えた。
言葉の概念理解において抽象度が増すと主要な概念を情報の中から取り出すことが難しいため、混乱をきたすことも推察される。
一方で社会的なりとルールについての知識や常識的な判断力、文化的な知識などでは高い力をもっているため、これまでの学習経験や社会的な体験などの積み重ねが反映されていると思われる。


◆知覚統合(IQ91)
得た情報を様々な角度から分析してまとめる能力。
→1.絵画完成(9)、5.積木模様(6)、11.行列推理(11)

他の各群指数と比べて、能力的な弱さが窺える。
抽象的な視覚情報に対して推理・処理する力が著しく劣るわけではないが、複雑な視覚情報の中から素早く本質部分を抽出することが困難。
特に刺激の空間的な位置関係を把握することが苦手であり、課題を解決するのに時間がかかる。
様々な試みや失敗の中から課題解決のコツを見出す試行錯誤学習の力も弱いため、課題提示のわずかな変化であっても、いったん掴んだ課題解決までのパターンを活かして新しいパターンを得ることが簡単ではないことが窺える。
一方で「絵画配列」では状況理解に時間がかかる場面もあるが、時系列の把握や、言外に含まれる意図や関係性は十分理解できている。
以上のことから、
・図形的な視覚情報よりも、人やものといった意味づけのある視覚情報の方が形態認知の力が発揮できること
・流れが把握しやすいような部分的情報が複数提示されること
が、全体状況の理解や関係性をとらえる助けになることが示唆される。


◆作動記憶(IQ102)
ワーキングメモリー。脳の中の記憶領域。小さいと同時作業ができにくい。
→6.算数(6)、8.数唱(11)、13.語音整列(14)

※聴覚刺激を保持・記憶し、それらを処理・操作していく力は年齢相応に備わっている。
しかし記憶の保持と処理能力に大きなばらつきがあり、機械的で単純な記憶は得意だが、「算数」などの文章課題であったり、「数唱」の逆唱などの何らかの処理や複数の条件が加わるとうまく記憶できない、処理全体がうまくいかない状態になる。


◆処理速度(IQ100)
作業スピード
→3.符号(10)、12.記号探し(10)

※視覚情報に対する反応の速さや、それらを処理する速度は平均的な力を発揮できている。
作業スピードも速く、ミスも見られない。
手本を見て素早く手順通りに作業をこなしていくことは得意であり、課題をこなしていく中で偶発的に学習していく力も強く、単純作業であれば学習したことを応用・活用していくことは得意である。

【総合所見】

全体的な知的水準は平均で、年齢相応の能力を持っている。
しかし能力間でのアンバランスさが認められ、効果的に能力が発揮できていないことが示唆された。

《不得手》

①言語面・非言語面共に、複数の情報の中から本質をすばやく掴み、判断・処理する力が相対的に弱い

②視覚的に全体と部分の関係性を把握すること、全体に注意を払うことが苦手

③過集中になる背景にはこれらの特性が関係しているが、どの部分がより関係・影響しあっているかを断定するのは困難
→ただし、過集中の傾向は、聴覚刺激よりも視覚刺激が提示された場合はより顕著に現れる
(集中すると、先生の声かけが耳に入らなかったとのこと。全く記憶にない)


《得手》

①社会的状況の中で文脈や因果関係を読み取る力がある

②実践的な知識や常識的な判断力がある

短期記憶力や単純作業をミスなくこなす
(グループワークでの入力、ミスチェックが得意なのはこのためと思われる)

④難しい課題であっても最後まで粘り強く取り組み、解決までの努力をいとわない側面がある


《有効な工夫》

①全体の作業の流れや目的などが明確に提示され、適時周囲からフィードバックが得られること

②聞き間違いや聞き漏らしを防ぐため、メモを取るなど、視覚的に確認できるようにすること

③新しい業務や学びが必要な時は、課題を遂行・学習するまでに十分に時間を取ること

④変化に柔軟に対応することが苦手なので、なるべく新しいパターンが手順・操作などが必要な場合は、具体的な手順や流れが視覚的に把握しやすい工夫をすること

⑤過集中をコントロールする時には、アラームなどの時間的な区切りよりも、決められた時間内に終わる課題の質と量を見極め、終わりや見通しなどが視覚的なことで区切りをつけられること
→この工夫は私には難しいため、アラーム単体、またはアラームと併用する

⑥失敗やミスが起こった時は、どの部分でつまづきが生じているかを周囲の人と共に分析し、その時に注意を向けるべき事柄を細分化して、スモールステップで課題に取り組むこと


※WAISの結果とM先生の今までのカウンセリングによる判断を踏まえると、
発達障害と病名としてつくほどではないが、躁うつ・強迫の中に発達障害の気が併存してるだろう
とのこと。
「発達障害ではないけど定型(健常)ではない。多少苦労はするだろう」という感じ。