mikumari
みなさんこんにちは、Cindyです♪ (〃∇〃)ノ
2010年3月からスタートした『Walkin' With Cindy』ですが・・・(当たり前?)画像の容量がMaxに達したようです。
さらに、今年の夏にカメラ機材を一新した事もありまして、気持ちも新たにブログをリニューアルしようと決めました。
新しいブログですが、カフェ紹介と言うよりは、Cindyが日頃気になった情景をのんびり紹介できればと思います。
今日まで沢山の方に支えられて続ける事が出来ました。ご覧下さった皆さん、本当にありがとうございました。
さて、本ブログ最後の紹介になりますが、Cindy日記の最終回の席はいつも決まっているのです・・・それはね・・・
~ 小さな橋のムコウ側を写した数枚の幻灯です ~
拝啓
ジョンのお兄様、立秋も過ぎて朝夕は漸くしのぎ易さも感じるところとは・・・なりませんか。
僕・・・ポールが暮らす街も、昼は勿論、日が落ちてもなお厳しい暑さが続く今日この頃です。
突然の再会から彼是4度目の夏を迎えようとしておりますが、お兄様はお変わりありませんか。
僕の方は・・・ええ、相変わらず元気でやっておりますよ。尤もこの時期は僕が勤めている学習塾も
世間で言うところの所謂“書き入れ時”でして、学生たちが夏休みの間は夏期講習やらお盆特訓やら、
朝から晩まで授業の連続・・・忙しさのピークで(勿論、嬉しい方の)悲鳴を上げる毎日ではありますが。
ただ、この夏期講習が終われば少々余裕も出来て、またお兄様の所に・・・そう、“橋のムコウ側”に
ご挨拶に伺えるのですから・・・一年の中でこの季節が訪れるのが“一番”待ち遠しくなりましたよ。
何も他の季節でも・・・と言う気持ちも十分にあります。確かに(休暇等の)物理的な理由でというのが
あるのですが、4年前のあの日、初秋の微風に誘われるように訪れた“橋のムコウ側”でのひと時 が
どうしても忘れる事が出来なくて、遂には僕の“年中行事”として彼の地を訪れ、あの頃を懐かしみ、
お兄様に・・・そして、ジョンに再会するのに最良の時期なんだって・・・また、彼に話したい事が・・・
そう、昨年の訪問で話し足りなかった思い出話を彼に伝えたくってウズウズしているのです。
お兄様にはまだお伝えしていませんでしたね。僕とジョンの・・・『銀河鉄道バスツアー計画』を・・・
結局、未遂に終わってしまいましたが、二人だけの秘密として、僕の胸のうちにしまっておこうと
誰にも話さず今日まで過ごしてまいりました。ええ、ジョージやリンゴにもです。ところが先日、
お兄様が送って下さった手紙に同封されていたバスの写真を見て、そのバスがあまりにも
僕たちのイメージにピッタリと合っていたので、今度お邪魔した際に是非ともお兄様には
お伝えしたくて・・・それにしても・・・確かあの日も・・・本当に暑い一日だったなぁ・・・
ふぅ~~~・・・それにしても一体この暑さはなんだって言うんだ~~!!
突っ立っているだけで身体中の毛穴から汗が噴き出してきそうだぜ~~!!
ポールのヤツ、時間にはうるさいから遅れてくる事は無いだろうけれど・・・
まさか、この期に及んで怖気づいて止めようだなんて言わないだろうなぁ~~
僕にとって、お兄様とジョンの住むまんまる屋根のあの家は、まさに“銀河ステーション”・・・
それは、僕たちファブ・フォーの・・・そしてジョンと僕との、冒険旅行への出発駅だったのですよ。
その証拠に、家へと続く細い路地の縁には・・・種類こそ違えど、一面に広がる可愛らしい小さな花。
まるで“あの物語”に出てくる、銀河ステーションから続く線路の縁に咲き誇る紫の花みたいじゃないか!
僕だって、この路地を通って、まだ見ぬ“ムコウ側”の世界にジョンと二人で行ってみたかったのです。
mikumari
ポールのヤツ、この建物を見て「“銀河ステーション”ってこんな形してるのかなぁ~?」
なんて、前に言ってたけれど・・・今日は本当にココが“旅の出発点”なんだぜ!!
