" A DANGEROUS METHOD "
監督 デヴィッド・クローネンバーグ
原作 クリストファー・ハンプトン
脚本 クリストファー・ハンプトン
出演 キーラ・ナイトレイ ザビーナ
ヴィゴ・モーテンセン フロイト
マイケル・ファスベンダー ユング
サラ・ガドン エマ
馬車の中で泣き叫ぶザビーナ
ブルクヘルツリ精神病院
チューリッヒ、スイス
1904、8月17
ザビーナ・シュピールライン18歳は
強制入院させられる
病名は統合失調症
彼女を担当する精神科医
カール・グスタフ・ユング 28歳
彼女の話を聞く
原因を探る
ユングは妻エマにザビーナについて話す
論文にマビーナの題をつけた
するとマビーナと言う名の患者が現れた
これは偶然ではない
シンクロニシティーだ
ユングは偶然を信じない
偶然に見える出来事にも
見えない所につながりがある
ユングはザビーナと談話療法を続ける
談話療法はフロイトが提唱したばかり
ザビーナは医師になるのが夢
ユングは治療の一環として
彼女を助手にする
エマを被験者に「連想実験」を行う
エマは娘を出産したばかり
ユングはザビーナと談話療法を続ける
父は4歳の私を小部屋に連れて行き
お尻を叩いた
すごく怖くて、おもらしをした
・・・・・気持ちよかった
やがて
父が"小部屋に行け"と言うだけで
もらすようになった
怒られると興奮し
自ら慰めずにはいられなくなった
2年後
ウィーン、オーストリア
1906、3月3
ユングは
尊敬するジークムント・フロイト教授50歳と会う
教授が1900年に出版した「夢判断」は
多くの示唆に富んでいる
性衝動ついての臨床例としてザビーナを語る
ザビーナは解除反応のあと劇的に治癒した
医学部で優秀な成績を修めている
ユングはフロイトの仮説に疑問もある
フロイトはリビドーの発達を
口唇期・肛門期・男根期・潜伏期・性器期に別け
それぞれの時期で何が起こったかで
性格や精神障害が決定されると仮説した
しかしユングは
ザビーナはその仮説では説明できないと感じる
彼女のマゾヒズムは
肛門への執着より根が深い
精神科医の中ではまだ異端とされるフロイト
ユングは彼に師事し親交を深めるがやがて
考え方の違いが浮き彫りになってゆく・・・
キーラの演技に怖さはあるが
クローネンバーグ得意の
ぬるぬる怪奇色はない
主役はカール・グスタフ・ユング
僕が最も感銘を受けた心理学者
( それほど大勢の心理学者は知らないが )
実話を基に
フロイトとの出会いと決別
ザビーナとの出会いの別れの
10年間を描く
心理学に興味が無ければ
ただの理屈っぽい不倫親父
フロイトは
夢と無意識に光をあてた
ユングは
それをさらに深く掘り下げた
フロイトは
無意識を個人の性衝動の抑圧と結びつけた
ユングは
無意識を個人を超えたものと結びつけ
集合的無意識の概念を提唱した
ユングと彼の教え子が
精神科医でない一般の人向けに書いた
「 人間と象徴 」
かなりのボリュームがあり
全てを理解するのは難しいが
ユングの入門書としては
これ一冊で十分という名著
( 上下2巻だけど )
ユングに興味があれば是非読んで
ユングの深淵な洞察に触れて欲しい
2011年 UK/ドイツ/カナダ映画 99分 制作費1,500万ドル
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