「フクシマのお年寄りの叫び『劣悪な環境で何とか生きる』」福島リポート 拡散可 | フクシマンの福島リポート(郡山市)

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3.11以降放射能に汚染され福島は変わってしまいました。子供は自然で遊ぶことで成長してゆきますが原発は子供達から泥んこになって遊ぶ機会を奪ったのです。子供達に何がしてあげられるのか?もっと考えるために、福島を生きる、フクシマンが福島の今をリポートします。

福島県のフクシマン・マサです。

あの日・・・

3月11日が近づいてきました。

ダイジェストや福島リポートは、できる限り客観的な情報を届けたいと思い書いていますが、
毎年、3.11が近づいてくると、当時の記憶や、悔しさがこみ上げてきて、
客観的になれない時があります。

3.11までの間、投稿の内容が、いつもと変わるかもしれませんが、どうかお許しいただけたらと思います。



私は福島県で老人介護の仕事をしています。

現場で働いていると、沢山のお年寄りが3.11以降、急速に認知症や要介護状態になっている現実に直面します。



3月5日の福島民友新聞によれば、

「劣悪な環境で高齢者は何とか生き抜いている」

と浪江町から悲痛な声が上がっているそうです。



福島県では、
寝たきりや認知症といった「要介護状態」になるお年寄りの数が急増しており、
共同通信の各自治体のアンケートで、各自治体が深刻な状況を訴えています。

「(仮設住宅について)介護用ベッドが夫婦で必要だが、部屋が狭く一台しか置けない」
(南相馬市)

「震災前は庭の手入れや畑仕事をしていたが、仮設生活で閉じこもりがちになり、介護レベルの重度化がみられている。」
(広野町)

「先行きの不安などメンタル面の変調を訴える人も多い」
(いわき市)





3.11以降の要介護状態のお年寄りの増加率は、

大熊町62%

双葉町・浪江町・飯館村 50%超

と信じられないぐらいに高く、

福島県全体の増加率も、

26%

と、他の被災2県(宮城県・岩手県)とくらべて、かなり高い状態となっています。



要介護状態の増加だけでなく、
長期避難で心労を重ね、命を落とす「震災関連死」のお年寄りの数が、
1664人と急増しており、

浪江町の言う通り、お年寄りの多くが、

「劣悪な環境で高齢者はギリギリ生き抜いている」

という深刻な状況が続いています。



私も、この3年間の間、

「故郷に帰りたい」

という言葉を残し、お亡くなりになってゆくお年寄りを、何人も看取らせていただきました。

そして、お葬式に参列させていただくたびに、こんなことを感じました。

何故、お葬式の席に、東電や国の責任者がご焼香をあげに来ないのだろう?

何故、故郷を奪われた人に対して、国や東電は、謝罪し、手厚い支援を行わないのだろう?

せめて、故郷を奪われた人が、
寂しくない様に・・・
辛くない様に・・・
国は、もっと手厚い介護サービスを行なうべきではないか?




しかし、介護サービスは充分ではなく、
お年寄りを支える、私たち現場の介護職員も、
職員不足のため悲鳴を上げているという厳しい現実があります。



原発からの距離が近い相双地域の施設では、震災から3年たちようやく施設を再開しても、職員が集まらず、充分にお年寄りを受け入れられない状況が続いています。

原発からの距離が50キロと、遠く離れている私の働く施設ですら、職員募集をかけても、求人がほとんど集まりません。

こうした状況に対し厚労省は、全国から応援職員を募集して、相双地域に緊急派遣していますが、職員不足は解消されていません。

また、県外から相双地域の福祉施設に就職を希望する人に20~30万円程度の「就職準備費用支援」を行うとしていますが、

「低賃金」という根本的な問題にメスを入れない限り、職員不足という問題は解消されない気がします。

福島労働局が県内の
「建設」「介護」「看護」の、(求人募集時の)「賃金」の平均額を調べたところ、

「建設」22万4千円

「看護」21万2千円

「介護」16万8千円

と介護の月額賃金は、全職種を大きく下回りました。

3.11後の賃金の上昇率も、全職種中最低レベルとなっています。


介護は非常にやりがいがある仕事ですので、低賃金の問題が解決すれば、人は集まると思うのですが、

国の定めた介護報酬を踏まえた賃金となってしまうため、事業所の努力だけで介護報酬を上げるのには限界があります。

「劣悪な環境で何とか生き抜いている」フクシマのお年寄りに、必要な「支援」を届けるために、

「住環境の改善」

「介護サービスの整備」

「介護職員の処遇改善」など、

国は、もっと根本的な支援策を、検討してもらいたいと思います。




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(リポート 福島県郡山市 フクシマン・マサ)