ですから、あの頃はジョンの家に遊びに来る度にこの家が物語に登場する銀河ステーションみたいじゃないかって・・・
ほらっ、半円形の母屋は・・・まるでアーチ状の駅舎ではないでしょうか。それに、石畳の小路を照らす外灯は、
ジョバンニが丘の上で見た天気輪の柱か・・・ぺかぺか消えたりともったりする三角標を連想させるのです。
尤も・・・本当の天気輪や三角標がどんな形状をしてどんな目的で建てられたのかを知ったのは随分後になりますが。
なぁ、ポール・・・本当はオマエの事が羨ましくて仕方が無かったんだ・・・
“橋のコチラ側”しか知らない俺にとって“橋のムコウ側”からやって来たオマエは
銀河鉄道の乗客たちのようにキラキラと眩しく輝いてさぁ・・・それに比べて俺なんか、
いつまでたっても蓑の中に閉じ篭もったちっちゃな虫みたいに・・・だから、今日こそは、
オマエが語っていた“橋のムコウ側”の世界に向かって一緒に旅に出かけようぜ!!
そうそう・・・薪ストーブにロッキン・チェアー、それから一列に並べた三つの椅子もこの前の訪問のままとの事で、
4年前から毎年のようにお邪魔しているとは言え、改めて懐かしさのあまり胸が熱くなってきましたよ・・・だって・・・
あのダイニングで過ごした日々と言ったら・・・こうして筆を走らせながらも、瞼の裏にはっきりと映っています。
隣り同士で二人仲良く食事をしていた筈が、お互いの肘が当たったので喧嘩になって、その様子を
お兄様はチェアーに振られながら静かに見守っていて・・・あぁ、何もかもが僕の中で輝いて・・・
でも、やっぱり一番思い出深い場所と言ったら・・・屋根裏部屋の“秘密基地”でしょうか?
普段は物置代わりに使っている天井裏の“秘密基地”。この“秘密基地”で色んな計画を立てたよなぁ・・・
あの川を下って“やまなし”を探しに行くツアーだったり・・・遠くの森に“粟餅”を供えに行くツアーだったり・・・
それに・・・ポールのヤツ・・・アイツの事が好きだったなんて、俺は・・・俺だって・・・
でもさぁ、そんな計画も、今日の『銀河鉄道バスツアー計画』に比べたら・・・いよいよこの日が来たんだよなぁ!!
「トロメライ、ロマチックシューマン作曲。」猫は口を
「そうか。トロメライというのはこういうのか。」
僕とジョンの喧嘩がいよいよ収まらなくなると、それまでチェアーに座っていたお兄様がこのピアノに移動して、
シューマンの「子供の情景」・・・トロ“イ”メライの旋律を、ポロンポロンと・・・ゆっくりと・・・弾いてくれましたよね・・・
すると、それまで僕の髪を引っ張っていたジョンの手も止まり、何時しか二人ともピアノの音色に聴き入って・・・
さぁ~って、ポールが来る前に腹ごしらえをしておかなくっちゃなぁ~~~!!!
この前はスプーンがぶつかって喧嘩になったからなぁ・・・腹も減ったし、先に食っちまおうか!
あの時、兄貴が弾いてくれた・・・“トロメライ”だっけ?・・・とっても穏やかな、いい曲だったなぁ・・・
それはまあ、ざっと百二十万年ぐらい前のくるみだよ。ごく新らしい方さ。
ここは百二十万年前、第三紀のあとのころは海岸でね、この下からは貝がらも出る。
今度お邪魔した際は、是非ともお兄様の書斎に案内してくださいませ。ジョンとこっそり忍び込んだ日の事が
忘れられないのです。(今もですが)あの頃は何が書いてあるのか皆目見当つかない舶来の本の山に、
重厚なデスクの上に置かれた羽の付いたペンとインク、それからキラキラと輝く石や・・・化石まで!!
あれはきっと、“プリオシン海岸”から採ってきたんだって、二人ではしゃいでいましたっけ・・・
ポール、オマエが前に語っていた飛行機乗りの小説家って、フランスって国の人間なんだろう?
でもって、この海を渡った先の、アフリカの砂漠に落っこちた時の事を書いたのが、あの物語・・・
ちっちゃな王子様が星からやって来るって話・・・オマエが『銀河鉄道の夜』と同じくらい好きだって・・・
オレだって・・・オマエが世界でたった一人の・・・まぁ、オマエの前でそんなセリフは言わないけれど、な・・・
「姉さんがね、トマトで何かこしらえてそこへ置いて行ったよ。」
僕には兄さんも姉さんもいないから・・・心から・・・ジョンが羨ましかったのですよ・・・
distance 105mm : SS 1/125sec. : F5 : ISO AUTO (4500)
<本日のメニュー>
◎ 日替わりプレート : もち豚のコンフィ トマトと玉葱、甘長唐辛子のラグーを添えて
◎ 本日のスープ : 南瓜のポタージュ
今でもお兄様の“第一の料理”は、前菜の盛り合わせでも無くサラダでも無く・・・スープでしたよね。
きっかけは確か、お兄様の修行時代の経験に基づいているとか・・・でも、そのエピソードを抜きにしても、
僕もこの“第一の料理”には大賛成なのです。尤も、初めてこのカップが置かれた時はびっくりしましたが・・・
様々な街を渡り歩き、転校を繰り返していたにもかかわらず・・・殆んど外食の経験も無い小学生でしたから・・・
大半は父と二人っきりの(父が遅い時は僕一人きりの)簡素な食事でしたので、コース仕立ての食事だなんて・・・
しかも、中に入っている煌びやかなスープをひと口含んだ瞬間ときたら・・・今でもはっきりと覚えていますよ!
そして、ちょうど良い頃合いに(僕のペースを考慮していただいて)出されたメインの白皿に盛られた自然の恵みは・・・
・・・白皿に盛られた自然の恵みは・・・兄貴の手で真っ白なカンバスに描かれた「作品」になるんだ!!
本当に食べるのが勿体無いくらいカラフルで・・・華やかで・・・(オレと違って?)品があって・・・綺麗だよなぁ・・・
そして、この上品で綺麗な「作品」は、視覚だけに留まらず・・・毎回、僕の五感全てを刺激していました。
例えばさり気無く皿の端に置かれた玉葱の、鼻孔を擽る何という芳しい薫り・・・舌先を刺激する何という甘さ・・・
それが白皿のカンバス隅々にまで描かれた、瑞々しい輝きを放つ色鮮やかな野菜の全てに当てはまるのですから!
でも・・・やっぱり・・・何てったって・・・肉がサイコ~~~だぜ~~~!!!
噛み応えのある表面はカリッカリに香ばしくって食欲もそそりまくりなんだけれど・・・
ひと口噛んだ瞬間、口中にジュワァ~って広がる肉汁の旨さときたら・・・たまんね~~!!
さらに、その肉が弾力があって、それでいて口の中でとろけそうなくらい柔らかくって・・・
野菜にしてもそうだけれど、兄貴の味付けや料理って色々とバラエティ豊かなのに、
とってもシンプルで、この肉も、肉本来の持ち味を引き出す為に振られた塩だけって・・・
いやっ、その向こうに添えられているトマトベースのソースは・・・この旨味・・・甘み・・・
長時間煮詰めてギリギリまで水分を飛ばした、ぽってりとした舌触りから広がる・・・
複雑でありながらストレートな野菜の旨味がギュッと凝縮されたソースこそ・・・
肉の旨味をさらに引き出しているじゃないか!!やっぱり兄貴って・・・スゴイや・・・
テリーヌフロマージュ (しっとりベイクドチーズケーキ)
お兄様、もし我儘を聞いていただけるのでしたら、今度お邪魔した際のデザートは是非とも・・・
「テリーヌフロマージュ」にしていただけないでしょうか。濃厚なチョコが口の中でとろける
「フォンダンショコラ」に卵の風味豊かな「クレームカラメル」も勿論最高なのですが・・・
4年前に訪れた際に“秘密基地”でいただいた「テリーヌフロマージュ」の味わいが・・・
あの・・・しっとりで・・・なめらかで・・・ふんわりした味わいが、片時も忘れられないのです。
なぁ、ポール・・・『銀河鉄道・・・』の作者が実は桜の花が嫌いだって事、知ってたか?
俺は兄貴から教わったんだけれど、桜の小さな花びらがワサワサっと集まってるとこが
どうにも気味が悪かったんだってさ。それに、皆挙って花見に行くのも好かなかったらしい。
何ともひねくれているだろう・・・でも、“山猫軒”なんて料理店を創っちまうような人だから
普通の人とは感覚が違うのも頷けるさ・・・で、オレの兄貴にその事を言ったらなぁ・・・
何と、隣り町のジャム屋さんの桜のシロップで、ソーダ水を作ってくれたんだ!!
「これなら宮澤さんも気に入るかな?」って・・・これ、サイコ~に美味いぜ!!
さぁ~って、飯も食ったし・・・ポール、そろそろバスが来る時間だなぁ・・・
俺たち二人っきりの『銀河鉄道バスツアー計画』・・・“橋のムコウ側”への・・・
お兄様の家のすぐ前のミラーが立っている場所・・・あの頃は確かバスの停留所になっていましたよね。
一日にほんの数本ですが、電車も通ってなければ、勿論、免許だって持っていない小学生の僕らにとって、
大人たちに知られずに“橋のムコウ側”まで連れて行ってくれる唯一の手段として、みんな計画を立てたものです。
そう、クラスの中で誰が一番最初に、自分たちだけで“橋のムコウ側”の世界を旅してくるかって計画を、です・・・
そして、ジョンと僕は、夏休みも終盤に差し掛かったあの日の午後に、まだ誰も達成した事のない未知なる世界へと・・・
おい、ポール・・・もうとっくにバスが着いちまったじゃないか・・・一体どうしちまったって言うんだ・・・
まさか、本当に来ない訳じゃね~だろ~なぁ・・・これまで一度だって約束を破った事は無かったのに・・・
今日を逃したら、もうダメなんだぜ。夏休み中で兄貴の店が休みになるのは今日が最後なんだから!!
明日からは、また午後は兄貴の店の手伝いをしなくちゃならないって事は、ポールだって知ってるだろう・・・
なぁ、ポール・・・俺たち約束したよなぁ・・・誰よりも早く“橋のムコウ側”の世界に行ってくるんだって・・・
そして、新学期が始まったらクラスのみんなに“橋のムコウ側”の世界の話をしてやるんだって・・・
えぇ、あの日、結局僕は約束の時間に行ってあげる事が出来ませんでした・・・それが原因で、新学期から
ジョンとの間がギクシャクしてしまったのはお兄様もご存知の筈です。そして、そのまま次の年の春を迎えて、
僕は遠い街へと引っ越してしまいましたね・・・それから15年でしたっけ、4年前の初秋のある日、僕のところに・・・
心の奥底に仕舞っておいた少年の日の眩い思い出を目の前に解き放つお兄様からの手紙が届いたのは・・・
実はあの日、ジョンの下に行こうと、逸る気持ちを抑えつつ靴を履いて玄関のドアに手を掛けた瞬間・・・
表から僕より先にドアのノブを回す人物がいたのです・・・物心がつく前に僕の前から姿を消した・・・
・・・母と呼ばれる女性その人だったのです。
あの後、部屋に呼び戻された僕は、暫らくの間、父と三人で小さな居間(二部屋のアパートですが)にいました。
僕は早くジョンの下に行きたい気持ちでいっぱいでしたが、父からどうしても一緒にいて欲しいと懇願されました。
父が僕にお願いするなんて滅多に無かったし、その女性の時折り見せる物寂しそうな眼差し、そして、何故か
ほっとした様に僕に微笑みかける表情を見て、僕は今から外出する事を切り出せなくなってしまいました・・・
あの日、父と母がどんな話をしたのか・・・その時、僕はどんな表情(かお)をしていたのか・・・
何故か、何一つ思い出せないのです・・・ただ、本来なら嬉しい筈の“家族再会”の場面において、
バスの時刻の事、そして・・・ジョンの事ばかり考えていたのははっきりと記憶していますが・・・
そして、その日以来、僕は・・・僕は・・・母と告げられた女性に会っていないのです・・・
最後は僕の家族の話になってしまい、申し訳ありませんでした。ただ、この話を伝えられるのは
お兄様を於いて他に誰もおりませんでしたので、今は肩の荷が下りたように晴れやかな気持ちです。
そして最後に、今度ジョンに挨拶する際には・・・あの時は行けなくて、本当に済まなかったなって・・・
もうちょっと先になるかも知れないけれど、絶対に二人で『銀河鉄道バスツアー』に行こうなって・・・
・・・彼の墓前で伝えたい事は本当に沢山ありすぎて・・・果たせなかった約束ばかりですから・・・
末筆ながら、ご自愛のほどお祈り申し上げます。
敬具
平成24年 葉月 遠き空に雷鳴轟く頃
~ 私の幻灯は、これでおしまいであります ~
mikumari
栃木県芳賀郡芳賀町東水沼 1032-12
TEL 028-677-3250
OPEN 11:30-17:00(LO16:30)
CLOSE 日曜日 不定休
全席禁煙 駐車場 8台
未就学のお子様のご来店は14:30~との事です
また、基本的に予約のお客様が優先となります
※予約&お問い合わせの電話はOpen前or15:00~で
※席数&料理に限りがある為なるべく電話でご確認下さい
http://mikumari2006.blog108.fc2.com/
※ お店の撮影に関しましては、店長さんの許可の下で同伴して頂きながら実施しました